園児死亡 静岡県が送迎バス運行する施設を一斉調査

静岡県牧之原市の認定こども園で、3歳の女の子が通園バスの車内に取り残され死亡した事件を受けて、静岡県は、送迎バスを運行するすべての認定こども園や保育所などの施設に対し、安全管理の状況や、過去に起きたいわゆる「ヒヤリハット」の事例などについて一斉調査を始めました。

この事件を受けて静岡県は、送迎バスを運行する認定こども園などの施設で、安全管理が徹底されているか確認しようと調査を始めました。

対象は、認定こども園や保育所、それに幼稚園と特別支援学校、合わせておよそ250施設で各施設に対し調査票を送っています。

調査票では子どもたちの出欠状況について保護者への速やかな確認と職員間の情報共有が行われているかどうかや、乗車と降車の際に座席や人数の確認を行って、職員間で共有しているか、さらにバスでの置き去りを防ぐために行っている工夫などについて具体的な回答を求めています。

また、送迎バスをめぐってこの1年間に子どもの安全に関わる「ヒヤリハット」の事例があったかどうかや、その具体的な状況を尋ねています。

県は、各施設に対し9月15日までの回答を求め、9月下旬以降、実際に各施設を訪れて、安全管理の状況を確認することにしています。

園児らの安全管理 改めて徹底の動き

今回の事件を受けて、静岡県内の幼稚園では、園児らの安全管理を改めて徹底しようという動きが出ています。

163人の園児のうち、およそ70人が送迎バスを利用している静岡県三島市の「桜ヶ丘幼稚園」では、園児がバスの中に取り残されることがないよう、ふだんから場面ごとに何重にもチェックをしているといいます。

送迎バスに乗るとき

まずは園児らが送迎バスに乗るときです。

バスには、運転手のほか添乗の職員1人が乗っています。

園では、バスの中の座席表を作成して、園児らに決められた席に座るよう求めているため、視覚的にも誰が乗っているのか記憶しやすいといいます。

園児がバスに残っていないかダブルチェック

バスが園に到着すると、添乗の職員は座席の順に園児らを降ろして全員が園の中に入ったことを見届けたあと、バスに戻って園児が残っていないか確認します。

そのうえで、運転手が車内を清掃しながら残っている園児がいないかダブルチェックしています。

見落とし防ぐ一手間も

また園では、出欠確認のためにアプリを使用していますが、ここでも見落としを防ぐ工夫をしています。

保護者が登録した出欠などの情報を職員がタブレットで確認したあと、ホワイトボードに書き写す作業を取り入れていて、一手間を加えることで状況の正確な把握に努めているといいます。

担任が点呼で出席確認

さらに午前10時には、クラスの担任が点呼をして出席を確認。

アプリで欠席や遅刻の登録がないのに教室に姿が見えない場合、担任が保護者に連絡して確認することを欠かさないようにしています。

園長「システム上の数字過信せず 何重もチェック」

桜ヶ丘幼稚園の篠木喜世園長は、「去年の福岡県の事件を受けて、どの園も神経を使っていると思っていたので、再び今回の事件が起きたことに衝撃を受け、職員に安全管理を徹底するよう呼びかけました。システム上の数字を過信せず、何重にもチェックをするよう引き続き取り組みたい」と話していました。

専門家「自分の園でも同じことがという意識が大事」

保育現場の問題に詳しい帝京大学の元教授で、保育研究所の村山祐一所長は、今回のような事件を繰り返さないために必要なこととして、「園児の人数や所在の確認は、常に現場で二重チェックするべきだ。アプリなどのシステムはあくまで補助的な位置づけで、最終的には人の確認が必要だ」と指摘しました。

そのうえで、「自分の園でも同じことが起きるかもしれないという意識を持つことが大事だ。それぞれの園が業務の中でどこを見直すべきなのかを点検し、大きな事故にならないうちに食い止めることを常に心がけないといけない。特にバスを運行している園ではこうした点検を日々行う必要がある」と述べました。