ロシア軍 ウクライナ東部のイジュームから “事実上の撤退”

ロシア国防省はウクライナ東部の重要な拠点となっているイジューム周辺の部隊の再配置を決めたと発表し、事実上、イジュームからの撤退を表明したものとみられます。
ウクライナ軍がイジュームを奪還すれば、ロシア軍にとって大きな打撃となるとみられ、ウクライナ軍は領土奪還に向けた反撃を強めています。

ウクライナの治安機関は10日、東部ドンバス地域の最前線に展開するロシア軍部隊への補給路となっているハルキウ州クピヤンシクをウクライナの部隊が奪還したことを明らかにしました。

これに続いて、イエルマク大統領府長官は10日、さらに南へ60キロほど離れたイジューム郊外にいるウクライナ軍部隊の写真をSNSに投稿しました。

ハルキウ州にあるイジュームは、ロシア軍が東部ドンバス地域に部隊を展開するうえで補給などの重要な拠点になっています。

そのイジューム周辺に展開するロシア軍について、ロシア国防省は10日、「ドネツク方面への作戦強化のために部隊の再配置を決めた」と発表し、事実上、イジュームからの撤退を表明したものとみられます。

また、イジュームの親ロシア派の幹部も「ウクライナ軍による砲撃を受け非常に厳しい状況にある」としたうえで、動画を通じて、避難を名目に、地元の住民をロシア領へ移す考えを示しました。

ウクライナ軍がイジュームを奪還すれば、東部ドンバス地域の広い範囲に部隊を展開させるロシア軍にとって大きな打撃になるものとみられます。

ウクライナ軍は欧米諸国から供与された兵器などを使って、ロシア軍が支配する地域の奪還に向けて8月下旬からヘルソン州など南部で、9月に入ってからはハルキウ州など東部でも反転攻勢に乗り出していて、領土奪還に向けた反撃を強めています。