【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ザポリージャ原発 安全のため稼働中の原子炉停止させ冷却へ

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムは11日、相次ぐ砲撃で送電線などが損傷し外部電源を喪失した状態のザポリージャ原発について、10日夜、送電線の一部が復旧し外部から電力供給を受けることが可能になったと発表しました。

そのうえで、エネルゴアトムは、6基の原子炉のうち唯一稼働している6号機を停止させ原子炉を冷却することを決めたと発表しました。

安全な状態にするためだとしています。

6号機は、外部電源を喪失したことを受け、出力を下げたうえで運転を続け、発電所の施設内で必要な電力を供給していました。

エネルゴアトムは、砲撃が相次ぐ中、原発と外部を結ぶ送電線が再び被害に遭うリスクが高く、そうなれば原子炉の冷却などに必要な電力は非常用のディーゼル発電機でまかなうことになるとしています。

このため、エネルゴアトムは「原発が危機的な状況に陥らないようロシア側の砲撃が停止され、原発が非武装化されることが必要だ」として、攻撃の停止を求めています。

ウクライナ軍 東部で攻勢 重要拠点イジュームを奪還する勢い

ウクライナ軍の部隊は、東部ハルキウ州で大規模な反転攻勢を続け、ウクライナの治安機関は10日、東部ドンバス地域の最前線に展開するロシア軍部隊にとって補給路となっているクピヤンシクを奪還したと発表しました。

そして、南へ60キロほど離れた重要拠点イジュームにもウクライナ軍は迫っているとみられます。

こうした中、ロシア国防省は10日イジューム周辺に展開するロシア軍について「ドネツク方面への作戦強化のために部隊の再配置を決めた」と発表し、イジュームからの撤退を事実上、表明したと受け止められています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は10日、イジュームについて「ウクライナ軍が48時間以内に奪還する可能性が高く、イジュームを解放すれば、3月に首都キーウでの戦いに勝利して以来、最も重要な功績になるだろう」と指摘しています。

一方で、イギリス国防省は11日、「過去24時間、ウクライナ軍はハルキウ州で大幅な前進を続けている。ロシア軍がこの地域から部隊を撤退させた可能性は高いが、戦略的に重要なクピヤンシクとイジュームの周辺では、戦闘が続いている」と指摘しました。

ウクライナ軍がイジュームを奪還すれば、東部ドンバス地域の広い範囲に部隊を展開させるロシア軍にとって、補給などの重要な拠点を失うことになり大きな打撃になるものとみられ、戦闘の行方が注目されています。

ゼレンスキー大統領「約2000平方キロメートルの領土を解放」

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日に公開した動画で「9月はじめからのウクライナ軍の攻勢により、およそ2000平方キロメートルのわれわれの領土が解放された」と明らかにしました。
また「東部ドネツク州はいずれ全域が解放され、安全で幸せな場所が戻ってくる」と述べ、反転攻勢を続けていく考えを強調しました。
このほか、SNSには、ウクライナ軍の部隊が東部ハルキウ州の2つの集落を新たに解放したと投稿していて、添えられた写真には、ウクライナ国旗が建物に掲げられている様子や、そばにいる兵士たちが笑顔を浮かべる姿が写っています。

ロシア軍 重要拠点のイジュームから“事実上の撤退”表明

ロシア国防省はウクライナ東部の重要な拠点となっているイジューム周辺の部隊の再配置を決めたと発表し、事実上、イジュームからの撤退を表明したものとみられます。
ウクライナ軍がイジュームを奪還すれば、ロシア軍にとって大きな打撃となるとみられ、ウクライナ軍は領土奪還に向けた反撃を強めています。
イジューム周辺に展開するロシア軍についてロシア国防省は10日、「ドネツク方面への作戦強化のために部隊の再配置を決めた」と発表し、事実上、イジュームからの撤退を表明したものとみられます。
また、イジュームの親ロシア派の幹部も「ウクライナ軍による砲撃を受け非常に厳しい状況にある」としたうえで、動画を通じて、避難を名目に、地元の住民をロシア領へ移す考えを示しました。
ウクライナ軍がイジュームを奪還すれば、東部ドンバス地域の広い範囲に部隊を展開させるロシア軍にとって大きな打撃になるものとみられます。
ウクライナ軍は欧米諸国から供与された兵器などを使って、ロシア軍が支配する地域の奪還に向けて8月下旬からヘルソン州など南部で、9月に入ってからはハルキウ州など東部でも反転攻勢に乗り出していて、領土奪還に向けた反撃を強めています。

ウクライナ軍 重要拠点のハルキウ州イジューム郊外まで進軍

ウクライナのイエルマク大統領府長官は10日、ハルキウ州クピヤンシクから、さらに南へ60キロほど離れたイジューム郊外にいるウクライナ軍部隊の写真をSNSに投稿しました。
ハルキウ州にあるイジュームは、ロシア軍が東部ドンバス地域に部隊を展開するうえで補給などの重要な拠点になっています。

ウクライナ軍 ハルキウ州クピヤンシクを奪還

ウクライナの治安機関は10日、東部ドンバス地域の最前線に展開するロシア軍部隊への補給路となっているハルキウ州クピヤンシクをウクライナの部隊が奪還したことを明らかにしました。

ロシア 11日に統一地方選 14知事など選出へ

ロシアでは11日、統一地方選挙の投開票が行われる予定で、14の地域の知事や、州や市町村議会の議員が選ばれます。
期日前投票は9日から始まり、ロシア大統領府は10日、プーチン大統領が首都モスクワの区議会選挙の投票をオンラインで行い、国民にも投票を呼びかけたと公表しました。
最新の世論調査でプーチン大統領への支持率はおよそ8割、プーチン政権の与党「統一ロシア」はおよそ4割と底堅い支持を集めています。
8日、モスクワの一部の区議のグループがウクライナの軍事侵攻の責任を訴えてプーチン大統領の辞任を求める要望書を公表しましたが、政権側は近年、強権的な姿勢を強め、野党の活動を抑え込んでいることから、選挙への影響は少ないとみられています。
一方、ロシアの独立系ネットメディア「メドゥーザ」はことし6月、政権に近い情報筋の話として、ウクライナへの侵攻が続く中、政権内部で統一地方選挙を延期する可能性が議論されたものの、プーチン大統領の側近である大統領府のキリエンコ第1副長官が「延期すれば国に問題があると受け止められる」などと説得し、予定どおり実施される運びとなったと伝えています。
ただ、ロシアは当初、ウクライナ国内のロシア軍が支配する地域で同じ11日に併合に向けた住民投票を実施する計画だったとみられていましたが、「統一ロシア」のトゥルチャク上院副議長は7日、11月4日のロシアの祝日「民族統一の日」に合わせて住民投票を行うことを提案し、ウクライナ軍の反転攻勢を受けて延期せざるをえなくなったと受け止められています。