成田空港 新型コロナ影響でテナント80店舗余が撤退

新型コロナによる影響で長く海外との人の往来が制限されたことで、成田空港で営業していた飲食店などのテナントのうち、全体の2割近くにあたる80店舗余りが撤退したことがわかりました。

外国人観光客の受け入れが再開されてから10日で3か月となりました。

今週からは水際対策がさらに緩和されて、1日当たりの入国者数の上限が5万人に引き上げられ「日本の空の玄関口」、成田空港でも利用客の増加が期待されていますが、その受け入れ体制の立て直しは大きな課題となっています。

外国人の出入国が年間およそ1800万人と国内で最も多い成田空港は、感染拡大前、飲食や物販などのテナントが460店舗余りに上りましたが、これまでに全体の2割近くにあたる84店舗が撤退したことが、空港会社への取材でわかりました。

空港会社によりますと、残る380店舗余りについても今月3日時点で、およそ4割が休業したままだということです。

成田空港の国際線の利用客は、現在もコロナ前の3割未満まで減少しています。

空港会社は、テナントに対し賃貸料を減額するなどの支援を行っていて、一部の店舗を除いて来月以降も継続するなどして、店舗の維持や再開を後押しすることにしています。

利用客 “さみしく感じる”

出張で日本を訪れたイスラエルの男性は「空港に行くといろいろな店がやっているのに、今の成田空港は飲食店も土産物店も多くの店が閉まっていて、全然選択肢がなくさみしく感じます」と話していました。

韓国から帰国した女性は「出発時にお土産を買えなかったのが困りました。コロナ前は空港に行けば何でも買えると思っていましたが、あまり開いていませんでした」と話していました。

営業続けるテナント “このままの状況だと厳しい”

一方、営業を続けているテナントも売り上げが大きく落ち込み、厳しい状況が続いています。

コロナ前は多くの外国人でにぎわっていたという寿司店は、現在、営業時間を短縮していて、売り上げもおよそ3割減少しているということです。
「築地寿司岩」の小野寺達也店長は「以前は、出国前に『しばらく食べられなくなるから』と利用してくれる人が多かったですが、客足は大きく減りました。このままの状況だと厳しい」と話していました。

また、利用客の減少もあり、スタッフが退職したという和食店「京成友膳」の野村竜太副店長は「需要が戻ってほしいのはやまやまですが、スタッフを新たに採用して研修し直す必要もあるので、コロナ前と同じサービスのレベルに持っていくにも時間がかかる」と話していました。

空港周辺の地元企業にも大きな影響

成田市内の卸売会社は、空港内の飲食店や機内食の工場などに酒類や調味料を納入しています。しかし、納入先の多くが営業できていないことで、売り上げは大きく減少し、現在もコロナ前のおよそ半分にとどまっているといいます。

会社の倉庫は日本酒やビール、調味料などの在庫を減らしているため棚の隙間が目立っていました。

「藤屋」の滝澤千香子副社長は「厳しい状況が続いている。コロナ禍に入ったおととしの春には『来年には元に戻るだろう』と、取引先とも話していたが、いまだに終わりが見えません。成田空港周辺の企業は空港に関連していない会社のほうが少なく、航空便の利用者だけでなく、地域にとっても元気でいてくれないと困る。早く需要が回復して元に戻ってほしいです」と話していました。