【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(9日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる9日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 東部でも反転攻勢

ウクライナ軍は南部に続き、東部のハルキウ州でもロシアが支配した複数の集落の奪還に成功したと発表していて、欧米の軍事支援を受けながら反転攻勢を強めています。

ウクライナ軍はヘルソン州など南部に続いて東部ハルキウ州でも反撃に向けた軍事作戦を続けていて、軍の参謀本部は8日、ロシア側が占領した地域に最大で50キロ攻め入ったほか、20の集落を解放したと明らかにしました。

また、東部ドネツク州のクラマトルシク近郊などでも、ロシアが占領した地域に攻め入ったとしていて、欧米の軍事支援を受けながら反転攻勢を強めています。

ゼレンスキー大統領も8日、「9月に入ってからこれまでに合わせて1000平方キロメートル以上に及ぶ領土を解放した」と戦果を強調しました。

ロシア軍が南部の防衛のため東部から部隊を展開させる中、ウクライナ軍の反撃につながったと指摘されていて、アメリカのシンクタンク、「戦争研究所」は8日、「ウクライナ軍がハルキウ州の反撃に成功したことに対し、ロシア国防省は沈黙している」と分析しました。

ロシア国防省は8日、東部のドネツク州やハルキウ州、それに南東部ザポリージャ州などでウクライナ軍の兵器や弾薬庫を破壊したとしていますが、軍の作戦指揮についてロシア側の一部の軍事評論家からも疑問視する声があがっています。

アメリカ財務省 イランの4団体と1人 制裁リストに追加

アメリカ財務省は8日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの無人航空機の供与に関わったなどとして、イランの4団体と1人を資産の凍結などを科す制裁リストに追加したと発表しました。

このうち、イランの精鋭部隊・革命防衛隊が管理するイマーム・ホセイン大学と密接な関係にあるとされる企業は革命防衛隊のために無人機を製造したり、試験を行ったりしたということです。

また、首都テヘランにある航空輸送関連会社は、イランからロシアに向けた無人機や関連部品、それに人員の輸送に関わったなどとされています。

アメリカ財務省高官は「アメリカはロシアとイランに対する制裁を厳しく履行し、イランの責任を追及していく」としています。

米 ブリンケン国務長官 キーウを訪問 ゼレンスキー大統領と会談

アメリカのブリンケン国務長官は8日、ウクライナの首都キーウを事前に発表することなく訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

会談の中でブリンケン長官は、ウクライナ軍が南部ヘルソン州や東部ハルキウ州などで反転攻勢を強めていることを念頭に、「いまが重要な局面だ。ロシアの軍事侵攻は6か月以上続いているが、ウクライナ軍の反撃はいまも続き、成果を上げている」と述べました。

そのうえで、砲撃に使うりゅう弾砲や高機動ロケット砲システムのロケット弾など、合わせて6億7500万ドル、日本円にしておよそ970億円相当の新たな軍事支援を行うと直接、伝え、領土奪還に向けて支える姿勢を強調しました。

これに対し、ゼレンスキー大統領は「アメリカが、ウクライナとともにあるという非常に重要なシグナルだ。われわれにとっては、領土を取り戻せるという保証だ」と応じました。

また、ブリンケン長官はこの支援とは別に、ロシアの脅威にさらされているとして、ウクライナや隣国のモルドバなど19か国に対し、22億ドルの軍事支援を行うと発表し、今回表明した支援額の総額は日本円にして4000億円規模に上ります。

ウクライナ軍 東部ハルキウ州などで領土を奪還

ウクライナ軍の参謀本部の担当者は8日、キーウで記者会見し、東部ハルキウ州などで700平方キロメートル以上の領土を奪還したと明らかにしました。

それによりますと今週初めから行っている軍事作戦でウクライナ軍はこれまでにハルキウ州でロシア側が占領した地域に最大で50キロ攻め入ったほか、20の集落を解放したと明らかにしました。

また東部ドネツク州のクラマトルシク近郊などでもロシアが占領した地域に攻め入ったとしています。

およそ50か国の国防相ら ウクライナへの軍事支援を協議

ドイツ西部のアメリカ軍の基地では8日、およそ50か国の国防相らが参加してウクライナへの軍事支援を協議する国際会合が開かれました。

主催したアメリカのオースティン国防長官は「ロシア軍はミサイルや砲撃で都市や市民に残忍な攻撃を続けているが、ウクライナ軍は南部で反撃を開始した。戦況は重要な局面を迎えている」と述べました。

そのうえで、アメリカとして砲撃に使うりゅう弾砲や高機動ロケット砲システムのロケット弾など、合わせて6億7500万ドル、日本円にしておよそ970億円相当の新たな軍事支援を行うと表明しました。

会合のあとオースティン長官は会見で「われわれは支援の手を緩めることはない。多くの同盟国が同じように支援を行っていることをうれしく思う」と述べて、各国と連携して支援を続けたいという考えを示しました。

また、会見に同席したアメリカ軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長はウクライナ軍が高機動ロケット砲システムで400以上の標的を攻撃したと明らかにし「甚大な効果を上げており、ロシア側の補給路などがひどく損なわれている。ロシア軍の指揮統制は混乱し、部隊への供給などに大きな困難をきたしている」と指摘しました。

岸田首相 米英ら8か国首脳 ロシア制裁やウクライナ支援で一致

ウクライナ情勢をめぐって、岸田総理大臣やアメリカのバイデン大統領など、8か国の首脳らによるテレビ会議が開かれ、ロシアに対する強力な制裁を継続していくとともに、エネルギーや食料の安定供給の確保に連携して取り組んでいくことで一致しました。

テレビ会議は、アメリカのバイデン大統領の呼びかけで、日本時間の8日夜遅くから9日未明にかけて1時間余り行われ、岸田総理大臣をはじめ、フランスをのぞくG7=主要7か国の首脳など、合わせて8か国の首脳らが参加しました。

この中では、ウクライナ情勢をめぐって意見が交わされ、ロシアに対する強力な制裁やウクライナへの支援を継続していくとともに、エネルギーや食料の安定供給の確保に連携して取り組んでいくことで一致しました。

また、岸田総理大臣は、このところのインド太平洋地域でのロシアの動向を説明するとともに、中間的な立場をとる国々への働きかけが重要だという認識を伝え、先月のTICAD=アフリカ開発会議でも参加国との間で、ロシアの軍事侵攻への深刻な懸念を確認したことを紹介しました。

そして、岸田総理大臣は、来年、日本がG7の議長国を務めることに触れ、ウクライナ情勢への対応でG7各国や同志国の結束が進むよう努力していく決意を伝えました。