【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領「東部の複数集落を奪還した」

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日に公開した動画で「今週、ハルキウからいいニュースがあった。いま、集落の名前は明らかにしないがウクライナ軍がいくつかの集落を奪還した」と述べ、東部ハルキウ州での反撃で複数の集落の奪還に成功したことを明らかにしました。

国連安保理「ロシアは市民を尋問 調査受け入れを」

ウクライナ情勢をめぐる国連の安全保障理事会の会合が開かれ、欧米各国はロシアがウクライナ東部などで市民を拘束したりロシア国内に強制的に移送したりしていると非難し、ロシアに対して国連による調査を受け入れるよう迫りました。

ウクライナ情勢をめぐり欧米各国や国際的なNGOは、ロシア軍が支配下に置いたウクライナ東部などに市民を尋問する施設を設け、その後拘束したりロシア国内に強制的に移送したりしていると指摘しています。

これについて国連安保理で7日、会合が開かれ、国連人権高等弁務官事務所の担当者が報告を行い、ロシア軍がウクライナ市民を尋問していることを確認したとしたうえで「信頼できる情報によればその過程で多数の人権侵害があった」と述べました。

このあとアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「こうした活動はロシアの支配に従わない個人を特定するのが目的で、ロシアへの併合に備えるものだ。見せかけの住民投票を行おうとしている」と述べ、ロシアが併合を目指す地域で住民投票を行い都合のよい結果がでるよう準備しているという見方を示しました。

そのうえで強制的な移送などは国際法上の戦争犯罪にあたるとしてロシアを厳しく非難し、国連による調査を受け入れるよう迫りました。

これに対しロシアのネベンジャ国連大使は、現地で行われているのは尋問ではなく登録の手続きだと反論し、欧米はロシアをおとしめるために新たな偽情報を広めていると、主張しています。

IAEA ザポリージャ原発の予備の送電線 “砲撃によって損傷”

砲撃が相次ぎ安全性への懸念が高まっているウクライナのザポリージャ原子力発電所について、IAEA=国際原子力機関は、声明で、原発と近くの火力発電所を結ぶ予備の送電線が、6日、砲撃によって損傷したと明らかにしました。

IAEAは、この送電線の損傷により直ちに原発の運転に影響は出ていないとしています。

IAEAによりますと、ザポリージャ原発では、ここ数日、1基の原子炉が唯一稼働していて冷却や安全に関係する機能は維持され、施設内には非常用のディーゼル発電機も備えてあるとしています。

ただ、IAEAは、今回の予備の送電線の損傷について「施設がさらされる重大な安全のリスクを浮き彫りにしている」として、原発への外部からの電力供給に影響を与える軍事行動をやめるよう求めています。

プーチン大統領 ミャンマー軍トップとも会談

ロシアのプーチン大統領は7日、ミャンマーで実権を握る軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官とも会談を行いました。

この中でプーチン大統領は両国間の貿易が活発になっていると評価したうえで「ミャンマーは東南アジアにおける長年の信頼できるパートナーだ」と述べました。

これに対してミン・アウン・フライン司令官は「両国関係が停滞した時期もあったが、いまは非常に発展している」と述べたということです。

プーチン大統領は7日、モンゴルやアルメニアの首相とも相次ぎ会談していて、国際経済会議の全体会合では「ロシアを孤立させることは不可能だ」と強調していました。

ミャンマーでは軍によるクーデターのほか、ことし7月のアウン・サン・スー・チー氏の側近の元議員ら4人の死刑執行を受けて国際的な孤立が深まっています。

ミン・アウン・フライン司令官はクーデター以降、ロシアを訪れていますがプーチン大統領と会談したのは初めてとみられ、存在感をアピールするねらいもあるとみられます。

ウクライナ軍幹部 クリミアのロシア軍基地攻撃認める

ロシアが一方的に併合したクリミアの軍の基地で先月起きた爆発についてウクライナ軍のザルジニー総司令官は7日、地元の通信社への寄稿でウクライナ側による攻撃だと初めて公に認めました。

先月9日、クリミアのサキ航空基地で起きた爆発では、駐留するロシア軍の複数の航空機が破壊され、ロシアの航空戦力が打撃を受けました。

ザルジニー総司令官はクリミアについて、ロシア軍の部隊の展開や補給、それにウクライナへの空爆の拠点になっているとしてクリミアを奪還する重要性を強調するとともに、西側諸国に対しては射程の長い武器の供与を求めています。

また、寄稿では、ロシアが戦術核兵器の使用をちらつかせて威嚇するなか、主要国を巻き込んだ限定的な核戦争の可能性も排除できないと指摘しています。

ウクライナ軍 東部ハルキウ州でも反撃か

ウクライナ軍の参謀本部は7日、ロシア側の軍事拠点およそ40か所に攻撃を加えたと発表するなど、反撃を続けています。

ウクライナ軍は、ヘルソン州など南部で反転攻勢を強めていますが、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は6日、ウクライナ軍が東部ハルキウ州でも反撃し、ロシア軍の部隊を押し戻したと指摘しました。

そして、「ロシア軍がハルキウ州など東部から、南部へ部隊を展開させたことで、ウクライナ軍はハルキウ州で反撃の機会を得たとみられる」としていて、ロシア軍が南部の防衛に追われる中、ウクライナ軍が東部でも反撃に成功したと分析しています。

また、イギリス国防省は7日、ロシア軍の主な目標は全域掌握をねらう東部ドネツク州で、ウクライナ側の拠点の1つ、バフムトに向けて部隊を進めることとみられると分析しています。

一方で、「ロシア軍の司令官は、新たな部隊をこの東部の攻撃を支援させるかそれともウクライナ軍が反撃する南部の防衛にあてるか、どちらとも決めることができない状況に直面している」と指摘しています。

こうした中、ウクライナ南東部にあり、ロシア軍が掌握しているザポリージャ原子力発電所についてIAEA=国際原子力機関は6日、報告書の中で、原発周辺を安全な区域に設定するべきだと提案しました。

これについてロシアのラブロフ外相は7日、「多くの疑問点があり、より明確な説明を、IAEAに求めている」と述べました。

また、国際経済会議に出席したプーチン大統領もウクライナ軍が原発を攻撃していると批判したうえで「IAEAは、原発から軍の装備を撤去するよう指摘するが、そこにロシア軍の装備はない」と主張するなど、原発の安全性の確保にむけて、課題も浮き彫りとなっています。