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子供の熱中症 車内から出られるよう教えたい4つのポイント

静岡県のこども園の通園バスに3歳の女の子が取り残され、熱中症で亡くなった事件に衝撃が広がっています。

事件をきっかけに、このようなことが2度とあってはならないと、子どもの命を守るためにはどうすればいいかという議論も始まっています。

一方で、自分も子どもを車に残したことがあるという人も少なくありません。子どもにとって本当に危険な“車内熱中症”。命を守るためにはどうすればいいのか、海外の状況や対策も踏まえて考えます。
(大阪放送局 記者 中本史)

また失われた子どもの命

9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園で3歳の女の子が通園バスの車内におよそ5時間にわたって取り残され、熱中症で死亡しました。警察は業務上過失致死の疑いで、捜査を進めています。

去年7月には福岡県中間市で保育園のバスに当時5歳の男の子がおよそ9時間取り残されて、熱中症で死亡した事件もあり、国が安全対策を呼びかけていましたが、尊い命が再び失われました。

徹底的な再発防止策が求められます。

「もう少し遅かったら命が危なかったかも」

一方で、自分の子どもも車の中で熱中症になりそうだったという声もあります。NHK大阪放送局がことし8月「車に子どもを残してヒヤリとした体験があるか」尋ねたところ、寄せられた意見です。
茨城県 40代女性
「下の子が車で寝てしまったのでエアコンをかけて、30分くらい上の子と公園で遊んでいたが、戻ると車内が暑くなっていて、子どもが汗だくで寝ていた。上の子が車から降りるときにエアコンのボタンを触ってしまったのが原因。もう少し戻るのが遅かったら命が危なかったかもしれない」
埼玉県 30代女性
「子どもがカギを持ちたがっていたので渡したら、親が乗っていない状態でカギをかけてしまった。JAFに電話したが到着まで20分くらいかかった。真夏だったので車に水をかけて冷やしていたが、子どもが泣いて汗だくだった。本当に肝の冷える思いだった」
“車内熱中症”で亡くなったとみられる事例は家庭でもこの3年間、5件も起きています。

“車に子供残した”3割

実は、子どもを車に残したまま離れたことがある経験をした人は少なくありません。

自動車関連の商社が、ことし5月にインターネットを通じて全国のドライバー2652人に行ったアンケート調査。
「車に子どもを残したまま車を離れたことがある」と回答した人は全体の3割近くにあたる768人に上りました。
車に残した時間は5分未満の人が66%(504人)でしたが、15分以上離れたという人も7%(54人)いました。

中には「子どもを車内に残していると認識せずに離れてしまった」と答えた人も18人いました。

佐久医療センター小児科の坂本昌彦医師は、少しの時間でも子どもを置いて離れることが危険だと指摘しています。
佐久医療センター小児科 坂本昌彦医師
「5分ぐらいならいいでしょというのが5分10分になっていくのが人間なんですね。想定外の事というのは日々起きるのが社会生活なので予防にとって1番大切な大事な事はそういう行動そのものをしないことです」

子どもにクラクションの鳴らし方教える!

「クラクションの鳴らし方を子どもに教えている」
「何度も鳴らすようにと言い聞かせている」

今回の悲しい事件が起きてから、ツイッターでは幼い子どもを持つ親からの書き込みが相次ぎました。

万が一、車に取り残された場合のことを想定して、子ども自身に何を教えておけばよいのでしょうか。

坂本医師によると、先行して対策が進むアメリカでは以下の方法が呼びかけられていると言います。
1 まずチャイルドシートのバックルのはずし方を教える
2 クラクションの鳴らし方を教える

3 ハザードランプのつけ方を教える
4 運転席のドアロックの解除方法を教える
坂本医師
「完全に解決できるわけではないかもしれないが、外部に危険を知らせ助けを求める上で、ある程度有効ではないか」

欧米で進むシステム導入

子どもが車内で亡くなる事故を物理的に防ぐことはできないか。
欧米では対策が進んでいます。

「幼児置き去り検知システム」の導入です。
検知センサー
生体反応を検知できるセンサーを車内に取り付けるもので、子どもを置き去りにして一定の時間が経過すると親のスマートフォンに通知がきたりクラクションが鳴ったりして危険を知らせてくれます。

欧米ではこうした検知システムの取り付け義務化が進み、各自動車メーカーでは、車やスクールバスへの導入が進んでいます。
背景には「子どもを忘れる」ことは誰にでも起こりうるという想定があるからです。

アメリカ “子どもの存在を忘れた”半数以上

アメリカで、1995年から2002年の間に5歳未満の子供が車内の熱中症で死亡した事故について調べた研究では、車やスクールバスに乗せられて亡くなった子ども125人のうち半数以上の68人が「大人が子どもの存在を忘れた」というケースでした。

“忘れるなんて信じられない”と思いがちですが、ストレスや疲れ、睡眠不足などで記憶が抜け落ちることは誰にでも起こりうるということが複数の研究で明らかになっています。

日本では一部の輸入車にシステムが付いている場合はありますが、まだ普及はしていません。

さまざまなメーカーや商社が自社開発に取り組んだり海外の製品を輸入したりして、国内にも導入しようという動きは始まっています。

私たちが今すぐできる対策としては、親が車から降りるときに子どもに意識がいきやすいように、携帯電話や財布などの貴重品を子どものそばに置くことを習慣づけるのが大切だといいます。

車内熱中症は子どもに危険!

子どもが車内に取り残されることは、大人とは比べものにならないくらい命の危険にさらされます。
●子どもは体温上がりやすい
子どもは大人の3~5倍のスピードで体温が上がる

●車内は温度上昇が早い
JAFの実験では、エアコンを停止して5分で外気温の35度を超え、15分で40度近くに上がり、大人でも命が危険なレベルに達します。

●自分で対策とれない
車の中にいる幼い子どもは車の外に出て暑さをしのぐなどの対策がとれません。
日陰に車を置いたり窓を少し開けたりしても危険には変わりはありません。
大人は車で快適に過ごすことができますが、子どもにとっては危険な環境だということは決して忘れてはいけません。

愛しい命が失われないように

今回の事故は同じ3歳の子どもを持つ身としていたたまれず胸がつぶれる思いです。

愛しい命が失われないように、車内熱中症は子どもにとって本当に危険だという認識のもと、社会全体で子どもを守れる対策に取り組んでほしいと心から思います。

NHK大阪ではSNS用のショート動画で車内熱中症の危険を呼びかけています。
こちらのリンク先からページ中段の「SHORT MOVIES」のコーナーにあるので、どうぞご活用ください。
子どもの不慮の事故について体験や情報を募集しています。リンク先の投稿フォームからご意見をお寄せください。

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