ウクライナ軍 南部中心に反転攻勢 ロシア側の支配能力低下か

ウクライナ軍は、南部を中心にロシア軍の補給路に打撃を与えるなど、反転攻勢を続けているとみられます。これを受けて、ロシア側が支配する南部ヘルソン州では、ロシアへの併合に向けた住民投票が延期される見通しで、ウクライナ軍の反撃によって、ロシア側の支配能力が低下しているという分析もあります。

ウクライナ軍は、ロシア軍の補給路を重点的に攻撃しながら、ロシア側に支配されていた南部と東部の複数の集落を解放したと強調し、攻勢を強めています。

イギリス国防省は6日、ウクライナメディアの報道を引用し、南部ヘルソン州では、ロシア軍の無人機の出撃回数が先月と比べて大きく減っていると指摘しました。

その要因として、ウクライナ軍が無人機を撃墜していることに加え、制裁によってロシアで、無人機の部品が不足していることを挙げたうえで「無人機の運用が限られ、ロシア軍の作戦に影響が出ている」と分析しています。

また、ロシアは、東部2州や南部ヘルソン州などで一方的な併合に向けた住民投票の準備を進めてきましたが、このうちヘルソン州では、親ロシア派の幹部が、治安上の理由から投票の準備を中断する考えを示しました。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は5日、「ウクライナ軍の反撃によって、南部ではロシア側の補給と行政の能力が明らかに低下している。ヘルソン州で住民投票を中断する考えが出たことは、ロシアの支配が無秩序になっていることを示している」と分析しています。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は5日、ロシア極東で記者団に対し「ウクライナでの軍事作戦への参加を望む市民の、ふだんの仕事が保証されるよう、大統領は政府に指示するだろう」と説明しました。

これについて「戦争研究所」は、「大統領府は、志願兵の募集を地方に任せ沈黙してきたが、その転換を示している」と分析し、兵員不足が深刻化した結果、志願兵の確保に向けて、プーチン政権の中枢にあたる大統領府が、直接、動き始めていると指摘しています。