岸田首相 コロナ療養期間短縮表明 症状あり7日間 無症状5日間

新型コロナ感染者の自宅などでの療養期間について、岸田総理大臣は、症状がある人は今の原則10日間から7日間に、無症状の人は、検査で陰性が確認されることを条件に、7日間から5日間に短縮する方針を明らかにしました。また、感染者の全数把握を見直し、報告を簡略化した運用に今月26日から全国一律に移行する方針です。

新型コロナ対応をめぐり、岸田総理大臣は、6日夕方、総理大臣官邸で、記者団の取材に応じました。

この中で、岸田総理大臣は、感染者の自宅などでの療養期間について、症状がある人は、今の原則10日間から7日間に、無症状の人は、検査で陰性が確認されることを条件に、7日間から5日間に短縮する方針を明らかにしました。
また、感染者の全数把握を見直し、詳しい報告の対象を重症化リスクが高い人に限定できるようにする簡略化した運用に、今月26日から全国一律に移行する方針も示しました。

さらに、オミクロン株に対応したワクチン接種について、12歳以上を対象に今月から始め、来月から11月にかけて、1日100万回を超えるペースで接種できる体制を整備し、ワクチン接種を加速させると強調しました。

このほか自宅療養者の行動制限を緩和し、症状が軽快してから24時間以上経過した人や無症状の人は、マスクの着用などの感染対策を講じていれば、食料品の買い出しなど、必要最小限の外出を認める方向で最終調整を進めていると説明しました。

岸田総理大臣は「『第7波』の先、ウィズコロナの新たな段階への移行について、専門家や現場のご意見も踏まえて準備を進めてきた。今週中に、専門家による最終的な議論を経て全体像を決定する」と述べました。

専門家「療養期間が終わっても10日目までは注意」

政府が、新型コロナウイルスに感染した人の自宅などでの療養期間を短縮する方針を固めたことについて、厚生労働省の専門家会合のメンバーで、東北大学の小坂健教授は「国内のオミクロン株でのデータでは、症状が出た場合、7日目以降でも1割から2割くらいの患者はウイルスを排出することが分かっている。時間がたつと、ウイルスの排出量は減るかもしれないが、2次感染を起こすリスクはゼロではない」と指摘しました。

専門家からは療養期間を短縮することに慎重な意見もあったとしたうえで「ただ、ゼロリスクを目指すことは難しく、感染が相次いで医療機関や介護施設がひっ迫する中、療養期間の短縮は人をやりくりするうえでも非常に重要なポイントで、個人としては短縮はやむをえないと考える」と述べました。

そのうえで、小坂教授は、療養期間を短縮した場合には、抗原検査キットをさらに流通させて療養期間が終わる前になるべく陰性を確認してもらうことや、短縮された療養期間が終わっても発症から少なくとも10日目までは、マスクをしっかり着用し混雑した場所や会食を避けるなど、ほかの人に感染させるリスクを下げる行動を取ることが重要だと指摘しました。

また、感染者の全数把握を今月26日から全国一律に簡略化する政府の方針については「すでに見直しが行われた宮城県では、重症者を見逃さないための健康フォローアップ体制の再整備など、保健所の負担が新たに生じている側面もある。デジタル化などシステムの在り方も含めて、次の感染の波や新たな感染症に備えた把握方法の見直し作業を進めなければならない」と述べました。

療養期間が終わる8日目時点で9%からウイルス検出

オミクロン株の「BA.1」に感染した患者でウイルスが何日間検出されるか、国立感染症研究所などが分析した結果では、症状があった人では、今後、短縮される方針の療養期間が終わる8日目の時点では9%の人からウイルスが検出されたということです。

先月(8月)開かれた厚生労働省の専門家会合に出された資料によりますと、症状がある人でウイルスが検出されたのは、発症した日を「0日」として、7日目には17%、8日目には9%、9日目には4%となっていて、10日目には2%でほとんど検出されませんでした。

一方、無症状の人でウイルスが検出されたのは検査で確認された日を「0日」として5日目には18%、6日目には10%、7日目には6%、8日目には3%となっていて、9日目と10日目には1%でほとんど検出されませんでした。