【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 南部で攻勢 ロシア軍の補給路断つねらい

ロシアはウクライナ東部や南部で攻撃を続けています。東部ドネツク州の知事はSNSで3日に市民4人が死亡したと伝えたほか、南部ミコライウ州の知事は4日、深夜に大規模なミサイル攻撃があり、医療機関や教育施設などに被害が出たとしています。

これに対してウクライナ軍は、ロシア軍が掌握したとするヘルソン州など南部を中心に攻勢を強めています。これについてウクライナ大統領府の顧問は、メディアへのインタビューで「砲撃によりロシア軍の作戦上の物流を体系的に破壊している」と述べ、ウクライナ軍が支配地域の奪還に向け、当面はロシア軍の補給路を断ち戦闘能力を低下させることに重点を置いていると明らかにしました。

一方、ロシアのプーチン大統領はウラジオストクで開かれる「東方経済フォーラム」などに参加するため、4日から極東を訪問します。そして6日にはロシア軍の大規模軍事演習「ボストーク」を視察する予定で、軍事力に余力があることを内外に示すねらいもあるものと見られます。

ザポリージャ原発 再び運転停止 双方が相手の攻撃と非難

ロシア軍が掌握するウクライナのザポリージャ原子力発電所について、IAEA=国際原子力機関は、稼働中の原子炉のうち1基が再び運転を停止したと発表しました。ウクライナとロシアの双方が、相手の攻撃によるものだと互いに非難していて、安全性への懸念が続いています。

ウクライナ南東部にあり、ヨーロッパ最大級のザポリージャ原子力発電所について、IAEAは、3日、稼働中の2基の原子炉のうち、5号機の運転が停止したと発表しました。

5号機は、9月1日にも砲撃によって運転を停止し、2日に運転を再開したばかりでしたが、再び停止する事態となりました。現在は、残る6号機で、原子炉の冷却のための電力や一般家庭向けの電力の生産を行っているということです。

また、原発につながる4系統の送電線のうち、これまで失われていなかった最後の1系統も断絶したということですが、予備の送電線を通じて、外部への電力供給を維持しているということです。

これについて、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、ロシア軍の砲撃で5号機が停止したとする一方、ロシア側は、ウクライナ側が原発を攻撃したと主張し、依然として、双方が相手の攻撃だと互いに非難しています。

ザポリージャ原発では、IAEAの専門家チームが原発の安全確保に向けて、今月1日から調査を行っていますが、安全性への懸念が続く中、順調に監視活動が継続できるのか危ぶまれています。

ウクライナ軍 支配地域奪還へ一定の成功の見方も 攻防激化

ウクライナ軍は、先月下旬からヘルソン州など南部を中心に反転攻勢を続けています。この攻勢で、ウクライナ軍が一定の成功をおさめたという見方も出ていて、双方の攻防が激しくなっています。

ウクライナに侵攻するロシア軍に対し、ウクライナ軍は、ヘルソン州など南部を中心に、先月29日から支配された地域の奪還に向け新たな攻勢を始めています。

ロシア国防省は3日「ウクライナは失敗を続け、戦車や戦闘機、兵士など多くの損害を受けた」として、ウクライナ軍を撃退しているとする主張を繰り返しています。

一方、ウクライナ空軍は、南部に面する黒海からロシア軍が発射した巡航ミサイル「カリブル」5発を迎撃したと公表し、双方の攻防が激しくなっています。

イギリス国防省は「ウクライナ軍はロシアが占領するヘルソン州の3つの方面に攻撃を集中させ、戦術的な奇襲はある程度、成功した可能性が高い」と分析したうえで、ロシア軍は追加部隊をどこに配備するか判断を迫られていると指摘しています。

ザポリージャ原発でIAEAの調査続く

ロシア軍が掌握するウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所では原発の安全を確保するため、IAEA=国際原子力機関の調査が1日から続いています。

IAEAは、専門家2人を常駐させる方針ですが、原発やその周辺では断続的に砲撃が続いているとみられ、IAEAの監視活動を継続できるかが焦点です。

トルコ大統領 ザポリージャ原発の安全確保に向けた仲介に意欲

ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が3日、電話で会談しました。

会談について、トルコ大統領府は声明を発表し、この中で「エルドアン大統領は穀物輸出での合意と同様にザポリージャ原発でも間に立つことができると述べた」としていて、エルドアン大統領がウクライナからの穀物輸出に続き重大な事故が懸念されるザポリージャ原発の安全確保に向けた仲介にも意欲を示したことを明らかにしました。

また、エルドアン大統領は今月15日からウズベキスタンで開かれる、中国とロシアが主導する枠組み、上海協力機構の首脳会議にあわせてプーチン大統領と会談する予定だとしていて、その場でザポリージャ原発についても意見が交わされる可能性があります。

また、ロシア大統領府によりますと、エルドアン大統領は会談で、先月末に死去し、3日に葬儀が行われたゴルバチョフ氏への哀悼の意を表すとともに、2国間のエネルギーや経済などの分野での協力関係を強化することで一致したということです。

また、ザポリージャ原発についても意見を交わしたとしています。