IAEA ザポリージャ原発に専門家常駐方針も 原発周辺で戦闘継続

ロシア軍が掌握するウクライナのザポリージャ原子力発電所について、IAEA=国際原子力機関は、原発の安全を確保するため、専門家を常駐させる方針です。ただ、原発や周辺では戦闘が続いているものとみられ、IAEAの監視活動が継続できるかが今後の焦点となります。

IAEAの専門家チームは、ロシア軍が掌握するウクライナ南東部のザポリージャ原発に今月1日から入って調査を進めています。

チームを率いたグロッシ事務局長は2日、IAEAの本部があるオーストリアのウィーンに戻って記者会見し専門家2人を来週以降も常駐させる方針を示しました。

ウィーンに駐在するロシアのウリヤノフIAEA大使も「私たちはIAEAの原発への常駐を歓迎する」と述べました。

ただ、ロシア軍が掌握するザポリージャ原発や周辺では戦闘が行われているものとみられ、ウクライナ側とロシア側が依然として互いを批判する状況が続いています。

こうした中、安全確保に向け、IAEAの監視活動が継続できるかが今後の焦点となります。

一方、ウクライナの戦闘ではヘルソン州など南部を中心に、先月29日からウクライナ側が支配された地域の奪還に向け新たな攻勢を始めています。
これについて、ロシアのショイグ国防相は2日、国防省で行った会議で、「ウクライナ軍はかなりの犠牲者を出している。ゼレンスキー政権は、反撃能力があるという幻想を欧米に示すために攻撃を行っているだけだ」として、ウクライナ軍の攻勢は失敗していると強調しています。

これに対し、イギリス国防省は3日、「ウクライナ軍はロシアが占領するヘルソン州の3つの方面に攻撃を集中させ、戦術的な奇襲はある程度、成功した可能性が高い」と分析したうえで、ウクライナ軍の攻勢に対応するためロシア軍は追加部隊をどこに配備するか判断を迫られていると指摘しています。