国内結核患者 過去最少「結核低まん延国」に コロナ対策影響か

去年1年間に国内で結核と診断された患者は1万1000人余りで調査開始以来、最も少なくなったことが厚生労働省のまとめで分かりました。人口10万人当たりの患者の数を示す「り患率」は9.2人で初めて10人を下回り、WHO=世界保健機関が定める「結核低まん延国」になりました。

厚生労働省によりますと、去年1年間に国内で結核と診断された患者は1万1519人で前の年から1220人減り、調査を始めた昭和26年以来最も少なくなりました。

年代別にみますと、80代が3440人と最も多く、次いで70代が2241人、90歳以上が1633人などと70代以上が全体のおよそ6割を占めています。

死亡した人は1844人で前の年より65人減りました。

人口10万人当たりの患者の数を示す「り患率」は9.2人とはじめて10人を切り、WHO=世界保健機関が定める分類で「結核低まん延国」になりました。

厚生労働省などは、減少した理由について、新型コロナウイルスの感染拡大が影響し三密の回避など感染症への対策が影響した可能性があるとしています。

一方で、受診控えで潜在的な患者を把握できていないおそれもあるとしています。

結核予防会結核研究所の加藤誠也所長は「治療が遅れると重症化する。高齢者は死亡につながることもあるので症状が心配な人は医療機関を受診してほしい」と話していました。

結核 かつては「国民病」とも

結核は結核菌により、肺などに炎症が起き、せきや微熱、倦怠感などが長く続く感染症で、空気感染で広がります。

患者の推移を集計している結核予防会結核研究所は、日本では明治時代から昭和20年代までの間、国内に広まり、「国民病」とも呼ばれたとしています。

昭和18年には年間で17万人以上が死亡し、昭和25年代まで日本人の死因で結核が最も多くなっていました。

しかし、昭和26年に結核予防法が成立し国をあげて対策が進められたことや、抗結核薬が使えるようになったことで、昭和40年から昭和50年代前半にかけて「り患率」は大きく減少しました。

昭和50年代半ば以降はかつてまん延をしていた時代に感染をした人が高齢者となって発症するケースが増え、「り患率」の減少のペースは落ち込みましたが、当時の厚生省は平成11年に「結核緊急事態宣言」を出し自治体などとともに予防対策についての普及啓発や健康診断の強化に取り組んできました。

厚生労働省は近年の患者の傾向として、▽高齢者の割合が高いほか、▽外国生まれの患者の割合が11.4%と年々少しずつ増加していることから、「り患率」が高い国から入国する前の検査導入の準備を進めています。