ウクライナ IAEAチームの原発調査 3日まで行われる見通し

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所の安全を確保するため、IAEA=国際原子力機関の専門家チームが1日、原発の調査を始め、3日まで行われる見通しです。一方、ゼレンスキー大統領は、ロシア側が独立したメディアの同行を認めなかったと批判し、原発や周辺の地域では連日砲撃が続いていて、順調に調査を行えるかが焦点となっています。

ウクライナ南東部にあり、ロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所では、相次ぐ砲撃によって一部の施設に被害が出ていて、重大な事故につながりかねないとの懸念が高まっています。

安全性の確保を目指し、ウクライナ入りした、グロッシ事務局長率いるIAEAの専門家チームは1日、ザポリージャ原発に到着し、調査を開始しました。

グロッシ事務局長は原発の管理担当者と面会し「原発事故を防ぐことが主要な目的であり、すべての関係者の合意を見いだすため可能なかぎりのことをする」と強調しました。

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」などによりますと、グロッシ事務局長とIAEAの一部の専門家は数時間滞在したあと原発から離れ、残った専門家が3日まで調査を行う予定だとしています。

一方、調査についてウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ロシア側が専門家チームを欺こうとし、独立したメディアの同行も認めなかったと批判し「それでも客観的な調査結果を得られることを望む」と述べ、原発の非武装化とウクライナの管理下に完全に移すことの重要性を改めて強調しました。

原発や周辺の地域では1日も砲撃や戦闘が相次いだとみられ、「エネルゴアトム」はロシア軍の攻撃によって、稼働中の2基の原子炉のうち1基が停止したと明らかにしていて、緊迫した状況が続く中、順調に調査を行えるかどうかが焦点となっています。