IAEA=国際原子力機関によるザポリージャ原子力発電所の調査をめぐり、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は2日、ロシア側が調査を妨害したとして非難する声明を発表しました。
声明では、原発を掌握するロシア軍が、ロシア兵が駐留している原発内の危機管理センターに調査団が入るのを認めなかったなどと指摘しています。
そのうえで「こうした状況下でIAEAが原発の状況を公正に評価するのが困難なのは明らかだ」として、妨害の中で行われた調査では原発の安全確保につながらないと批判しました。

【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(9月2日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ウクライナの原子力発電公社 “ロシア側が調査を妨害”
ロシア IAEA大使 “IAEAの2人の専門家が原発に常駐”
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、ザポリージャ原子力発電所に専門家が常駐し、状況を把握することが必要だという考えを示しています。
これについてウィーンに駐在するロシアのウリヤノフIAEA大使は2日、国営のロシア通信に対し「IAEAの2人の専門家が原発に常駐することになる。IAEAがとどまることがさまざまな臆測を払拭(ふっしょく)することにつながり、われわれはこれを歓迎する」と述べました。
一方、ロシアのショイグ国防相は2日、国防省で行われた会議で「IAEAの調査によって偏りがない結果が国際社会に発信されることを願っている」と述べました。
そのうえで「ウクライナ軍は7月中旬以降、欧米が供与した兵器を使い原発への攻撃を繰り返している。ロシア軍は原発の施設内に重火器を配備しておらず、IAEAがそれを確認してくれるだろう」と述べ、原発への攻撃はウクライナ側によるものだと改めて主張しました。
これについてウィーンに駐在するロシアのウリヤノフIAEA大使は2日、国営のロシア通信に対し「IAEAの2人の専門家が原発に常駐することになる。IAEAがとどまることがさまざまな臆測を払拭(ふっしょく)することにつながり、われわれはこれを歓迎する」と述べました。
一方、ロシアのショイグ国防相は2日、国防省で行われた会議で「IAEAの調査によって偏りがない結果が国際社会に発信されることを願っている」と述べました。
そのうえで「ウクライナ軍は7月中旬以降、欧米が供与した兵器を使い原発への攻撃を繰り返している。ロシア軍は原発の施設内に重火器を配備しておらず、IAEAがそれを確認してくれるだろう」と述べ、原発への攻撃はウクライナ側によるものだと改めて主張しました。
ザポリージャ原発 IAEA 被害状況など確認
原発の安全を確保するため、IAEAのグロッシ事務局長が率いる専門家チームが9月1日、現地に入り、原発の施設の被害状況などを確認しました。
調査の後、グロッシ事務局長は記者団に対し「確認したかった重要なものは見ることができた。最も重要なことは、IAEAの専門家が原発に常駐することだ」と述べ、専門家が常駐し、状況を把握することが必要だという考えを改めて示しました。
調査の日程について、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、3日までの予定だとしていましたが、グロッシ事務局長は、4日か5日まで行われるという見通しを示しました。
グロッシ事務局長とIAEAの一部の専門家はすでに原発を離れましたが、現地の親ロシア派の幹部によりますと、残ったIAEAの専門家が2日も調査を行っているということです。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は9月1日「大事なのは原発の非武装化だ」と述べたうえで、原発をウクライナの管理下に完全に移すことが重要だと改めて強調しました。
原発や周辺の地域では、9月1日も砲撃が行われ、ウクライナとロシアは互いに相手側が攻撃を行ったと非難していて、IAEAの調査が順調に進むかが当面の焦点となっています。
調査の後、グロッシ事務局長は記者団に対し「確認したかった重要なものは見ることができた。最も重要なことは、IAEAの専門家が原発に常駐することだ」と述べ、専門家が常駐し、状況を把握することが必要だという考えを改めて示しました。
調査の日程について、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、3日までの予定だとしていましたが、グロッシ事務局長は、4日か5日まで行われるという見通しを示しました。
グロッシ事務局長とIAEAの一部の専門家はすでに原発を離れましたが、現地の親ロシア派の幹部によりますと、残ったIAEAの専門家が2日も調査を行っているということです。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は9月1日「大事なのは原発の非武装化だ」と述べたうえで、原発をウクライナの管理下に完全に移すことが重要だと改めて強調しました。
原発や周辺の地域では、9月1日も砲撃が行われ、ウクライナとロシアは互いに相手側が攻撃を行ったと非難していて、IAEAの調査が順調に進むかが当面の焦点となっています。
“侵攻継続と和平交渉で意見が二分”ロシア世論調査
ロシア軍によるウクライナ侵攻後、ロシアの世論調査機関「レバダセンター」は毎月下旬に全国の1600人余りを対象に対面形式で調査を行っています。
1日、8月の調査結果を発表し、この中で「軍事行動を続けるべきか和平交渉を開始すべきか」という質問に対して、「軍事行動の継続」と答えたのが48%、「和平交渉の開始」が44%で意見がほぼ二分しました。
このうち40歳未満では、過半数が「和平交渉」を選んでいて、若い世代ほど和平交渉への移行を望んでいることがうかがえます。特に18歳から24歳までの若者の30%は「ロシア軍の行動を支持しない」と答え、情報統制が強まる中でも、およそ3人に1人が侵攻への反対姿勢を示した形です。「レバダセンター」はいわゆる「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、政権の圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。
1日、8月の調査結果を発表し、この中で「軍事行動を続けるべきか和平交渉を開始すべきか」という質問に対して、「軍事行動の継続」と答えたのが48%、「和平交渉の開始」が44%で意見がほぼ二分しました。
このうち40歳未満では、過半数が「和平交渉」を選んでいて、若い世代ほど和平交渉への移行を望んでいることがうかがえます。特に18歳から24歳までの若者の30%は「ロシア軍の行動を支持しない」と答え、情報統制が強まる中でも、およそ3人に1人が侵攻への反対姿勢を示した形です。「レバダセンター」はいわゆる「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、政権の圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。
プーチン大統領 子どもたちに軍事侵攻を重ねて正当化
ロシアのプーチン大統領は、新しい学年が始まった1日、ロシア西部の飛び地、カリーニングラードで特別授業を開きました。

授業にはロシア各地のほか、ウクライナ東部ドネツク州の生徒まで集められ、この中でプーチン大統領は「ソビエト成立前にウクライナが独自の国家体制を持ったことはなかった」と100年前にさかのぼり、ウクライナ東部はかつてのロシア領の重要な地域だったと一方的に主張しました。そして「こんにち、ロシアから侵略が行われていると誰もが思っている。いま戦っている仲間たちはドンバスの人々やロシアそのものを守っているのだ」と述べ、子どもたちを前に軍事侵攻を重ねて正当化しました。
一方、ロシアメディアは、ウクライナ東部や南部の支配地域で1日、多くの学校が、ロシア国旗を掲げて新しい学年を迎え、ロシアから派遣されるなどしたおよそ3万6000人の教師が授業を始めたと伝えました。
これに対してウクライナのゼレンスキー大統領はSNSに「ロシアはわれわれの歴史や文化、知識を奪おうとしたが、失敗した。われわれは学び、より強くなる」と投稿し、教育の面でもロシアに屈しない姿勢を強調しました。
一方、ロシアメディアは、ウクライナ東部や南部の支配地域で1日、多くの学校が、ロシア国旗を掲げて新しい学年を迎え、ロシアから派遣されるなどしたおよそ3万6000人の教師が授業を始めたと伝えました。
これに対してウクライナのゼレンスキー大統領はSNSに「ロシアはわれわれの歴史や文化、知識を奪おうとしたが、失敗した。われわれは学び、より強くなる」と投稿し、教育の面でもロシアに屈しない姿勢を強調しました。
戦時下で対面授業が再開 条件は“シェルター”

ウクライナでは、1日から新しい学年が始まり、ことし2月のロシアによる軍事侵攻以降はじめて、一部の学校で対面授業が再開されました。
このうち一時ロシア軍が侵攻して激しい戦闘のあった首都キーウ近郊のイルピンにある学校でも、被害を受けた校舎の修復が進んだことから、およそ60人の新入生と保護者などが出席して入学式が行われました。式では、新入生と在校生の代表がかつて授業開始の合図として使われていた鐘を鳴らして友達などとの再会を喜んでいました。
このうち一時ロシア軍が侵攻して激しい戦闘のあった首都キーウ近郊のイルピンにある学校でも、被害を受けた校舎の修復が進んだことから、およそ60人の新入生と保護者などが出席して入学式が行われました。式では、新入生と在校生の代表がかつて授業開始の合図として使われていた鐘を鳴らして友達などとの再会を喜んでいました。

ただ、対面での授業を再開するためには、防空警報が出たときに子どもたちが避難できる地下シェルターを学校の敷地内か歩いて10分以内の場所に備えることが条件となっています。ウクライナ教育科学省によりますと、学校に通うおよそ390万人の児童や生徒のうちオンライン授業との併用も含めて対面での授業に出席できるのはおよそ270万人と7割にとどまっていて、残りの3割にあたる120万人はオンライン授業のみになるということです。
ゼレンスキー大統領“客観的な調査結果を望む”
IAEA=国際原子力機関によるザポリージャ原発での調査についてゼレンスキー大統領は1日、ロシア側が専門家チームを欺こうとし、独立したメディアの同行も認めなかったと批判したうえで「それでも客観的な調査結果を得られることを望む」と述べました。
そして「大事なのは原発の非武装化で、グロッシ事務局長とも調査前に協議したことだが、IAEAからまだ適切な説明を受けていないのはよくないことだ」と不快感を表したうえで、原発の非武装化とウクライナの管理下に完全に移すことの重要性を改めて強調しました。
そして「大事なのは原発の非武装化で、グロッシ事務局長とも調査前に協議したことだが、IAEAからまだ適切な説明を受けていないのはよくないことだ」と不快感を表したうえで、原発の非武装化とウクライナの管理下に完全に移すことの重要性を改めて強調しました。
福島大の研究員「IAEA調査 危機的な状況 世界に発信を」
ウクライナ国内の原子力発電所に詳しい福島大学環境放射能研究所のマーク・ジェレズニャク研究員がNHKのインタビューに応じ、ザポリージャ原子力発電所での事故の危険性について「原子力施設が攻撃され、外部電源や非常用電源を失うことで原子炉や使用済み核燃料の冷却ができなくなり、大事故を引き起こすおそれがある」と指摘しました。
そのうえで戦闘が続く過酷な環境のなかで「原発で働く運転員が疲労やストレスで人為的なミスをして、重大な事故につながる危険性がある」と懸念を示しました。
また、周辺住民の安全確保について「原発事故が発生した際に誰が主導してどのように避難行動をとらせるのか、全く見通しがたっていない。住民を適切に避難させることは極めて難しい状況だ」と話していました。
さらに、IAEAの専門家チームがザポリージャ原発で調査を始めることについて「IAEAの調査がロシア軍の撤退を促すことにはならないと思うが、専門的な見地から、危機的な状況を世界に発信してほしい」と強調しました。
そのうえで戦闘が続く過酷な環境のなかで「原発で働く運転員が疲労やストレスで人為的なミスをして、重大な事故につながる危険性がある」と懸念を示しました。
また、周辺住民の安全確保について「原発事故が発生した際に誰が主導してどのように避難行動をとらせるのか、全く見通しがたっていない。住民を適切に避難させることは極めて難しい状況だ」と話していました。
さらに、IAEAの専門家チームがザポリージャ原発で調査を始めることについて「IAEAの調査がロシア軍の撤退を促すことにはならないと思うが、専門的な見地から、危機的な状況を世界に発信してほしい」と強調しました。
IAEA調査チーム 原発調査を開始 砲撃続き順調に行えるかが焦点

ウクライナ南東部にありロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所では、相次ぐ砲撃によって一部の施設に被害が出ていて、重大な事故につながりかねないとの懸念が高まっています。
安全性の確保を目指し、ウクライナ入りしたグロッシ事務局長率いるIAEAの専門家チームは1日、ザポリージャ原発に到着し、調査を開始しました。グロッシ事務局長は、原発の管理担当者と面会し「原発事故を防ぐことが主要な目的であり、すべての関係者の合意を見いだすため可能なかぎりのことをする」と強調しました。
調査には、ロシア国営の原子力企業ロスアトムの職員も同行したということで、調査の後、グロッシ事務局長は記者団に対し「われわれはこの数時間で多くの情報を得た。確認したかった重要なものは見ることができた」と評価しました。そして「最も重要なことは、IAEAの専門家が原発に常駐することだ」と述べ、常駐化による現状把握が必要だとの考えを改めて示しました。
一方、原発や周辺の地域では、1日も砲撃や戦闘が相次いだとみられ、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、「ロシア軍による砲撃があり、安全装置が作動して5号機が停止した」として、ロシア軍の攻撃によって、稼働中の2基の原子炉のうち、1基が停止したと明らかにしました。これに対し、ロシア国防省は1日「ウクライナ軍の工作員が原発を奪還しようとしている。グロッシ事務局長やIAEAの専門家を『人間の盾』にする計画だった」などと主張しています。
「エネルゴアトム」などによりますと、グロッシ事務局長とIAEAの一部の専門家は、数時間滞在したあと原発から離れ、残った専門家が、3日まで調査を行う予定だとしていて、緊迫した状況が続くなか、順調に調査を行えるかどうかが焦点となっています。
安全性の確保を目指し、ウクライナ入りしたグロッシ事務局長率いるIAEAの専門家チームは1日、ザポリージャ原発に到着し、調査を開始しました。グロッシ事務局長は、原発の管理担当者と面会し「原発事故を防ぐことが主要な目的であり、すべての関係者の合意を見いだすため可能なかぎりのことをする」と強調しました。
調査には、ロシア国営の原子力企業ロスアトムの職員も同行したということで、調査の後、グロッシ事務局長は記者団に対し「われわれはこの数時間で多くの情報を得た。確認したかった重要なものは見ることができた」と評価しました。そして「最も重要なことは、IAEAの専門家が原発に常駐することだ」と述べ、常駐化による現状把握が必要だとの考えを改めて示しました。
一方、原発や周辺の地域では、1日も砲撃や戦闘が相次いだとみられ、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、「ロシア軍による砲撃があり、安全装置が作動して5号機が停止した」として、ロシア軍の攻撃によって、稼働中の2基の原子炉のうち、1基が停止したと明らかにしました。これに対し、ロシア国防省は1日「ウクライナ軍の工作員が原発を奪還しようとしている。グロッシ事務局長やIAEAの専門家を『人間の盾』にする計画だった」などと主張しています。
「エネルゴアトム」などによりますと、グロッシ事務局長とIAEAの一部の専門家は、数時間滞在したあと原発から離れ、残った専門家が、3日まで調査を行う予定だとしていて、緊迫した状況が続くなか、順調に調査を行えるかどうかが焦点となっています。
仏マクロン大統領“ロシア制裁などで欧州結束が重要”と強調

フランスのマクロン大統領は1日、パリの大統領府で、各国に駐在するフランスの大使を集め、今後の外交方針について演説しました。
この中で、マクロン大統領は、ウクライナの原子力発電所をめぐるIAEA=国際原子力機関の専門家チームの派遣に向けロシアのプーチン大統領と電話で協議したいきさつを踏まえて「専門家チームが戻ってきたら、再びロシア側と話すことになる」と述べ、ロシアとの対話によって事態の打開を図る努力を続ける考えを示しました。
そのうえで「戦闘の長期化にも備えなければならない」と指摘し、「ヨーロッパ各国の分断がロシアの目的の一つなので、各国の結束が大事になってくる」と述べ、ヨーロッパ各国がロシアへの制裁などで結束することが重要だと強調しました。
マクロン大統領としてはエネルギー需要が高まる冬を前にエネルギーを武器にしたロシアの揺さぶりによってヨーロッパの結束が乱れることがないよう呼びかけたものとみられます。
この中で、マクロン大統領は、ウクライナの原子力発電所をめぐるIAEA=国際原子力機関の専門家チームの派遣に向けロシアのプーチン大統領と電話で協議したいきさつを踏まえて「専門家チームが戻ってきたら、再びロシア側と話すことになる」と述べ、ロシアとの対話によって事態の打開を図る努力を続ける考えを示しました。
そのうえで「戦闘の長期化にも備えなければならない」と指摘し、「ヨーロッパ各国の分断がロシアの目的の一つなので、各国の結束が大事になってくる」と述べ、ヨーロッパ各国がロシアへの制裁などで結束することが重要だと強調しました。
マクロン大統領としてはエネルギー需要が高まる冬を前にエネルギーを武器にしたロシアの揺さぶりによってヨーロッパの結束が乱れることがないよう呼びかけたものとみられます。