ロシア ドイツ向けの天然ガスパイプライン 供給を停止

ロシアからドイツ向けの主要な天然ガスパイプライン、ノルドストリームを通じた供給が31日から停止されました。ロシア側は設備の点検を理由にした3日間の停止だとしていますが、ヨーロッパ側はロシアがエネルギーを武器に揺さぶりをかけていると警戒を強めていて、予定された期間後に供給が再開されるかが焦点となっています。

ロシアとドイツを結ぶヨーロッパ最大規模の天然ガスパイプライン、ノルドストリームを通じた供給は31日午前から停止されました。

ロシアの政府系ガス会社ガスプロムは、設備の点検が理由で、9月3日午前までの3日間の予定だとしています。

ガスプロムは、ノルドストリームを通じた供給量をすでに本来のおよそ20%にまで絞っていて、点検を理由に供給が停止されるのは、7月に続いて2度目です。

今回の停止を巡っては、ヨーロッパの天然ガス市場で供給停止が長期化するとの懸念から先物価格が高止まりしていて、ベルリンでも「エネルギー価格が高くなる。買い物や外食を控えている」などと、懸念の声が聞かれました。

また、ショルツ首相はロシアからの供給減少の備えは十分だと説明するとともに、国民の負担を減らす政策の検討を急いでいると強調しました。

ヨーロッパの国々は、ウクライナ情勢を巡り欧米と対立するロシアがエネルギーを武器に揺さぶりをかけていると警戒を強めていて、予定された停止期間後に供給が再開されるかが焦点となっています。

欧州各国 省エネ対応迫られる

ヨーロッパ各国では、ロシアが天然ガスの供給を停止するなど、エネルギーを武器に揺さぶりをかけていると警戒を強める中、エネルギー需要が高まる冬に向けて、対応を迫られています。

このうちフランスでは、ボルヌ首相が29日、経営者団体の集会で「ロシアがヨーロッパへの天然ガスの輸出を完全に停止すれば、その影響は甚大だ」と指摘し、国内の企業に対して、9月中に省エネ計画をまとめるよう求めました。

そして「ことしの冬はエネルギー不足の脅威に直面するので、われわれには、エネルギー消費を減らす選択しかない」と危機感を示し、企業に対して足並みをそろえて省エネの徹底に協力するよう訴えました。

また、ドイツでも、省エネの取り組みが進められ、首都ベルリンのブランデンブルク門など観光名所で夜間の照明を消す措置や、各地の温水プールの水温を下げる取り組みなどが行われています。

さらに9月1日からは、医療機関や学校をのぞく公共施設の廊下やロビーでの暖房の使用が禁止されるほか、温度設定にも上限が設けられることになっています。