「夏休みが終わり学校再開で感染者増加も」専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数は再び減少に転じているものの、全国的に高い感染レベルが続いていると分析しました。
今後は高止まりから減少傾向になる可能性があるとしつつも、夏休みのあと学校が再開されることで増加に転じることも懸念されるとして、対策を続けるよう求めています。

専門家会合は現在の感染状況について、先週、お盆明けには増加傾向だったのが、特に20代で先週の急増から大きく減少に転じるなど、すべての年代で減少しているとしています。

ただ、感染レベルは全国的に高い状態が続き、一般の医療を含めた医療体制への負荷が長期化して、重症者数や亡くなる人の数は高止まりとなっていて、特に亡くなる人は、これまで最も多かった時期を超える状況が続いているとしています。

専門家会合は今後について、大都市での短期的な予測などでは感染が高止まりから減少傾向になる可能性があるものの、夏休みが終わって学校が再開する影響で、増加に転じることも懸念されると指摘しました。

こうしたことを踏まえ、専門家会合は、症状のある人がみずから検査を行い、陽性の場合、症状の悪化に備えて健康観察を受けられる体制や、臨時の医療施設の整備など、医療体制のひっ迫を避けるための対策が必要だと指摘しています。

さらにオミクロン株の「BA.5」が広がった時期でも、3回目の接種で発症を防ぐ効果が高まる可能性が示されているとして、3回目や4回目の接種をできるだけ早い時期に受けるよう促進していくことが必要だとしています。

また、
▽不織布マスクの正しい着用や消毒、換気の徹底、
▽飲食はできるだけ少人数で飲食時以外はマスクを着用すること、
▽のどの痛みやせきなどの症状があるときは外出を控えること、
それに、
▽密を避けるなど、
基本的な感染対策を徹底して、感染リスクを伴う接触機会を可能なかぎり減らすよう呼びかけました。

水際対策緩和 脇田座長“国外の新たな流行状況 追うことが重要”

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は、感染者の数が減少する一方で死亡者数の増加傾向や病床のひっ迫が続いていることについて「死亡者数の増加は高齢者の感染者が多いことが関係している。医療がひっ迫する中、高齢者施設で感染が起きた時、入院に時間がかかっているなどの影響が考えられる」と見解を示しました。

そのうえで「感染者の減少が続いている沖縄県で病床の使用率が下がっているが、これは10日間の療養期間が過ぎた時点で、転院を促進することで使用率を下げているためだ。多くの地域で病床使用率の高止まりが続いているが、新規感染者数が減少し、かつ沖縄県のような取り組みが進めば、病床使用率の減少が期待できる」と話しました。

また岸田総理大臣が水際対策を緩和するため、一日当たりの入国者数の上限を来月7日から、今の2万人から5万人に引き上げることなどを表明したことについて「水際対策は海外からどの程度、感染が持ち込まれ、国内に影響するかを考え検討すべきだが、いまの日本は、感染者の数がかなり高い水準にあることが前提になったと思う。新しい変異株が国外で発生したときに、国内に持ち込まれないか監視を継続して、新たな流行状況が生まれているかどうか、追っていくことが重要だ」と指摘しました。

専門家「自宅療養期間の見直し 全体状況で判断すべき」

新型コロナ感染者の自宅療養期間の見直しを政府が検討していることについて、日本医師会の釜萢常任理事は、ワクチン接種の進捗(しんちょく)や治療薬の供給状況なども考慮して判断すべきだという考えを示しました。

岸田総理大臣は31日の記者会見で、感染の第7波のあとも見据えた新型コロナ対応について、専門家や現場の意見も踏まえながら、感染者の自宅療養期間の見直しなどを進めていると説明しました。

これについて、日本医師会の釜萢常任理事は記者会見で「発症したあとのウイルスの排出量のデータはオミクロン株でも検討されていて、10日経過すると周りに感染させる可能性はぐっと減る。7日間でもかなり減るが、7日間で十分かどうかはケースによってさまざまだという基本的なエビデンスは変わらない」と指摘しました。

一方で「ワクチンの接種がどういうふうに進み、今後、使いやすい治療薬が出てくるのかということと大きく関わってくる。全体状況のなかで、どれがよいのかという判断になる」と述べ、ワクチン接種の進捗や治療薬の供給状況なども考慮して判断すべきだという考えを示しました。

加藤厚生労働相「全数把握見直し 感染状況で一律移行を」

加藤厚生労働大臣は「新規感染者数は、先週の増加傾向から減少に転じているものの、全国的には高い感染レベルが続いている。特に死亡者数は最高値を超える状況が続いていて、新規感染者数の高止まりが続く可能性もある。学校が再開されていることもあり、その影響の注視が必要だ」と指摘しました。

また、全数把握の見直しについて「専門家の意見を踏まえ、ウィズコロナに向けた新たな段階の移行策の一つとして進めるものだ。若い軽症者などに安心して自宅療養してもらうための健康フォローアップセンターの全都道府県での整備やシステム改修などに一定の時間を要する。感染状況の推移を見たうえで、全国一律で移行していきたい」と述べました。

新規感染者数 お盆明けの増加傾向から一転減少

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、30日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.79倍と、お盆明けの増加傾向から一転して再び減少しました。

感染者数が多い状態が続く中で、1週間単位で増加と減少を繰り返しています。

首都圏の1都3県では、
▽東京都が0.72倍
▽神奈川県が0.82倍
▽埼玉県が0.80倍
▽千葉県が0.95倍と、
先週から減少傾向が続いています。

関西では、
▽大阪府が0.72倍
▽兵庫県が0.81倍
▽京都府が0.87倍

東海でも、
▽愛知県が0.76倍
▽岐阜県が0.78倍
▽三重県が0.81倍と、
減少に転じました。

また、前の週より多くなったのは、
▽青森県で1.07倍
▽徳島県で1.01倍と、
2つの県のみで、ほとんどの地域で前の週より減少しました。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、
▽徳島県が1904.36人と、全国で最も多く、
次いで、
▽高知県が1579.84人
▽長崎県が1577.97人
▽鹿児島県が1559.95人
▽宮崎県が1515.74人
▽佐賀県が1354.38人
▽沖縄県が1329.01人となっているほか、
▽大阪府で1151.26人などと、
九州や四国など、西日本を中心に28の府県で1000人を超えている一方、
▽東京都は883.10人
▽全国でも985.43人と、1000人を下回りました。