【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(31日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる31日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

IAEA 首都キーウからザポリージャ原発に向け出発

ウクライナ南東部の原子力発電所の調査を行うIAEA=国際原子力機関の専門家チームは、日本時間の31日正午ごろ、首都キーウから現地に向けて出発しました。

アメリカのメディアによりますと、調査は31日から来月3日までの間、行われる予定だということです。

また、ロシアの新聞「イズベスチヤ」は30日、調査には、ザポリージャ州の一帯を掌握した親ロシア派のトップが同行し、原発の状況などを説明する予定だと伝えています。

一方、ゼレンスキー大統領は、30日に公開した動画で「残念ながらロシアは調査団が到着することになっている地域での挑発をやめない。原子力発電所やその周辺は、依然として極めて危険な状態にある」として、ロシアが調査を妨害しようとしていると非難しました。

IAEA 首都キーウに到着 31日にもザポリージャ原発へ

ウクライナ南東部の原子力発電所の調査を行うため現地に向かっているIAEA=国際原子力機関の専門家チームは、首都キーウに到着し、31日にも調査を始める見通しです。ただ、ウクライナとロシアが砲撃を続けていると互いに非難するなか、調査が順調に進められるかが焦点となっています。

ウクライナ南東部にあり、ロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所では相次ぐ砲撃によって重大な事故への懸念が高まっていて、IAEAのグロッシ事務局長が率いる専門家チームが調査を行うため現地に向かっています。
グロッシ事務局長は、30日、首都キーウでゼレンスキー大統領と会談しました。このなかでゼレンスキー大統領は「原発からすべてのロシア軍部隊が爆発物や武器とともに排除されて直ちに非武装化されるとともに原発とその周辺に非武装地帯を設けることを世界は支持している」と述べました。

さらに、原発をウクライナ政府の管理下に完全に移すことでしか危険を取り除くことはできないという考えを強調しました。

アメリカのメディアによりますと調査は31日から9月3日までの間、行われる予定だということです。

調査について、ロシアの新聞「イズベスチヤ」は30日、ザポリージャ州の一帯を掌握した親ロシア派のトップが、調査に同行し原発の状況などを説明する予定だと伝えています。
一方、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は30日、SNSに「ロシアは、IAEAの専門家チームが原発に向かうための経路を意図的に砲撃している」と投稿し、ロシアが調査を妨害しようとしていると非難しました。

これに対し、ロシア国防省は「ウクライナ軍は、この24時間のうちに原発の敷地内に2発の砲弾を撃ち込んだ」としていて砲撃を続けていると互いに非難するなか、IAEAの調査が順調に進められるかが焦点となっています。

ウクライナ軍が南部へルソン州で新たな攻勢

ウクライナ軍は29日、南部ヘルソン州のロシア軍が占領する地域で新たな攻勢に乗り出しました。これに対し、ロシア国防省は30日、「ウクライナ軍の攻勢を打ち負かし、ウクライナ軍は兵士1200人以上が殺害された」などと主張しました。

ウクライナ軍は、ロシアが支配する拠点の橋や、弾薬庫を攻撃してロシア軍の補給路に打撃を与えてきたとみられていて南部の領土奪還に向けた本格的な反転攻勢につながるのか注目されています。

EU ウクライナに甲状腺被ばく抑えるヨウ素剤500万個余を提供へ

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所の周辺で砲撃が続き、原発の安全性への懸念が高まる中、EU=ヨーロッパ連合は、ウクライナ政府からの要請を受けて、甲状腺の被ばくを抑えるヨウ素剤の錠剤500万個余りを提供すると発表しました。

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原発の周辺で砲撃が続く中、EUは、30日、甲状腺の被ばくを抑えるヨウ素剤の錠剤、500万個余りをウクライナに提供すると発表しました。

ウクライナ政府からの要請を受けたもので、服用が必要な事態に備えるためだとしています。

一方、EUは30日、チェコで国防相会議を開き、ウクライナへの軍事支援について協議し、EUとしてウクライナ軍を対象にした訓練を行うことで合意しました。

EUの加盟国では、すでにフランスなどが、特定の兵器を供与するにあたってウクライナ軍の兵士に使い方について訓練を行っているということです。

今回、EUとして訓練を行う意義について、ボレル上級代表は記者会見で「ウクライナが必要とする訓練は短期的なものから長期的なものまである。加盟国の能力を集約し、それぞれの得意分野を探すことでウクライナのニーズに一層応じることができる」と述べ、実施に向けて準備を急ぐ考えを強調しました。

ロシア政府系ガス会社 ドイツ向け天然ガス供給きょうから停止

ロシアの国営メディアによりますと、ガスプロムは、ロシアとドイツを結ぶヨーロッパ最大規模の天然ガスパイプラインノルドストリームを通じた供給を31日午前4時、日本時間のきょう午前10時から停止すると明らかにしました。

ロシア側の設備の点検が理由で、9月3日午前4時までの3日間の予定だとしています。
ガスプロムは、すでにノルドストリームを通じた供給量を本来のおよそ20%にまで絞っています。

暖房需要が増える冬を前にヨーロッパでガス不足への懸念が広がる中、このパイプラインでの供給が点検を理由に停止されるのは、先月に続いて2度目で、ドイツなどヨーロッパの国々は、ウクライナ情勢を巡り欧米と対立するロシアがエネルギーを武器に揺さぶりをかけていると警戒を強めています。

フランス向けの天然ガスの供給も1日から停止

ガスプロムは30日、フランスの大手エネルギー会社エンジーに対する天然ガスの供給を一時的に停止すると発表しました。

発表によりますと、供給の停止は9月1日からでことし7月分の供給に対する代金の支払いがなかったことが理由だとしています。

さらにガスプロムは、今回の措置はことし3月に出された大統領令に基づくものだとした上で、代金がすべて支払われるまで、供給の停止を続けると通告したとしています。

ロシアからフランスへの天然ガスをめぐっては30日、エンジーがガスプロムから供給を減らすと通知があったと発表していました。