オミクロン株対応ワクチン「感染の抑え込み期待できる」専門家

新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの接種を9月中に始める方向で政府が調整を進めていることについて、ワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「今は感染者数が減らず、死亡者数が増えている。オミクロン株対応のワクチンなので、重症化予防と同時に、感染を抑え込み、緩やかであっても感染者数が減少傾向を示す期待ができると思う」と述べました。

今回のワクチンは今広がっているオミクロン株の「BA.5」ではなく、ことし初め以降広がった「BA.1」を元につくられています。

ファイザーによりますと、これまでの臨床試験ではオミクロン株対応のワクチンを4回目の接種として使った場合、「BA.1」に対し、ウイルスの働きを抑える中和抗体の値が、従来型のワクチンを使った場合の1.56倍になり、「BA.5」に対しては「BA.1」には劣るものの中和抗体の値は上昇したとしています。

中山特任教授は「今後の変異ウイルスの流行状況にもよるが、重症化を抑えることができ、感染予防効果はある程度限定的だが接種から1か月から2か月は認められると考えられる。また、副反応の頻度は今までのワクチンの2回目、3回目の接種のときに出る頻度と同じ程度と考えられる。対応が遅れればそれだけ感染者数が増えるので、なるべく早くオミクロン株対応のワクチンを導入する必要がある」と話しています。

いつ、どのワクチンを接種するかについては「オミクロン株対応のワクチンを多くの人が受けられる環境が整うまでには時間がかかるかもしれない。今できることで最善を尽くすという意味で、現行のワクチンで3回目、4回目の接種を受けることが現実的だ」と話しています。

5~11歳 3回目接種ワクチン承認「子どもも追加接種を」

5歳から11歳までの子どもを対象にした3回目接種の新型コロナワクチンが承認されたことについて、小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「ワクチンの免疫は1回、2回の接種で確実にできるものではなく、日本脳炎やB型肝炎などのワクチンも2回より多く接種している。子どもたちも新型コロナのワクチンを2回接種すると、基礎的な免疫ができるが、それを強く記憶として残すためには3回目の接種が必要になる」と話しています。

さらに、中山特任教授は「新型コロナウイルスの感染拡大の前から、子どもたちが健全な学校生活を送ることができていたのは、いろいろなワクチンを接種して病気から守られてきたからだ。新型コロナのワクチンのことも同じように考えてほしいと思っていて、追加のワクチンは接種するべきだろうと思う」と話しています。