ウクライナの子どもたちが軍事侵攻前に描いた絵画展 東京 渋谷

ウクライナの子どもたちが軍事侵攻が始まる前に家族や日常の風景などを描いた作品展が東京 渋谷区で開かれています。

この作品展は、世界の子どもたちの絵画コンテストを毎年主催している団体が、昨年度の入賞作品の中からウクライナの子どもたちの作品を紹介しようと開いたものです。

会場には、いずれもロシアによる軍事侵攻の前に、当時8歳から15歳の子どもたちが平穏な街や家族などを描いた作品10点が展示されています。

このうち、フロルキフ・ソロミヤさんが15歳の時に描いた「私のママ」という作品は、大好きな母親の笑顔をモチーフに周りをさまざまな色合いの布で飾って母の温かさを表現しています。
また「オデーサの家」は、攻撃がたびたび報じられているオデーサに住む11歳の男の子が街の風景を描いたものです。

主催者によりますと、ことしで開催30周年を迎えるコンテストにウクライナからはこれまで延べ1万2000点を超える応募がありましたが、ことしはまだ1点も寄せられていないということです。

子どもと一緒に鑑賞に訪れた40代の女性は「色彩が豊かで目をひきました」と話していました。

主催した「家の光協会」の村田佳穗さんは「ウクライナの子どもたちがいかに多彩な個性を持っているのかが分かるので、作品を通じて子どもたちに思いをはせてほしいです」と話していました。

この作品展は、渋谷区の「Bunkamura」で来月6日まで開かれています。

母親を描いた学生「一人一人の魂は笑顔で咲く」

「私のママ」を描いたフロルキフ・ソロミヤさんは、ウクライナ西部の出身で、現在は大学で絵画を学ぶためポーランドに住んでいます。

母親と弟もポーランドに避難していますが、父親だけは現在もウクライナに残っているということです。
作品は、ウクライナにいた当時わずか1日で仕上げたもので、モチーフに選んだ母親については「母が笑顔を見せると、母の心の温かさが私に伝わってきます」と話していました。

戦争の前と後で、自分の作品については負の感情も含めてありのままを描くように変化したということですが、平穏に暮らしていた当時に描いた今回の作品については「『一人一人の魂は笑顔で咲く』と思っています。母の笑顔を通じて、誰もが心の中に花を咲かせているということを伝えたいです」と話していました。