ウクライナ軍 南部で新たな攻勢か ロシアの防衛線突破の報道も

ウクライナ軍は南部ヘルソン州で新たな攻勢に乗り出し、一部でロシア軍の防衛線を突破したと地元メディアが一斉に伝えました。これに対しロシア国防省は「防衛の結果、ウクライナ軍は大きな損失を被った」と主張していて、ウクライナによる南部の領土奪還に向けた本格的な反転攻勢につながるか注目されます。

ウクライナの複数のメディアは29日、南部ヘルソン州のロシア軍が占領する地域でウクライナ軍が新たな攻勢に乗り出し、ロシア軍の防衛線を突破して部隊の一部を後退させていると伝えました。

ウクライナ軍の報道官は「この1週間で10以上の弾薬庫を破壊した」と述べて現地に展開するロシア軍の補給を断つ作戦に力を入れてきたことを明らかにしましたが、今回の攻勢については「軍事作戦には沈黙が必要だ」と述べるにとどまりました。

これに対しロシア国防省は29日「ウクライナ軍がヘルソン州などに攻勢をかけようとしたが、ロシア軍の防衛の結果、大きな損失を被った。ウクライナ軍の戦車や軍用機は破壊され、ウクライナの兵士560人以上が殺害された」などと主張しています。

ヘルソン州の南に隣接し、8年前にロシアが一方的に併合したクリミアでは今月に入って駐留するロシア軍の施設などで爆発や攻撃が相次ぎ、ロシア側に動揺を与えていると言われています。

ウクライナ政府は欧米から支援を受けた兵器で東部ドンバス地域でロシア軍の進撃を食い止めるとともに南部では反撃を強化したいとしていて、今回の攻勢が南部の領土奪還に向けた本格的な反転攻勢につながるか注目されます。