【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(30日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる30日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ザポリージャ原発 IAEA調査前に双方が非難の応酬

ザポリージャ原子力発電所の安全確保に向けたIAEA=国際原子力機関の専門家チームの現地入りを前に原発をめぐるウクライナとロシア双方の非難の応酬が続いています。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は30日、SNSに「ロシアは、IAEAの専門家チームがザポリージャ原発に向かうための経路を意図的に砲撃している」と投稿し、ロシアがIAEAの調査を妨害しようとしているとして非難しました。

一方、ロシア国防省は30日「ウクライナ軍は、この24時間のうちに原発の敷地内に2発の砲弾を撃ち込んだ」として、ウクライナ側が原発への攻撃を続けていると主張しました。

また、ザポリージャの一帯を掌握する親ロシア派の幹部も30日、SNSで「原発がけさ、ウクライナ軍から砲撃を受けた。グロッシ事務局長が率いるIAEAの任務を妨害するのが目的だ」と主張していて、双方の非難の応酬が続く中、専門家チームの調査が順調に行われるかが焦点となっています。

ハルキウ州 知事 “ロシア軍の砲撃で13人死傷”

ウクライナ東部のハルキウ州のシネグボフ知事は30日、SNSで「きょうハルキウ中心部でロシア軍の砲撃があり、すでに4人が死亡し、けが人は9人にのぼっている」と明らかにしました。

そのうえで「救急隊が現場に到着し、救助活動を行っていて、情報を整理しているところだ。さらなる砲撃が起こりえるので避難場所にとどまっていてほしい」と住民に呼びかけています。

ハルキウ州ではロシア軍がミサイル攻撃を繰り返しているとみられ、シネグボフ知事は今月17日から18日にかけても子どもを含むあわせて17人が死亡し、42人がけがをしたとSNSで発表しています。

ザポリージャ原発 「事故なら広範囲が汚染」 気象当局幹部

ウクライナにあるヨーロッパ最大級のザポリージャ原子力発電所への攻撃が相次ぐ中、ウクライナ政府の放射線監視部門の幹部は、重大な事故に発展した場合「放射性物質はウクライナだけでなくロシアやヨーロッパにも到達しうる」と述べ、気象条件などによっては汚染が広範囲に及ぶという見方を示しました。

ザポリージャ原発では今月に入って砲撃が相次ぎ、25日には外部電源が一時失われるなど、重大な事故の懸念が高まっています。

こうした中、ウクライナ気象当局で空間の放射線量の監視などを行っている部門の幹部オレグ・ボイツェホビッチ氏が29日、NHKの取材に応じました。

この中でボイツェホビッチ氏は、万が一砲撃などで重大な事故に発展した場合「放射性物質はウクライナだけでなくロシアやヨーロッパにも到達しうる」と述べ、気象条件や事故の規模によっては汚染が国内外の広範囲に及ぶという見方を示しました。

さらに、原発の敷地を含む広い範囲をロシア軍が掌握しているために、トラブルや事故があっても原発の運営企業などが十分な対応に当たれず、当局が住民の避難を円滑に行えないおそれがあると指摘しました。

そのうえでボイツェホビッチ氏は、今週中に現地入りする予定のIAEA=国際原子力機関の専門家チームについて「短期間の訪問では問題の解決はできない」と述べ原発の安全確保のため、長期にわたり現場で活動すべきだと訴えました。

ゼレンスキー大統領 全領土奪還に向け戦う姿勢改めて強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、新たに動画を公開し、「われわれはハルキウ州やルハンシク州、ヘルソン州などを取り戻す。ウクライナに帰属するすべてのものが解放されるまで止まることはない」と述べ、新たな攻勢に乗り出したと伝えられている南部ヘルソン州を含むすべての領土の奪還に向けて徹底的に戦う姿勢を改めて強調しました。

ウクライナ軍 南部で新たな攻勢か ロシアの防衛線突破の報道も

ウクライナの複数のメディアは29日、南部ヘルソン州のロシア軍が占領する地域でウクライナ軍が新たな攻勢に乗り出し、ロシア軍の防衛線を突破して部隊の一部を後退させていると伝えました。

ウクライナ軍の報道官は「この1週間で10以上の弾薬庫を破壊した」と述べて現地に展開するロシア軍の補給を断つ作戦に力を入れてきたことを明らかにしましたが、今回の攻勢については「軍事作戦には沈黙が必要だ」と述べるにとどまりました。

これに対しロシア国防省は29日「ウクライナ軍がヘルソン州などに攻勢をかけようとしたが、ロシア軍の防衛の結果、大きな損失を被った。ウクライナ軍の戦車や軍用機は破壊され、ウクライナの兵士560人以上が殺害された」などと主張しています。

南部ミコライウ州の知事 “ロシアの砲撃で死傷者”とSNSに

ウクライナ南部ミコライウ州のキム知事は29日に「ロシア側から少なくとも12回の砲撃を受け、2人が死亡し24人がけがをした」とSNSで明らかにしました。
29日に現地で撮影された映像では砲撃を受けた住宅が原形をとどめないほど破壊され、がれきが散乱している様子や救急隊員がけが人の手当てをしている様子が確認できます。
ミコライウ州は、ロシア軍が占領しウクライナ軍が新たな攻勢に乗り出したヘルソン州に隣接しています。

米ホワイトハウス関係者 IAEAの原発の現地調査に言及

IAEA=国際原子力機関の専門家チームが今週、ウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所で調査を行うために現地入りすることについて、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は29日、記者団に対し「専門家の派遣を全面的に支持する。ロシアは専門家チームの安全と自由なアクセスを確保する必要があり、原発周辺を非武装化することにも同意すべきだ。われわれは原発近くでの戦闘はやめるべきだということを明確にしてきている」と述べました。