聴覚障害児の事故めぐる裁判 賠償金の算出 遺族“公平に”

大阪 生野区で、聴覚に障害のある女の子が交通事故に巻き込まれて亡くなり、遺族が賠償を求めている民事裁判で、事故を起こした運転手側が、賠償金の額は聴覚障害者の平均賃金で算出すべきだと主張していることに対して、女の子の父親が法廷で「差別だ。公平な判断をお願いしたい」と訴えました。

平成30年2月、大阪 生野区でショベルカーが歩道に突っ込み、近くの聴覚支援学校に通う井出安優香さん(当時11)が亡くなった事故で、遺族は運転手と勤務先の会社に対して損害賠償を求める民事裁判を大阪地方裁判所に起こしています。

これまでの裁判で運転手側は、井出さんが将来働いて得られると見込まれる収入の損失分「逸失利益」について、労働者全体の平均賃金のおよそ6割にとどまる「聴覚障害者の平均賃金で算出すべきだ」と主張しています。

一方、遺族は聴覚障害を前提にせず、労働者全体の平均賃金で算出するよう求めています。

29日の裁判で父親の井出努さんの尋問が行われ「娘に会いたいという気持ちから死にたいと思うこともあり、苦しい思いをしている。相手側の主張は差別だと思う。公平な判断をしてもらいたい」と訴えました。

両親「しっかりと裁判官に届いてほしい」

裁判のあと、井出安優香さんの両親は会見を行い、父親の努さんは「悔しい思いをぶつけることができて、気持ちとしてはすっきりしている」と話しました。

また、母親のさつ美さんは、29日の裁判で、娘が特別支援学校に加えて健常者と同じ塾にも通い、苦手だった科目にも積極的に取り組んでいたことなどを証言しました。

そのうえで、会見では「きょうが裁判官に訴える最後の日でした。とにかく、安優香の11年間の努力を100パーセント伝えたいという思いがありました。しっかりと裁判官に届いてほしいと思います」と話していました。