ウクライナ 欧州最大級の原発で砲撃相次ぐ 安全性の懸念高まる

ウクライナにあるヨーロッパ最大級の原子力発電所の敷地内では27日も繰り返し砲撃があり、ウクライナとロシアの双方が相手の攻撃だったと非難しています。
IAEA=国際原子力機関の専門家チームが現地入りする予定となる中、原発の安全性への懸念が高まっています。

ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大級のザポリージャ原発では砲撃が相次いでいて、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、27日も敷地内でロシア軍による砲撃が繰り返しあったと発表しました。

発表では、発電所の建物が被害を受け、水素漏れや放射性物質の拡散などのおそれがあるとしていますが、調査中だとして詳しい状況は明らかにしていません。

これに対しロシア国防省は、ウクライナ側の攻撃だと非難したうえで「原発の放射線レベルは正常だ」としています。

原発の安全性への懸念が高まる中、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長が専門家チームを率いて近く、現地入りする考えを表明しています。

ただ「エネルゴアトム」は、ロシア軍が原発での犯罪行為や軍事施設として使用している事実について、口外しないよう原発の従業員に圧力をかけていると訴えています。

一方、ウクライナの農産物の輸出再開のために設置された共同調整センターで調整官を務める国連の担当者は27日の声明で、今月1日以降に輸出された穀物などは100万トンを超えたことを明らかにしました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、26日に公開した動画で「ロシアが深刻化させたかった食料危機から多くの国の人たちを救うことができた」と述べ、食料供給の安定のために今後、毎月300万トンの農産物の輸出を目指す考えを強調しました。