ザポリージャ原発に繰り返し砲撃 双方が“互いの攻撃”と非難

ロシア軍が侵攻するウクライナでは27日もヨーロッパ最大級の原子力発電所の敷地内で、繰り返し砲撃がありました。ウクライナとロシアの双方が互いの攻撃だったとして非難していて、安全性への懸念が高まっています。

ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大級のザポリージャ原発では、砲撃が相次いでいて、ウクライナの原子力発電公社、「エネルゴアトム」は27日も、この1日の間で、原発の敷地内でロシア軍による砲撃が繰り返しあったと発表しました。

発表では発電所の建物が被害を受け、水素漏れや放射性物質の拡散などのおそれがあるとしていますが、調査中だとして詳しい状況は明らかにしていません。

これに対し、ロシア国防省は「ウクライナ軍が原発に対して17発の砲弾を発射した。このうち4発が核燃料貯蔵施設の屋根に命中した」として、ウクライナ側の攻撃だと非難しています。

そのうえで、「原発の放射線レベルは正常だ」としていますが、安全性への懸念が高まっています。

一方、原発の安全性の確保を目指し、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長が専門家チームを率いて近く、現地入りする考えを表明しています。

ただ、ウクライナの「エネルゴアトム」は、ロシア軍が原発の従業員に対して原発での犯罪行為や軍事施設として使用している事実について口外しないよう、圧力をかけているとも訴えています。

また、ロシア軍はウクライナ各地で攻撃を続けていて、イギリス国防省は27日「過去5日間で、東部ドネツク州でのロシア軍の攻撃が激しさを増しているとみられる」と指摘しました。

そして「ロシア軍はウクライナの部隊を東部に足止めさせようとしている可能性がある」として、ウクライナ軍が南部で反転攻勢を強めていることを受けこれに対抗する狙いがあると分析しています。

こうしたなか、ロシアのプーチン大統領は27日、ウクライナからロシアに避難してきた人々に対し、▼ロシアでの労働条件を緩和したり、▼高齢者や妊婦などに、支援金を支払うことを指示する大統領令に相次いで署名しました。

支援する姿勢を打ち出すことで、ウクライナの人々の支配を強めたい思惑があるとみられます。

また、プーチン政権は早ければ来月11日にも支配地域の併合をにらみ、住民投票を実施する準備を進めているとみられますが、ウクライナ側が激しく抵抗する中、計画通りの実施が難しくなっているという見方も出ています。