ウクライナ大統領 原発 最悪回避に向け IAEA専門家派遣求める

ロシア軍の侵攻が続くウクライナでは、原子力発電所の周辺で砲撃が相次ぎ、原発への送電線が一時、切断される事態となりました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は状況は非常に危険なままだとして、IAEA=国際原子力機関の専門家チームができるだけ早く現地入りすることが欠かせないと訴えています。

ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大級のザポリージャ原子力発電所では、周辺で砲撃が相次ぐなど安全性への懸念が高まっていて、25日には、原発付近で発生した火災により原発への送電線が一時、切断されました。

その後、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は26日、原子炉が再び送電網につながったことを明らかにしました。

ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領は、26日に公開した動画で「最悪のシナリオは回避できたが、依然として状況は非常に危険なままだと強調したい。送電線が切断されるなどの事態が繰り返されれば、原発は再び危機にさらされる」と述べ、危機感をあらわにしています。

そのうえで、安全性を確保するためIAEAの専門家チームができるだけ早く現地入りすることが欠かせないと訴えています。

こうした中、IAEAは26日、声明を発表し、早ければ数日以内の専門家チームの派遣を目指して関係者と調整を続けていることを明らかにしました。

IAEAは、今回の送電線の切断は、ウクライナで戦闘が続く地域に位置する原発の脆弱性を浮き彫りにしたと指摘していて今後、専門家の派遣がすみやかに実現するかが引き続き焦点になっています。