学校の校則「HPなどで公開が適切」手引き改訂へ 文部科学省

学校での行き過ぎた校則が問題となる中、文部科学省は生徒指導の手引きを改訂し、「ホームページなどで校則を公開することが適切だ」と示すことになりました。
透明性を高めることで校則の見直しが進むことが期待されます。

文部科学省は、小学校から高校までの生徒指導の手引きとなる「生徒指導提要」を12年ぶりに改訂するため、有識者などでつくる協力者会議で議論を進めていて、26日は9回目の会議でその案が取りまとめられました。

このうち校則の項目では、「理不尽な校則は学校が見直す努力が必要」などと委員の指摘があったことから、
▽校則を誰でも確認できるように学校のホームページなどで公開し、制定の背景や見直しの手続きも示すことが適切だとしたほか、
▽児童や生徒が校則の見直しに参加することに教育的な意義があるとしました。

現行の生徒指導提要で触れられていない『子どもの権利』を明記し、子どもは自由に自分の意見を表明する権利を持っていることなどを理解するよう求めています。

LGBTなど性的マイノリティとされる児童や生徒への支援として、
▽自分が認める性別の制服を着ることや、
▽多目的トイレの利用を認めることなどを挙げています。

改訂される「生徒指導提要」は文部科学省のホームページで早ければ来月にも公開される予定です。

校則公開の過程で見直し進んだ地域も

校則をウェブで公開する過程で見直しが進んだという地域もあります。

岐阜県教育委員会は3年前、すべての県立高校に対して、校則をホームページに公開するように指導し、現在、すべての高校の校則が公開されています。

校則の公開を前に、県教委は下着の色を制限したり、学校に旅行の届け出や許可を求めるような校則がないか実態調査を行い、このような校則についてはすべての高校で見直しが進んだということです。

生徒自身が校則を考える機会を設けようと、制服など服装の規定について生徒が主体となって話し合う機会が作られるなどの取り組みも進んでいます。

岐阜県教育委員会の増田康宏学校安全課長は「校則を公開することで学校の内外で興味関心が高まり、議論がしやすくなった。生徒たちの間では、『自分たちで作ったから校則を守る』といった動きも出てきている。先生側も校則が適正かどうか考え、企業側に意見を求めるなど積極的な動きが出てきている」と話していました。

三重県の県立高校では去年、校則からは削除されたにもかかわらず、「ツーブロック」の生徒に短髪にするよう指導をしたり、「地毛証明書」の提出を求めていた学校が相次いで見つかったことから、県教委は、見直された校則の規定と実際の指導が一貫するよう求めるとともに、より透明性を高めるために、すべての県立高校に対して、校則を公開するように指導したということです。

その結果、ことし3月末までにすべての県立高校が校則をホームページで公開したということです。

名古屋市教育委員会も去年、市内の小学校から高校まで、学校の決まりや校則をホームページで公開するよう校長会を通じて求め、近く実態調査を行うとしています。

生徒や親世代の反応は

校則をホームページなどで公開する方針について、東京の渋谷駅前で話を聞きました。

このうち、高校1年生の女子生徒は「一度きりの高校生活なので、入学前に校則を知られるのはいいと思う。制服を着た写真をSNSにあげてはいけないと知らず、始末書を書かされたことがあり、嫌な思いをしたことがある」と話していました。

高校1年生の男子生徒は、「中学生のころ、中学生らしい髪型にするようにという校則があったが、判断基準が自分にあるのか教員側にあるのかよくわからなかった。基準を細かく書いてほしい」と話していました。

50代の男性は「校則に納得のいかない生徒はいると思う。自分もかつて、地毛が明るかったため教員に『黒く染めろ』と言われた経験があり、無駄だと感じた。時代に合わせたものにしていくことはとても大事だと思う」と話していました。

日本若者協議会 室橋代表理事「明文化の効果大きい」

若い世代の声を社会に反映させる活動をしている日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は今回の生徒指導提要の改訂案について、「校則は学校の法律のようなものなので、ホームページに公開されることで外の目が入り、保護者や地域住民とも共通認識が持てるし、生徒も声を上げやすくなるので大きな意義がある」と評価しました。

また、見直しの手続きを示すことについても触れていることについて、「これまでの校則は明文化されていない部分も多く、先生によって言うことが違うケースや、どうやって変えるかの手続きが決まっていないため校長の権限で決めているケースが多かった。ルールにのっとって見直しできるようになるのは、非常に重要で、明文化される効果は大きい」と話しています。

そのうえで今後、求められることについて、「学校の教員たちが生徒指導提要を読み込み、どう現場に落とし込んでいくのかが課題だ。今の教員が忙しすぎる問題もあって生徒指導の改訂を学ぶ時間もない現実がある。子どもの権利を学ぶ研修などを検討するとともに、教員が余裕を持てる労働環境づくりも大事だ」と話しています。