ウクライナ 原発で砲撃相次ぐ IAEAが現地に専門家派遣を表明

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所の送電線が、火災によって切断されたことについて、ゼレンスキー大統領は25日、ロシア軍の攻撃によるものだと非難しました。
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、数日以内に現地に専門家チームを派遣する意向を明らかにしていますが、支障なく現地入りできるかが焦点となっています。

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所では、今月、砲撃が相次いでいて、ロシアとウクライナの双方が、砲撃は相手側によるものだと主張し、互いを非難しています。

25日も、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」が、ザポリージャ原発付近で発生した火災により、原発への送電線が切断されたことを明らかにしました。

これについてゼレンスキー大統領は「ロシアは、ウクライナとヨーロッパ全体を原子力災害の一歩手前にまで追いやった」と述べロシア軍による攻撃だと強く非難しました。

そのうえで「IAEAなどの国際機関は、より迅速に行動すべきだ。ロシア軍が原発にとどまる1分1秒が、世界的な原子力災害のリスクになるからだ」として、原発周辺から一刻も早く撤退するようロシアに圧力をかけることを国際社会に呼びかけました。

また、ゼレンスキー大統領は25日、アメリカのバイデン大統領と電話で会談し、ロシアに対し、原発の管理をウクライナ側に戻し、IAEAの専門家チームが立ち入りできるよう求める考えで一致しました。

こうした中、IAEAは声明を発表し、グロッシ事務局長が原発の状況を調査する専門家チームを率いて、数日以内に現地に向かう意向であることを明らかにしました。

ヨーロッパ最大級のザポリージャ原発では大規模な事故への懸念が高まっていて、専門家チームが支障なく現地入りできるかが焦点となっています。