【随時更新】ロシアウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

IAEA グロッシ事務局長「福島の原発事故も冷却システム喪失」

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、フランスの有力紙「ルモンド」のインタビューに答え、火災による送電線の切断も伝えられているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所について、東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故も引き合いに出し、事態の深刻化に警鐘を鳴らしました。

IAEAのグロッシ事務局長は原発の状況を調査する専門家チームを率いて、数日以内に現地に向かう意向を明らかにしています。

26日に公開されたインタビューで、グロッシ事務局長は「現地では、使用済み核燃料プールを調査し原子炉の冷却に不可欠な電力供給の問題に取り組む。福島の原発事故も冷却システムの喪失によって起きた。事故のシナリオを排除できない」と述べ、東日本大震災での原発事故も引き合いに出し、事態への危機感をあらわにしました。

また「私のねらいは、調査の任務のあと、専門家がザポリージャに永久的にとどまることであり、そうした合意が結べるよう、取り組んでいる」とも述べ、IAEAの専門家をザポリージャ原発に常駐させたい考えも明らかにしました。

英国防省 “ロシア軍の停滞 ウクライナの猛烈な抵抗のため”

イギリス国防省は26日、ロシアのショイグ国防相が「ロシア軍の進軍が遅くなっているのは、民間人の犠牲を防ぐためであり意図的にやっている」などと主張したことに対し、「誤った主張だ。ロシア軍の攻勢が停滞しているのは、ロシア軍の戦果が乏しく、ウクライナ側の猛烈な抵抗によるものだ。前進が不十分だったため、ロシア軍の少なくとも6人の将校が解任された可能性が高い」と指摘しました。

そして、軍事侵攻から半年となった24日も東部の鉄道の駅などがロシア軍のミサイル攻撃を受け、子ども2人を含む多数の市民が殺害されたことについて「ロシア側が、巻き添え被害を引き起こす意図があることを浮き彫りにしている」として、市民を巻き込む無差別攻撃を意図的に続けていく恐れがあると警告しています。

核拡散防止条約 再検討会議合意は不透明 ロシアの反発も

ニューヨークの国連本部で今月1日から開かれているNPTの再検討会議では、25日に合意を目指す「最終文書」の修正草案が議長から各国に示されました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で核の脅威が高まる中、修正草案では、核兵器の保有国が非保有国に対して核の使用や威嚇を行わないと約束することが盛り込まれていますが、当初の草案にあった核保有国に「先制不使用」の政策をとるよう求める内容が核保有国や核抑止力に頼る国々の反対で削除されました。

また、ロシア軍が掌握し砲撃が相次いでいるウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所について、当初の草案ではロシアによる管理からウクライナ当局の管理下に戻すよう求めていましたが、ロシアの反発を受け修正草案ではウクライナ当局による管理の重要性を確認する表現にとどめられました。

会議では25日、修正草案をもとに非公開の全体会合や個別の2国間交渉などが断続的に行われましたが、修正草案の内容は不十分だとして変更を求めている国もあるということで、26日の最終日に合意できるかどうかは依然として不透明です。

ゼレンスキー大統領「原子力災害の一歩手前にまで追いやった」

ゼレンスキー大統領は25日に公開した動画で、南東部のザポリージャ原子力発電所の送電線がロシア側の攻撃によって損傷したとした上で「ロシアはウクライナとヨーロッパ全体を原子力災害の一歩手前にまで追いやった」と述べロシア側を強く非難しました。

そして「IAEAなどの国際機関は、より迅速に行動すべきだ。ロシア軍が原発にとどまる1分1秒が、世界的な原子力災害のリスクになるからだ」として、原発周辺から一刻も早く撤退するようロシアに圧力をかけることを国際社会に呼びかけました。

米・ウク 両首脳 “原発の管理をウクライナに戻すよう求める”

アメリカ・ホワイトハウスの発表によりますと、バイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は25日、電話で会談し、ウクライナのザポリージャ原子力発電所をめぐり、意見を交わしました。

この中で両首脳は、ロシアに対し、原発の管理をウクライナ側に戻し、IAEA=国際原子力機関の専門家チームが立ち入りできるよう求める考えで一致したということです。

また、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は記者会見で「ロシアは原発付近を非武装地帯にすることに同意すべきだ」と述べ、ロシアに対し、原発周辺での軍事作戦をただちにやめるよう重ねて求めました。

ザポリージャ原発 火災で一時 送電線が切断

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は25日、南東部のザポリージャ原子力発電所付近で発生した火災により原発への送電線が切断されたと明らかにしました。
ザポリージャ原発に外部からの電源を供給する送電線4系統は、これまでに3系統が砲撃などにより切断されていて、今回、残る1系統が切断されたということです。公社は「侵略者の行動により、原発が送電網から完全に切り離された。原発ができてから初めてのことだ」とロシア側を非難しました。

その後、IAEA=国際原子力機関が発表した声明によりますと、ウクライナ側からは復旧したという連絡が入ったということです。IAEAは原発には予備としてディーゼル燃料の発電機があるとしながらも、「確実な外部電源の供給は原子力の安全確保に欠かせない」と改めて訴えています。

ロシア軍が掌握するヨーロッパ最大級のザポリージャ原発周辺では今月に入って砲撃が相次ぎ、大規模な事故への懸念が高まっていて、IAEAは調査のため、数日以内に専門家チームを現地に向かわせる意向です。

“原発調査 専門家チーム 数日以内に現地へ” IAEA

砲撃が相次ぎ、安全性への懸念が高まっているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所の状況を調査する専門家チームの派遣について、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は数日以内に実現するとの認識を示しました。

グロッシ事務局長は、25日に行われたフランスのニュース専門チャンネル「フランス24」とのインタビューで、専門家チームの派遣に向けた交渉が合意に達するかどうかについて問われると「わたしたちはそれに近づいている」と述べました。

また、派遣がいつ実現するかについては「数日で」と述べ、今後、数日以内に専門家チームの派遣が実現するとの認識を示しました。

IAEAは、このあと声明を出し、グロッシ事務局長みずから専門家チームを率いて数日以内に現地に向かう意向であることを明らかにしました。

“クラスター爆弾 ウクライナで200人超死亡” 国際的人権団体

国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」などは25日、クラスター爆弾による被害や各国の政策をまとめたことしの報告書を公表しました。
報告書によりますと、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ国内では、とりわけロシア軍や親ロシア派の武装勢力によって、少なくとも10の州で合わせて数百のクラスター爆弾が使われたとみられるということです。

一方、ウクライナ軍も東部や南部などのロシア側の支配地域で、少なくとも3回使用した可能性があると指摘しています。

こうした攻撃によって、ウクライナ国内では、7月の時点で215人が死亡し、474人がけがをしていて、確認ができたウクライナ側の被害者はすべて民間人だったということです。

クラスター爆弾は、1つの爆弾の中に入った小型の爆弾が飛び散る仕組みで、殺傷能力が高いことなどから使用を禁止する国際条約がありますが、ロシアやウクライナは参加していません。

記者会見を行った調査チームの代表は「クラスター爆弾によって最初に犠牲になるのは市民だ。不発弾などが長く残り、何年もあとに犠牲が出ることもある」と述べ使用の禁止と、条約への参加を訴えました。

プーチン大統領 兵士13万7000人増の大統領令に署名

ロシアのプーチン大統領は、ロシア軍の兵士の数を13万人余り増やし、兵士の総数をおよそ115万人にする大統領令に署名しました。ウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、ロシア軍の兵力を増やす方針に転換した形です。
ロシア大統領府は25日、プーチン大統領がロシア軍の兵士の数を13万7000人増やし、兵士の総数をおよそ115万人にする大統領令に署名したと発表しました。

大統領令は来年1月1日に発効するとしています。

ロシア大統領府によりますと、ロシア軍の総兵力は2008年には、およそ113万人としていましたが、その後、軍の改革を進めて、2017年にはおよそ101万人にまで削減し、スリム化と近代化を目指していました。

今回、ウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、ロシア軍の兵力を増やす方針に転換した形です。

アメリカ国防総省のカール国防次官は今月8日の記者会見で、ことし2月にウクライナへの軍事侵攻が始まって以降のロシア側の戦死者と負傷者の数が合わせて7万人から8万人に上るという見方を示すなど、ロシア軍が深刻な兵力不足に陥っている可能性があると指摘されていました。