若い世代のコロナ患者を“医療機関につなぐ”オンライン診療

東京 世田谷区では、これまで医療機関につながりにくかった若い世代の新型コロナの患者を中心に、オンラインで診療する取り組みを進めています。

国は24日、新型コロナの感染者について、詳細な情報を把握する対象を自治体の判断で、高齢者など重症化リスクの高い人に限定できるとする方針を示しました。

これについては、医療現場の負担が軽減できるという声がある一方、若い世代を中心に、自宅療養中に体調が悪化した場合、保健所などが気付きにくくなるのではないかという懸念もあります。

東京 世田谷区は、こうした患者をオンライン診療につなぐ取り組みを、今月から始めています。

診療にあたる医師は、区が医療コンサルタント会社に委託して確保しました。

25日も医師がパソコンの画面越しに診察し、薬が必要と判断した場合は、患者のもとにバイクや車で薬が配送されていました。

区によりますと、この取り組みを始める前は、発熱相談センターが患者に医療機関を紹介できないケースが一日に130件を超えた日もあったということですが、オンライン診療を導入した結果、現在は10件程度にまで減少しているということです。

区は、この取り組みを10月末まで継続する予定です。

オンライン診療を担当している福富絵玲奈医師は「どのクリニックに電話してもつながらなくて、オンラインで話を聞いてもらえただけで安心したという人もいました。発熱外来があるクリニックも限られているので、医師にとってもよい取り組みだと感じます。比較的元気な方はオンラインで受診し、重症化リスクのある人に対面診療の枠を残すという、すみ分けができると思います」と話していました。

保健所長「オンライン診療でも重症化リスク診断したケースも」

世田谷保健所の向山晴子所長は「オンライン診療で十分対応可能という方にはそれを紹介することで、医療機関に何度も電話をかけ続ける必要がなくなり、医療機関の方も発熱外来のひっ迫を回避して、本当に丁寧に健康観察する必要がある患者をしっかり診てもらうことができる。オンライン診療でも患者本人はあまり自覚していなくても、問診によって実は重症化リスクがあると診断でき、薬を処方したケースもある」と話しています。

そのうえで「潜在的なニーズはもっとあるはずだが、情報が十分に届いていない部分がある。どんな時にどうしたらいいかというのを東京都とも連携してわかりやすく伝えていきたい。例えば『この薬との飲み合わせはどうなんだろう』など、さまざまな疑問を持っている方もいらっしゃると思う。オンライン診療の枠はあるので、区民と医療機関、保健所が互いにうまく成り立つ地域にしたい」と話しています。