福岡市 救急患者「搬送が困難な事例」高止まり 現場はひっ迫

福岡市では、救急患者の受け入れ先がすぐに決まらない、いわゆる「搬送が困難な事例」が、先週1週間で160件を超え、救急搬送の現場がひっ迫しています。福岡市消防局は「新型コロナウイルスに感染し不安で通報する人もいるが、救急車を呼ぶ前にコロナ専用の相談ダイヤルに電話をしてほしい」と呼びかけています。

総務省消防庁は、患者の搬送先が決まるまでに病院への照会が4回以上あったケースなどを「搬送が困難な事例」として、県庁所在地の消防本部などが毎週、件数をまとめています。

それによりますと、福岡市で先週1週間に搬送が困難だった事例は168件で、前の週の171件からわずかに減ったものの、第7波の前と比べておよそ8倍に達していて、高止まりの状況が続いています。

福岡市消防局の災害救急指令センターでは救急車を要請する通報が昼夜通して途切れず、現在は予備の4台を加えた合わせて36台の救急車が稼働しているということで、救急搬送の現場がひっ迫しています。
福岡市消防局の四島弘救急課長は「新型コロナウイルスに感染して不安で通報する人もいるが、そのような場合はすぐに救急車を呼ばず、コロナの相談ダイヤルに電話してほしい」と話しています。

救命救急センター 受け入れ断られた患者が運び込まれる

救急搬送が困難な事例が各地で相次ぐ中、福岡市の救急医療の中核を担っている「国立病院機構九州医療センター救命救急センター」では、ほかの医療機関に受け入れを断られたあとに運び込まれる患者が相次いでいます。

こうした患者は、22日から24日までの3日間では15人に上っていて、今月中旬には新型コロナウイルスに感染し自宅療養中に症状が悪化した10代の男性が、10の医療機関に受け入れを断られたあと搬送されてきました。

男性はその後、入院して治療を受け、症状が改善したことから別の病院に転院したということです。

この救命救急センターにある救急患者用の病床は9つで、満床の場合は救急車の中で一時的に待機してもらい、病床の調整がついた段階で受け入れることもあるということです。

救命救急センターの野田英一郎センター長は「ほかの複数の病院が同時に受け入れ困難なので、救急の受け入れは止めずに対応しようと頑張っている。今までと同様にマスクをして三密を避けるという基本的な感染対策は徹底してほしい」と呼びかけました。