奈良県警 鬼塚本部長辞意表明「責任痛感」 安倍元首相銃撃事件

安倍元総理大臣が銃撃され死亡した事件で警察庁の検証結果が公表されたことを受け、奈良県警察本部の鬼塚友章 本部長が記者会見を開き、辞職する意向を表明しました。

奈良県警察本部の鬼塚本部長は25日午後4時半から会見を開き、はじめに「改めて安倍元総理が銃撃され亡くなったことに哀悼の意をささげるとともに、遺族を始め関係者の方々にお悔やみ申し上げます。また県民国民の皆様などに不安と心配をおかけしたことを心よりおわび申し上げます」と述べ、深々と頭を下げました。

そのうえで「事態の重大さに鑑み、職を辞して、責任を取るべきであると判断するに至った」などとして辞職する意向を表明しました。

鬼塚 本部長は安倍元総理大臣の街頭演説の際の警護の責任者で、事件当日の朝、原案どおり警護計画を承認していて、警察庁の検証結果では、過去の警護計画を安易に踏襲したことで後方の危険性が見落とされるなどしたと指摘されました。

これについて鬼塚本部長は「結果的に踏襲との記載がありそのとおりだが、警護計画を作成するにあたって以前の計画を参照するのも当然のことではあると考えている。その時々の警護に与える各種の影響を十分に考慮できていたかどうか、その点が十分ではなかった」と述べました。

そして最後に席を立ち上がり「力及ばずこれで県警を去ることになりますが、奈良県警は必ず信頼を取り戻して、県民の国民の皆様のお役に立てるように歯を食いしばってやっていきます」と改めて深く頭を下げ、会場をあとにしました。

警察庁 鬼塚本部長らに懲戒処分発表

警察庁は襲撃を防げなかったとして、奈良県警察本部の鬼塚友章本部長の減給3か月の懲戒処分を発表しました。

また、59歳の警備部長についても減給1か月の懲戒処分としました。

奈良県警 警備に関わった警察官4人の懲戒処分発表

また奈良県警察本部は、事件当時、警備に関わった警察官4人の懲戒処分を発表しました。

このうち現場の責任者だった、県警察本部警備課長の54歳の警視は、「現場で最上位の幹部だったにもかかわらず指揮が不十分だった」と指摘され、減給3か月の処分となりました。警視は事件について「警護対象者の生命を守ることができず、極めて重く受け止めています」と話しているということです。

このほか、警衛警護・危機管理対策参事官の60歳の警視は減給1か月の処分を受けました。60歳の警視は「適切な警護計画の作成の徹底を欠いた」と指摘され、「極めて重大な事態を招いたことに対して責任を痛感しています」と話しているということです。

処分を発表した県警察本部の松井高志 首席監察官は「今回確認された問題点を改めて深く認識し、二度とこのような事態を発生させないよう、職員への指導を徹底してまいります」とコメントしています。

また、県警察本部は「改めましてお亡くなりになられた安倍元内閣総理大臣のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともにご遺族の皆さまに対し、心よりお悔やみを申し上げます。県民の皆さまをはじめ多くの方々に、多大なるご不安、ご心配をおかけすることになり心よりおわび申し上げます」とコメントしています。

鬼塚友章本部長とは

鬼塚友章本部長は福岡県出身の50歳。

九州大学法学部を卒業後、平成7年に警察庁に入り、長野県警の警備第1課長のほか、警察庁警備課警護室長、内閣官房内閣参事官などを経て、ことし3月に奈良県警察本部の本部長に着任しました。

キャリアの中でも要人警護といった警備分野での経歴が長く、警察内部でもいわゆる「警備のプロ」として評価されていました。

鬼塚本部長は着任した際の記者会見で「子どもや高齢者といった社会的弱者にしっかり寄り添い、被害者を発生させないための諸対策を推進したい。日本一安全で安心して暮らせる奈良を実現するため、本部長としての重責を果たし、粉骨砕身努めて参りたい」と述べていました。

先月8日、安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した街頭演説の際は、警護の責任者を務め、県警が作成した「警護・警備計画」を、事件当日の朝に承認していました。

鬼塚本部長は事件の翌日に記者会見を行い「27年の警察官人生での最大の悔恨、痛恨の極みであります。今回の事態が生じてしまったことに対する責任の重さを痛感しております」と話していました。

そして、当時の警備体制については「警護・警備に関する問題があったことは否定できないと考えており、早急にその問題点を把握し適切な対策を講じる」として、問題があったことを認めていました。

奈良県警幹部・県警OBの受け止めは

警察庁が公表した検証結果の中で警備の問題点を指摘され、トップの本部長も辞職の意向を表明する事態となった奈良県警察本部。こうした事態を受けて、県警幹部は「非常に残念である一方、事態の重大さを考えると致し方ない」などと話しています。

この幹部は今後について、「ダメージが大きすぎたが、今回の件を引きずって警察力を低下させるようなことがあってはならない。道のりは険しいが、一丸となって県民の信頼を取り戻していかなければならない」と話していました。

また、現役時代に長く警備に従事してきた県警OBは「招いた結果や社会への影響を考えると奈良県警に対して厳しい検証結果が示されるのはやむをえず、受け止めるしかない」と話していました。

一方で、今後、各都道府県警察が行う警護について、すべて警察庁が関与するとされたことについて、このOBは「選挙期間中は今回のように直前に日程が決まることも多く、すべて報告し承認を得るのは体制的に現実的ではないのではないか」と話していました。