ロシア 軍事侵攻の重要性 子どもに教える愛国合宿などが増加

ロシアでは、ウクライナへの軍事侵攻開始から半年となるなか、子どもたちに政権が説明する侵攻の重要性を教え込み、国を守るために愛国的な人材を育成する合宿などが各地で増えています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから今月24日で半年となるなか、ロシアではプーチン大統領が主導して3年前に始まった軍事愛国的な人材を育成するための施設の建設が各地に広がり、ことしは去年よりも30か所ほど増えて70か所以上にのぼっています。

施設はロシア国防省が自治体と協力して運営していて、夏休みには子どもたちを対象に無料の合宿が行われています。
このうちことし初めて開催されているロシア極東のサハリン州の合宿には州が事実上管轄する北方領土も含む各地域から10歳から17歳までの男女合わせて180人が参加し、来月3日までの20日間、さまざまな訓練が行われています。

合宿では元軍人などが教師になり、走り込みなど身体を鍛える訓練だけでなく、ロシアの伝統的な戦闘の手法や銃の組み立て方などを学んでいます。

参加した16歳の男性は「とても楽しいです。過去に何が起きたかを知り、母なる国を愛し尊敬し、今後起きるかもしれない戦争に備えるためにも重要な合宿だと思います」と話していました。

教師の1人、ウハトキン氏は「私たちの仕事は子どもたちに将来の戦争に向けて準備をさせることです。今こそロシアは力を誇示する必要があり、愛国心を示す時です」と述べました。
一方、ロシア極東・ウラジオストクの地元の子どもたちおよそ270人が通う愛国クラブでは夏休みに合わせて特別授業が開かれています。

教師を務めるのは国境警備隊や海軍などに所属していた人たちで、ことし2月にウクライナへの軍事侵攻が始まったことを受けて授業はより愛国的な内容になっています。

授業では教師が「ニュースを注視している人は手を挙げて」と呼びかけ、子どもたちの軍事侵攻についての質問に答えながらプーチン政権の主張を説明していました。

そして生徒の1人から「ウクライナでの武力紛争はなぜ半年も続いているのか」という質問が出ると、教師は「われわれの目的はウクライナからナチス的な要素を取り除くことだ/わが軍を守り、人々の命を救うためにゆっくり確実に行っている」と述べ、戦争ではなくあくまで“特別軍事作戦”で、ウクライナ東部のドンバス地域を解放するためだとするプーチン政権の主張を繰り返し伝え、作戦に遅れが出ているわけではないと強調しました。