
“コロナ感染者数が早期に減少する可能性は低い ” 専門家会合
新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ新規感染者数は社会経済活動が活発化している影響もあって先週の減少傾向から増加に転じ、全国的に過去最多の感染レベルが続いていると分析しました。
感染者数が早期に減少する可能性は低く、医療体制のひっ迫が続くことが予想されるとして、感染リスクのある接触機会を可能なかぎり減らすよう求めました。
専門家会合は、現在の感染状況についてお盆や夏休みなど社会経済活動が活発化している影響もあって、いったん感染者数の減少や高止まりがみられた地域でも急激な増加が継続しているところがあり、全国的に過去最多の感染レベルが続いているとしています。
年代別では、10歳未満を除くすべての年代で増加していて特に20代の増加幅が大きくなっています。
そして、感染者数の増加に伴って、病床使用率はほとんどの地域で5割を超え、一般の医療を含めた医療体制への負荷が長期間に及んでいるとしています。
専門家会合は多くの地域で増加傾向や高止まりが続く可能性があり、今後は夏休みが終わって学校が再開する影響が出ることが懸念されるとしていて、早期に感染者数が減少する可能性は低く、医療体制の厳しい状態が続くことが予想されるとしています。
さらに、亡くなる人の急増が続き、過去最多を超えてさらに増加することが懸念されるとしています。
専門家会合は、症状のある人がみずから検査を行い、陽性の場合、症状の悪化に備えて健康観察を受けられる体制や臨時の医療施設の整備など、医療体制のひっ迫を避けるための対策や高齢者施設の中で療養する患者の増加を踏まえ、酸素濃縮装置を確保するなどの対策が必要だと指摘しています。
さらに、できるだけ早い時期に3回目の接種や高齢者の4回目の接種などを促進していくことや、不織布マスクの正しい着用や消毒、換気の徹底、飲食はできるだけ少人数で飲食時以外はマスクを着用すること、それに、密を避けるなど基本的な感染対策を徹底して感染リスクを伴う接触機会を可能なかぎり減らすよう呼びかけました。
加藤厚労相「死亡者数はさらに増加が懸念」
そして、医療機関や保健所の負担を軽減するため、感染者の全数把握を見直し、自治体の判断で報告の対象を、高齢者や重症化リスクがある人に限定できるようにする政府の方針を報告しました。
また加藤大臣は自宅や施設で療養する人が使う「酸素濃縮装置」について「都道府県に点検をお願いしたところ、合わせておよそ5200台が確保されていることが確認された。台数が少ない都道府県もあるので、国の無償貸し付けの枠組みを利用するよう個別に働きかけを行っている」と述べました。
脇田座長「死亡者数の増加はしばらく続く可能性」
また、新規感染者の「全数把握」の見直しについて「重症化リスクのある人の情報に重点化することで、全体の感染レベルの把握が難しくなるため、新たな方法で感染レベルの動向を把握する必要がある。全数把握を可能なかぎり続けながら、並行して定点把握も速やかに開始するべきだという議論があった」と述べました。
このほか、感染者の療養期間の短縮に関する検討状況について問われたのに対し「2次感染を起こす可能性がある期間は療養するべきだ。オミクロン株が広がり始めたことし1月にデータが出され、『10日間』と設定されていて、根拠としてはその当時から変わっていない。もし短縮するなら、どの程度までリスクを許容する必要があるのかということも議論するべきだ」と述べました。
1週間の新規感染者数 過去最多レベルの状態が続く
首都圏の1都3県では、東京都が0.96倍、神奈川県が0.94倍、埼玉県が1.04倍、千葉県が1.06倍と横ばいから増加となっています。
関西では大阪府が1.22倍、兵庫県が1.13倍、京都府が1.04倍、
東海でも愛知県が1.34倍、岐阜県が1.31倍、三重県が1.51倍と先週から一転して増加しています。
人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県は0.99倍とほぼ横ばいになっています。
また、徳島県で1.79倍、秋田県で1.61倍、富山県で1.56倍、島根県で1.53倍などと、東京、神奈川、沖縄を除く44の道府県で前の週より多くなりました。
人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、佐賀県が1955.53人と全国で最も多くなり、次いで鹿児島県が1946.85人、宮崎県が1908.05人、長崎県が1889.63人、徳島県が1877.40人、そして沖縄県が1757.57人となっているほか、大阪府で1601.34人、東京都で1220.54人など西日本を中心に38の都府県で1000人を超えていて、全国でも1250.05人となっています。