軍事侵攻から半年 隣国ポーランド 熱意に頼る支援活動に限界も

ウクライナからの避難者を最も多く受け入れてきたのが、隣国のポーランドで、避難した人は延べ500万人を超え、今も120万以上の人が、ポーランドに滞在しているとみられています。
ただ、NHKが今月15日、ポーランドとウクライナの国境の様子を取材したところ、今も避難してくるウクライナの市民はいましたが、当初のように国境付近が避難者で混み合う様子は見られず、支援活動の拠点となっていたテントも多くが撤去されるなどしていました。

ポーランドの首都ワルシャワには、3月初めから避難者に食事を提供しているテントが今もありましたが、軍事侵攻から半年が経過する中で、活動を支えてきた個人や企業などからの寄付は減っているといいます。

当初は、多い時で300人分用意できた食事も、この日は25人分しか作れませんでした。

また、企業などから寄付された食品や衣服を避難者に提供してきた別の団体も、資金不足でこの取り組みを6月に打ち切りました。

団体のメンバーは「人々は、今も物資や支援者を必要としています。ただ、私たちもボランティアでやっているので、支援を受けなければ活動は続けられません」と話していました。

ポーランド政府は、ウクライナからの避難者に一時金を支給したほか、避難者を受け入れた家庭や団体には資金面で支援することで、避難者の滞在先を確保しようとしてきました。

しかし、今では「人道的な支援」から避難者の「自立を目指す支援」に力点を置く方針に変わっています。

ただ、避難生活を続ける人たちの中には、自立が容易ではない人も少なくありません。

3月上旬からワルシャワで避難生活を送るオレーナ・ナドトチーさん(43)です。

空いていたアパートの部屋を紹介され、3歳の双子の娘と暮らしてきました。

家賃も当初、無償とされましたが、来月からは部屋の所有者が戻ってくるとして、退去するよう求められています。

ネイリストとして働くナドトチーさんにとって、子どもの世話で仕事ができる時間は限られます。

十分な収入が得られないなかで、新しい部屋は見つかっていません。

ナドトチーさんは「もっと働くことができればアパートを借りられるのですが、高い部屋ばかりで私には払えません」と話していました。

ワルシャワ大学移民研究センターのマルタ・ヤロシェビッチ氏は「だれも戦争がこんなに長く続くとは思っていませんでしたから、人々は支援に疲れてしまったのです。政府による組織的な支援が必要です」と述べ、人々の熱意に頼る支援活動には限界があると指摘します。

そのうえで、ヤロシェビッチ氏は「十分に支援を受けられず、滞在先を失う人がこれから出てくるかもしれません。気温が下がってくれば、より多くの人がまた避難し始めるでしょうし、厳しい状況が秋に生じるかもしれないと懸念しています」と話していました。