侵攻あす半年 “G7と連携 ロシア制裁 ウクライナ支援を”首相

ロシアのウクライナ侵攻が始まって24日で半年となるのを前に、政府は関係閣僚会合を開き、岸田総理大臣はG7=主要7か国などと今後も緊密に連携して、ロシアに対する制裁やウクライナへの支援に当たるよう指示しました。

総理大臣官邸で開かれた会合には、松野官房長官や林外務大臣、それに西村経済産業大臣らが出席したほか、新型コロナに感染し、隣接する公邸で公務を続けている岸田総理大臣もオンラインで参加しました。

会合では、ロシアによるウクライナ侵攻のさらなる長期化が懸念される中、ウクライナ国内の戦況や関係国による外交交渉の状況、それに世界のエネルギー市場や物価の動向などについて、最新の情報を共有しました。

そのうえで、岸田総理大臣は関係閣僚に対し、G7をはじめとした国際社会と今後も緊密に連携し、ロシアに対する制裁やウクライナへの支援に当たるとともに、今もウクライナにいる日本人の保護に取り組むよう指示しました。

また、ウクライナ侵攻をきっかけに国際情勢が不透明さを増す中、エネルギーの安定供給や日本の防衛体制の確保なども指示し、政府を挙げて万全の対応をとっていくことを確認しました。

松野官房長官「政府一体となって対応」

松野官房長官は記者会見で「侵略が長期化する中、内閣改造で一部の閣僚が交代したことも踏まえ、関係閣僚の間で現状認識を改めて共有するとともに、今後の政府全体の対応について議論を行った。岸田総理大臣の指示を受け、引き続き高い緊張感を持って情報収集に当たり、関係省庁間の連携を密にし、政府一体となって対応していく」と述べました。

そのうえで「日本としては今般の侵略の中で核兵器が使用される可能性を深刻に懸念している。唯一の戦争被爆国として、ロシアの核兵器による威嚇も使用も、あってはならないということをさまざまな機会に強く訴えていく」と述べました。

林外相「課題に全力で取り組む」

林外務大臣は記者団に対し「私からは来年、G7=主要7か国の議長国となる日本として、引き続き国際社会と連携し、厳しい対ロ制裁とウクライナ支援を行っていくことや、TICAD=アフリカ開発会議や国連総会などの機会を捉え、国際秩序の原則を守る重要性を訴えていくことなどを申し上げた。外務省として、引き続き高い緊張感を持って、対ロ制裁やウクライナ支援、また、在留邦人保護といった課題に全力で取り組んでいく」と述べました。

浜田防衛相「できるかぎりの支援を」

浜田防衛大臣は記者団に「ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、決して許されない。このような力による一方的な現状変更はインド太平洋地域でも起こりうるものであり、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、わが国の防衛力を抜本的に強化していく」と述べました。

また、ウクライナへの追加の支援について「岸田総理大臣からの指示を踏まえて、できるかぎりの支援を行っていきたい」と述べました。

西村経済産業相「エネルギーの安定供給に全力を」

西村経済産業大臣は会合のあと記者団に対し「会議では特にサハリンなどの状況について説明を行った。岸田総理大臣からはエネルギーの安定供給に万全を期すようにという趣旨の指示があったので、しっかり受け止めて、今後も安定供給に全力を挙げていきたい」と述べました。

そのうえで、ロシア政府が設立したサハリン2の事業を引き継ぐ新会社に、日本の大手商社が参画するかどうかについて「来月4日までに同意するかどうかロシア側への返事が求められている。それぞれにおいて検討を急いでいると思うが、政府としても意思疎通をしっかりはかりながら対応したい」と述べ、官民で連携して対応する考えを重ねて示しました。

一方、電力の需給ひっ迫が見込まれるこの冬に向けての対応については「原子力も再生可能エネルギーも火力もあらゆる選択肢を追求しながら安定供給に万全を期していきたい」と述べました。

鈴木財務相「G7をはじめ国際社会と適切に対処」

鈴木財務大臣は会合のあと記者団に対し、「総理からG7と緊密に連携し、対ロ制裁を含む外交上の対応を継続すること、ウクライナへの積極的な支援を継続することなどの指示があった。財務省としては総理の指示を受けて、引き続き、G7をはじめとする国際社会と適切に対処していきたい」と述べました。

また、これまでのロシアに対する制裁の効果については「金融制裁はG7各国が緊密に連携して広範な措置を科していて、ロシア経済に打撃は与えている。ただ、ロシアの撤退とか、侵略を止めさせるとか、そこまでには至っていないというのが現実だ」と述べました。

松田ウクライナ大使 キーウ入り

ロシアのウクライナ侵攻が始まって24日で半年となるのを前に、外務省は、ポーランドのジェシュフ連絡事務所で業務にあたっている松田邦紀ウクライナ大使が、現地時間の22日、安全状況を含む現地の情勢を視察するためウクライナの首都キーウに入ったと発表しました。

キーウ滞在中、松田大使はウクライナ政府の関係者などと意見交換を行うということです。