ウクライナ侵攻半年 キーウ市民が訴える いまの状況は

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから24日で半年となる中、ウクライナの人たちはどのような状況におかれ、何を望んでいるのか。NHKは、首都キーウの中心部で市民に話を聞きました。

「自宅、仕事、家族 すべてを失った」

30代の女性は「私たちは自宅、仕事、家族を失った。友達、親戚、今まで過ごしていた生活すべてを失った。残念なことに。しかし勝利のためには支援が必要だ」と話しました。

「ドネツク、ルハンシク、クリミアは私たちの領土だ」

50代の女性は「(ロシア人は)ドネツク、ルハンシク、クリミアを返還しなければならない。われわれの領土で彼らの領土ではない。どうして彼らは勝手にわが国に入って、われわれを殺しているのか。私たちの領土だ」と話しました。

「住む場所も生活を維持するお金もない」

20代の男性は「(彼女の両親は)常に仕事を探しているが何も見つからない。住む場所も生活を維持するお金もないのが一番大きな問題だ」と話しました。

「戦争が早く終わってほしい」

20代の女性は「もちろん戦争が早く終わってほしい。もう我慢できない」と話しました。

キーウ市民が訴える いまの状況は

NHKは首都キーウの中心部で、次の3点について市民30人に尋ねました。

▽生活上の悩み
▽事態の収束に向けた考え方
▽国際社会への期待

生活上の悩み「心の病やストレス」「生活上の不便さ」

「生活していく上での悩み」については「戦闘に直面した経験による心の病やストレス」と「防空警報の発令や、店舗の営業時間短縮など生活上の不便さ」が多く、それぞれ8人でした。

キーウでは、いまではミサイル攻撃が減り街に活気が戻り、一見、人々も日常を楽しんでいる様子ですが、防空警報の発令は常態化しています。

第2の都市ハルキウからキーウに避難してきた40代の男性は「子どもが防空警報の音が鳴るたびに、強いストレスを感じている」と話し、20代の女性は「毎晩、警報で起こされ、シェルターに移動するのはとても疲れる。戦争が早く終わってほしい」と話しました。

一方、別の20代の女性は「はじめは市民の犠牲のニュースに涙を流して悲しんだのに、いまでは何も感じなくなったことがつらい」と話していました。

戦争をどう終わらせるか「領土で譲歩せず 最後まで戦う」

「この戦争をどう終わらせるべきか」という質問では、30人のうち28人が「領土で譲歩せず最後まで戦うべき」と答えました。

これに対して「領土で譲歩してでも早く戦争を終わらせるべき」と答えた人は、1人もいませんでした。

それ以外に自由記述で「プーチン大統領とその側近を排除すべき」という回答を寄せた人もいました。

ロシア軍に掌握された南東部の町の出身の20代の女性は「兵士の犠牲がこれ以上増えてほしくないが、戦うしか選択肢はない。ロシアの占領下で暮らしたくないからだ」と話していました。

多くの人が、市民への攻撃を続けるロシアに対する敵対心や不信感を一段と強めている様子で、20代の男性は「ロシアは、ウクライナ人を根絶やしにするつもりだ」と徹底抗戦する必要性を強調していました。

国際社会への期待「欧米側による一層の兵器供与」

「国際社会に期待すること」については、「欧米側による一層の兵器供与」を選んだ人が最も多い19人で、制裁の強化や経済支援を大きく上回り、勝利に向けた支援に大きな期待を寄せています。

東部ドネツク州から避難してきた30代の女性は「家や仕事、家族や友人、侵攻前に手にしていたすべてを失った。ウクライナは勝利する。そのための支援が必要だ」と訴えていました。