ロシアの軍事侵攻から24日で半年に クリミアめぐる攻防も激化

ウクライナは24日の独立記念日を前に、ロシア軍が攻撃を激化させる可能性があると警戒を強めています。一方、ウクライナ政府は23日に、南部クリミアの奪還を目指した国際会議を開催する予定で、軍事侵攻の開始からまもなく半年となる中、クリミアをめぐる攻防も激しくなっています。

ロシア国防省は、22日も南東部ザポリージャ州や南部ミコライウ州、そして東部のハルキウ州やドネツク州など、各地をミサイルで攻撃し、ウクライナ軍の指揮所や装甲車などを破壊したと主張しました。

ウクライナでは、24日、ソビエトからの独立記念日を迎えるのを前に、ロシア軍が攻撃を激化させるという見方が出ていて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は「23日から24日にかけて、ウクライナの都市に向けたミサイル攻撃が増えるだろう。首都キーウも対象に含まれる」と述べ、警戒感を強めています。

一方、反転攻勢を目指すウクライナ軍は、南部ヘルソン州で、22日も、ロシア側が占拠していた橋を攻撃したと明らかにしました。

また8年前ロシアが一方的に併合し、今月に入ってロシアの軍事施設などで爆発や攻撃が相次いでいる南部のクリミアでは、22日、軍港都市セバストポリでロシア側の行政府のトップを務めるラズボジャエフ氏が「セバストポリ郊外で防空システムが作動し、無人機を撃墜した」とSNSで報告しました。

こうした中、ウクライナ政府は23日、クリミア奪還を目指して各国との協調を図る2回目の国際会議をオンラインで開催する予定です。

これを前にウクライナのクレバ外相は22日、会議にはおよそ60の国や国際機関が参加すると見通しを示したうえで「クリミアはこれまでもこれからもウクライナであり続ける」と述べ、各国との連携を強化し、ロシアに圧力をかけるねらいを強調しました。

軍事侵攻が始まってから24日で半年となる中、クリミアをめぐる攻防も激しくなっています。

侵攻から半年 長い消耗戦になるおそれ

ロシア軍は、ウクライナ東部の完全掌握に向けて攻撃を続け、すでに掌握したとする東部や南部の一部地域では、ロシアへの併合に向けた住民投票の準備が進んでいます。

これに対してウクライナ側は、欧米の軍事支援を背景に徹底抗戦の構えを崩さず、長い消耗戦になるおそれが強まっています。

“首都攻略失敗”からこう着へ

2月24日、プーチン大統領は「特別軍事作戦」を行うと宣言し、ウクライナへの軍事侵攻を始めました。

ロシア国防省は3月中旬、南部のへルソン州全体を掌握したと発表しましたが、3月下旬には首都キーウやその周辺での軍事作戦の大幅な縮小を表明し、首都の早期掌握は事実上、失敗したとみられています。

4月下旬、ロシア軍は軍事作戦が第2段階に入ったとして、東部のルハンシク州とドネツク州、それに南部で攻勢を強め、激しい戦闘のすえ、5月下旬には東部の要衝マリウポリを完全に掌握しました。

7月初めにはルハンシク州の完全掌握を宣言したものの、ドネツク州の各地でウクライナ側の抵抗にあい、戦況はこう着しました。

抵抗を支えているのが欧米の軍事支援です。

対戦車ミサイルの「ジャベリン」や高機動ロケット砲システム「ハイマース」など性能の高い兵器が前線で運用されるようになり、ロシア軍の攻勢を押し返す原動力となっています。

ウクライナ軍は南部で反転攻勢を強め、6月末、黒海に浮かぶ戦略拠点のズミイヌイ島を奪還しました。

また7月から8月にかけて南部ヘルソン州で、ロシア軍が使っていた複数の橋を攻撃し、補給や部隊の移動に打撃を与えました。

戦闘はクリミアにも拡大 緊張高まる

戦闘は、ロシアが8年前一方的に併合したウクライナ南部のクリミアにも拡大しています。

8月9日、クリミアにあるロシア空軍の基地で大規模な爆発があり、戦闘機が破壊されたほか、16日には弾薬庫が爆破され、ロシアは、ウクライナ側から攻撃を受けた可能性を示唆しました。

さらに20日には、クリミアのセバストポリにあるロシア海軍・黒海艦隊の司令部の上空で無人機が撃墜され、緊張が高まりました。

ゼレンスキー大統領は9日に公開した動画の中で「クリミアから始まったロシアの戦争は、クリミアの解放で終わるべきだ」と述べ、クリミアを含むすべての領土を奪還する考えを強調しています。

支配地域併合に向けた動きも 今後どうなる

ロシア側は、すでに掌握したとする東部や南部の一部の地域で、支配の既成事実化を図り、早ければ9月中にも、ロシアへの編入の賛否を問う住民投票を実施しようと、準備を進めています。

これに対してゼレンスキー大統領は7日、住民投票の実施に踏み切れば交渉の道は断たれると述べ、ロシア側をけん制しました。

ウクライナ大統領府のイエルマク長官は7月31日、NHKの取材に対し「冬が来る前に事態を打開すべきだ」と述べ、冬までに領土を奪還し、戦闘を終結させたい考えを明らかにしました。

一方、防衛省防衛研究所の高橋杉雄防衛政策研究室長は今後の見通しについて「ロシア側も決め手を欠くのは間違いない。欧米からウクライナへの軍事支援が今後大きく増えない場合には、戦闘がいったん落ち着き、かなり長い消耗戦になる」と述べています。