夏の甲子園 仙台育英 初優勝 “白河の関越え”に喜びの声

夏の全国高校野球は決勝が行われ、宮城の仙台育英高校が山口の下関国際高校に8対1で勝って初優勝しました。

東北勢の優勝は春夏通じて初めてで、深紅の大優勝旗が初めて白河の関を越え、東北に渡ります。

各地の喜びの声をまとめました。

100年越しの悲願達成 “白河の関越え”

宮城の仙台育英高校が夏の全国高校野球の決勝に臨んだ22日、過去に優勝経験がない東北勢の悲願達成を表す「優勝旗の白河の関越え」を願って、福島県白河市の神社でパブリックビューイングが行われ、地元の人たちが声援を送りました。

かつて東北と関東の境とされた「白河関跡」にある白河神社は全国高校野球の大会史上、優勝校が出ていない東北地方に優勝旗を持ち帰ってもらいたいという願いを込め、25年前から毎年、東北6県の代表校に白河の関の通行手形を贈っています。

大会決勝の22日、神社には仙台育英を応援する特設会場が設けられ、県内外の50人余りが大型のテレビモニターを通して観戦し、仙台育英の満塁ホームランの場面などでは歓声が上がっていました。
そして仙台育英の初優勝が決まると集まった人たちは総立ちになり、校歌を聞きながら万歳三唱などをしていました。

「白河関跡」を管理する白河神社の宮司、西田重和さん(74)は「仙台育英が東北の意地を示してくれとてもうれしいです。100年越しの願いをかなえてくれた選手たちにありがとうございますと伝えたいです」と話していました。

校舎では約80人が観戦 初優勝に沸く

仙台市宮城野区にある仙台育英高校の校舎では生徒や教職員たちが大型テレビで観戦し、選手たちに声援を送りました。

仙台育英高校の宮城野校舎では、大型テレビが設置された食堂に生徒や教職員、およそ80人が集まり、そろいのうちわやタオルを手に持って決勝を見守りました。

会場では、仙台育英が得点をあげるごとに拍手や歓声が沸き上がりましたが、なかでも7回に岩崎生弥選手が満塁ホームランを打つとひときわ大きな歓声に包まれ、生徒たちはハイタッチをして喜びを分かち合っていました。

そして試合のあと、生徒たちは甲子園で流れる校歌に合わせてタオルを左右に揺らし、感極まった生徒は涙をぬぐっていました。

応援した2年生の男子生徒は、「金足農業のときも東北は勝てなかったので、とにかくうれしい。東北の人たちに夢と希望を与えてくれてありがとうと伝えたい」と話していました。

3年生の女子生徒は「優勝する瞬間を生で見ることができてとても感動した。最初は得点がゼロで緊張していたが、満塁ホームランが出てから安心して見ることができた」と話していました。

仙台育英の優勝に湧く 仙台市中心部

仙台市中心部にあるデパートの前には大型テレビが設置され、多くの人が足を止めて仙台育英高校の決勝戦を観戦していました。

仙台市青葉区のアーケード街にあるデパートの入り口付近には大型テレビが設置され、買い物客や通りがかった人たちが足を止めて試合を観戦していました。

そして、仙台育英が得点するたびに拍手をしたり歓声をあげたりして喜んでいました。

観戦する人は試合の終盤になるにつれて増え、最終的にはおよそ200人にのぼり、仙台育英が優勝を決めるとひときわ大きな歓声が上がりました。

試合のあと、デパートのショーウインドーには「祝 優勝」と書かれた大きなポスターが張り出されました。

2人の幼い子どもを連れた仙台市の30代の女性は「コロナでどこにも行けず沈んでいましたが、これから気持ちを改めて頑張ろうかなと思いました。こんなすばらしい気持ちにさせてくれて選手たちにありがとうと言いたいです」と話していました。

富谷市の20代の男性は、「初優勝を果たしてくれてうれしく思います。相手チームを圧倒した形で、『すごい』という気持ちでいっぱいです。選手たちがすごく楽しそうにプレーしていたので、見ている側もとても楽しく、感動をもらいました」と話していました。

JR仙台駅前では号外配布

仙台育英高校の初優勝を受け、午後5時半ごろからJR仙台駅前で新聞の号外が配られ大勢の人が集まっていました。

仙台市の10代の男性は「号外を受け取りにわざわざ来ました。ことしの仙台育英はやってくれると思っていました」と話していました。

仙台市の70代の女性は「号外を持ち帰って孫に見せたいです。選手たちにはご苦労さまでしたと伝えたいです」と笑顔で話していました。

サンドウィッチマンも歓喜「東北に優勝旗が来たぞー!!」

また、人気お笑いコンビ、サンドウィッチマンの富澤たけしさんは、自身のブログで相方の伊達みきおさんがガッツポーズをする写真とともに「ついに宮城に、東北に優勝旗が来たぞー!!高校野球大好きな相方も仕事の合間に喜びを噛みしめています!そんなに強い育英に負けたんだ、母校、仙台商業も胸を張れ!!」とコメントしています。

1969年準優勝投手 青森 三沢高校 太田幸司さん「ようやく」

仙台育英高校が東北勢として初優勝したことについて、かつて青森の三沢高校のエースとして臨んだ夏の甲子園で延長18回、引き分け再試合の末、準優勝となった太田幸司さんは「ようやくという気持ちです」と話しました。

太田さんは、1969年、夏の甲子園に青森の三沢高校のエースとして出場し、決勝では、延長18回、引き分け再試合の末、松山商業に敗れて優勝に手が届きませんでした。

仙台育英が東北勢として初優勝したことについて太田さんは電話取材に応じ、「東北勢はレベルを上げていて、いつ優勝してもおかしくない状態が続いていたのでようやくという気持ちです。東北勢が優勝できないという呪縛が解かれ、選手たちもプレッシャーから解放されるためほかの学校も含めて東北勢の優勝が続く可能性もあると思うと、大きな優勝だと思います。継投や粘り強く的を絞って打つといった高校野球らしいプレーを見せてくれてよかったです」と話しました。

1989年準優勝のエース 大越基さん「言い表せない感動」

夏の全国高校野球で仙台育英高校が、東北勢初の優勝を果たしたことについて、1989年の夏の甲子園で仙台育英が準優勝したときのエースだった大越基さん(51)は「優勝を決めた瞬間、言い表せない感動が押し寄せ、今まで背負ってきたものが一気になくなった感覚がした」と喜びを語りました。

大越さんは仙台育英が1989年の夏の全国高校野球で初めて決勝に進出した時のエースで、東東京の帝京高校と対戦した決勝は0対2で敗れて準優勝でした。

大越さんは現在、山口県下関市にある早鞆高校の野球部で監督を務めています。

大越さんは22日夜、NHKの電話インタビューに応じ、ことしの仙台育英の強みについて「須江監督と選手の距離が近く、監督が出すサインを選手が素直に聞いて実践していたのが印象的だった。満塁ホームランを打った岩崎選手は監督が奮起を促すことばをかけていたように見えた」と述べました。

そのうえで、東北勢初の優勝を果たしたことについて「自分の時は『東北は野球が弱い』と言われ劣等感があったが、今は、ダルビッシュ有投手や菊池雄星投手、大谷翔平選手などの影響もあり県外から東北へ行って野球をしようという部員が増えた。指導者の努力もあるが、いつ優勝してもおかしくない状況になっていて、それが起きた」と話していました。

後輩たちに向けては「3年生は最後まで負けずに終わり、すごい経験をした。次のステージに生かして活躍してほしい。ことしのチームには2年生が多いので、来年の夏、仙台育英の2連覇を期待したい」とエールを送っていました。

2015年準優勝のエース 佐藤世那さん「胸を張って」

仙台育英高校のアルプス席では2015年にチームが準優勝したとき、エースとして活躍した元プロ野球選手の佐藤世那さんが応援しました。

佐藤さんは仙台育英が前回、決勝に進み、準優勝した2015年に、エースとして活躍し、その後プロ野球で3年間プレーしました。

22日は、初優勝を目指す母校を応援するため甲子園球場を訪れ、学校の応援団とともに一塁側のアルプス席で試合を見届けました。

試合が始まると、佐藤さんは「後輩たちをいちばん近くで見たいという素直な気持ちで応援にきました。僕が決勝に出たときは試合を楽しめなかったので、後輩たちには楽しんでほしいですし、何があっても最後まで諦めないでほしいです」とエールを送っていました。

そして、チームが初優勝を決めた瞬間は一緒に観戦に来た仲間たちとハイタッチをして喜び、「本当にすごい。優勝と準優勝は天地の差があると思っています。監督をはじめ、選手みんなの勝ちきる能力やメンタルがすごいと思いました。3年間しっかりやってきたんだなと思います」と話しました。

そのうえで「本当におめでとうしかありません。僕は優勝できなかったので、後輩たちは誇りです。胸を張って東北に帰ってきてほしいです」と話し、偉業を成し遂げた後輩たちをたたえていました。
仙台育英高校が夏の全国高校野球で初めて優勝したことを受けてプロ野球、ロッテはOBの平沢大河選手と西巻賢二選手のコメントを発表しました。

2人は2015年の大会に出場し決勝に進みましたが、東海大相模高校に敗れて準優勝でした。

仙台育英OB ロッテ 平沢大河「感動ありがとう」

平沢選手は「長い歴史の中で東北に初めて優勝旗を持ち帰ってくれた後輩たちを誇りに思いますし、自分のことのようにうれしく思います。これから3年生の皆さんは別々の道を歩むことになると思いますが、今回の優勝という経験をいかし自信を持って成長してほしいと思います。感動をありがとうございました。そして本当におめでとうございます」とコメントしています。

仙台育英OB ロッテ 西巻賢二選手「先輩としてうれしい」

西巻選手は「優勝おめでとうございます。深紅の大優勝旗が白河の関を越えるのは東北の人たちの悲願でしたが、これまで誰もが成し遂げられなかった夢を後輩たちが実現させてくれたことに感動しています。先輩としてうれしいです。本当におめでとうございます。そしてお疲れさまでした」とコメントしています。

仙台育英OB ソフトバンク 上林誠知選手「感動もらいました」

優勝した仙台育英高校の卒業生で、プロ野球・ソフトバンクの上林誠知選手は「ありがとうのひと言です。決勝も後輩たちの頑張りを見て感動をもらいました。夏を勝ち続けるためには投手が大事だと自身でも高校時代に感じていたので、好投手がそろったことしは見ていて安定感がありました。打撃も常につなぐ意識が感じられましたし、対じしたチームにとっては脅威だったと思います。自主性と競争意識が高い、ことしのチームは本当に強かったと思います」とコメントしています。

仙台育英OB 巨人 松原聖弥選手「誇りに思う」

仙台育英高校のOBでプロ野球・巨人の松原聖弥選手は球団を通じて「初優勝おめでとうございます。東北勢初優勝を母校が成し遂げたことをとても誇りに思います。日本一の瞬間を見て自分自身の日本一への思いもより一層強まりました。後輩たちのプレーにたくさんの力をもらったので僕も負けないようにしっかりと結果を出し、日本一を目指して頑張りたいと思います」とコメントしています。

プロ野球 楽天 田中将大投手「最後の最後までお疲れ様」

プロ野球・楽天の田中将大投手は自身のツイッターで「皆さん優勝おめでとうございます。下関国際、仙台育英の皆さんは1番長い夏を過ごしたことになります。最後の最後までお疲れ様でした」と決勝を戦った両チームをねぎらいました。

仙台育英 須江航監督の試合後のコメントにも反響

試合後の仙台育英の須江航監督のインタビューにもSNSで反響が広がっています。

コロナ禍で野球に取り組んできた選手たちについて「青春はすごく“密”なのにそういうことはだめだと言われ、どこかでストップがかかるなか諦めないでやってくれました。全国の高校生に拍手してください」と涙ながらにコメント。

これに対し、SNS上では「テレビで見ていて涙が出た」「監督の言葉良かった」「全国の高校球児感動をありがとう」と大きな反響を集めていました。

仙台市の水族館 オタリアのラッパで優勝祝う

また、仙台育英高校が東北勢として春夏通じて初めての優勝を果たしたことを受け、仙台市にある仙台うみの杜水族館は、「東北勢悲願の初優勝仙台育英出身の飼育員と共に、チェン君にお祝いのラッパを吹いてもらいました」と、オタリアがラッパを吹く動画を投稿しました。

“白河の関越え” 白河のご当地ヒーローも万歳

SNSでは深紅の大優勝旗が「白河の関」を越えるかが大きく注目されました。北海道では駒大苫小牧が優勝しているので、陸路でということですが…。

この「白河の関越え」について福島県白河市の名産のだるまをモチーフにしたご当地ヒーロー“ダルライザー”は、「歴史的快挙!関越えを期待して白河市民パブリックビューイングで応援しておりました!市長や市民の皆様と万歳三唱しました!」と喜びの声をあげています。

準優勝の下関国際 地元では健闘たたえる声

一方、準優勝の下関国際高校の地元、山口県下関市では多くの市民が試合の様子を見守り、健闘をたたえていました。

JR下関駅前の大型商業施設「シーモール下関」には大型モニターが設置され、およそ150人の市民が山口の下関国際と宮城の仙台育英の優勝をかけた戦いを見守りました。

試合は3回まで0対0と競り合いが続きましたが、4回と5回に仙台育英が3得点をあげ、リードする苦しい展開となりました。

そして、1対8で迎えた9回、選手たちがヒットをつないで粘りの戦いを見せると市民は最後まで大きな声援を送り、準優勝が決まると拍手をしながら健闘をたたえていました。

市内の80代の男性は「暗いニュースが多い中、選手たちの活躍で久しぶりに明るい気持ちになりました。選手たちの姿に勇気をもらいました」と話していました。

市内の50代の女性は「最初は決勝まで勝ち上がってくると思っていなかったので、準優勝おめでとうという気持ちです。とりあえずきょうはゆっくり休んでほしいです」と話していました。