名古屋高速道路 バス事故で2人死亡 分離帯に接触し横転か

22日午前、名古屋市の名古屋高速道路でバスが横転し炎上するなどして、2人が死亡、7人がけがをした事故で、このバスは現場そばの出口で高速道路を降りる予定だったことが運行会社への取材でわかりました。高速道路の本線と、出口へと続く道路の間の分離帯は激しく壊れ、バスは本線側で横転していて、警察はバスが分離帯に接触しその衝撃で横転したとみて詳しく調べています。

22日午前10時過ぎ、「車が高速道路で横転し煙が見える」と警察や消防に通報がありました。

名古屋市北区の名古屋高速道路では市中心部から県営名古屋空港に向かっていたバス1台が横転して炎上し、その後ろでも乗用車1台が燃えていて、火はおよそ2時間半後に消し止められました。

警察によりますと焼けたバスの中から2人が心肺停止の状態で見つかり死亡が確認されました。

またほかに男性7人がけがをしているということですが、命に別状はないということです。

7人の中にバスの運転手はいないということです。
警察によりますと、現場は高速道路の本線と、「豊山南出口」へと続く道路が分かれる場所で、バスはこの出口から高速道路を降りる予定だったことが運行会社への取材でわかりました。

2つの道路の間の分離帯は激しく壊れ、バスは本線側で横転していて警察はバスが分離帯に接触しその衝撃で本線側に横転したとみて事故の状況を詳しく調べています。

運行会社 “朝の点呼では車両や運転手に異常みられず”

バスを運行している「あおい交通」によりますと、炎上したバスは22日午前5時すぎに愛知県小牧市の野口営業所を出発しました。

そして県営名古屋空港を結ぶ3つの路線を営業運転したあと、午前9時55分に4回目の営業運転として名古屋市中心の栄のバス停を出発し、県営名古屋空港に向かう途中、午前10時すぎに事故が起きたということです。

バスを運転していたのは、2019年に入社した55歳の男性の運転手で、けさは午前4時半ごろに出社し朝の点呼の時点では車両や運転手に異常はみられなかったということです。

「あおい交通」によりますと、県営名古屋空港を結ぶ路線はおよそ15人の運転手が担当していて365日運行しているということです。

また、先月25日には国の定期監査を受けていますが、特に問題はなかったということです。

会社では、現在、詳しい状況の確認を進めています。

運行会社社長 「事故を起こしたことは申し訳ない」

バスを運行していた「あおい交通」の松浦秀則社長は、記者団の呼びかけに対し「事故を起こしたことは申し訳ないので、事故のない安全体制をつくれるよう、真摯(しんし)に取り組んでいきます」と話しました。

運行主任「運転手は入社以来、この路線で無事故」

バスが出発した愛知県小牧市にあるあおい交通の野口営業所の運行主任の男性は、「運転手は入社以来、ずっとこの路線を事故を起こさずに運転してきたので、今回このような大事故が起き意外な気持ちだ。運転手とも連絡がつかず、乗客についても情報収集ができず、対応に苦慮している」と話していました。
「あおい交通」によりますと、炎上したバスが走っていたのは、名古屋駅や名古屋市中心部の栄から、愛知県豊山町の県営名古屋空港などを結ぶ路線です。

会社によりますと、平日は、
▽空港などを出発する便が45便、
▽名古屋駅や栄を出発する便が48便のあわせて93便が運行されているということです。

この路線では、およそ15人の運転手がシフトを組んで365日運行しているということです。

会社のホームページや登記情報によりますと、「あおい交通」は、愛知県小牧市に本社がある昭和34年に設立された旅客運送会社で、県営名古屋空港と名古屋駅などを結ぶ高速バスや小牧市内を巡回するバス、それに貸し切りバスなども運行しています。

あおい交通「原因不明」ツイッターに投稿

横転したバスを運行している「あおい交通」はツイッターで22日正午ごろ、「本日、8月22日10時過ぎ、弊社運行の県営名古屋空港直行バスが県営名古屋空港へ向かう途中、豊山南の名古屋高速道路上で事故により炎上しました。詳細については、現在、原因不明なので、把握次第掲載いたします。ご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願いいたします」と投稿しました。

火が出て黒煙も激しく上がる

午前10時半すぎにNHKのヘリコプターから撮影した映像では、名古屋高速道路の下り線の豊山南インターチェンジ付近の道路上で、横転したバスとみられる車体のタイヤなどから赤い火が出て黒い煙が激しく上がっていました。

車体の周りには消防の車両が多数集まって、放水を行うなど消火活動にあたっていましたが、車体は激しく焼けていて全体が黒くなっていました。

また、バスとみられる車体のすぐ後ろでは、黒く焼けた乗用車と見られる車1台も確認できました。

目撃した男性「車内でも熱を感じるくらい熱かった」

名古屋市内から愛知県小牧市方面に向かっていた男性が、午前10時半ごろに高速道路上で撮影した映像です。

映像では現場手前に何台もの消防車が停車し、消防隊員が消火活動にあたっている様子が確認できるほか、横転したバスからは黒い煙と激しい炎が出ているのがわかります。

男性によりますと、横転したバスから150メートルほど手前には10人ほどが路肩に座っていたということです。男性は「パトカーがすごい勢いで走って行ったあと前方に黒い煙が見えたので事故が起きたことがわかった。バスは激しく燃えていて、横を通っている間は窓を閉めた車内でも熱を感じるくらい熱かった」と話していました。

事故直後 撮影した男性「大きい爆発音」

事故の直後の午前10時13分に付近の住民がマンションの11階から撮影した写真では、横転したバスの前方あたりから火が出て黒煙が立ち上っているのがわかります。

さらに、その8分後には、バスの全体が炎と黒煙に覆われているのが確認できます。

撮影した19歳の男性は「事故が起きた時はちょうど寝ていて、近くからすごく大きい爆発音が聞こえて目を覚ましました。はじめは雷が落ちたかと思いましたが、家の近くでこんなに大きな事故が起きるとは夢にも思わなかったのですごく驚きました」と話していました。

現場付近の住民「大きなものがぶつかった音」

事故現場の近くに住んでいる60代の女性は「事故が起きた時家の中にいたが、ガシャーンという何か大きなものがぶつかった音がした。そのあと引きずるような音がして、しばらくしてからボーンという音も聞こえた。事故かなと思って外を見たら黒煙が上がっていて、燃料のようなにおいもした。昔から事故が多いところではあるが、これだけ大きな事故が起きたことにびっくりした。負傷者の方がよくなることを祈っています」と話していました。

専門家「何らかの原因で安定性失い衝突か」

交通事故の解析に詳しい日本交通事故鑑識研究所の大慈彌雅弘代表は、バスが何らかの原因で走行の安定性を失い、分離帯に衝突して横転したみられると指摘しています。

大慈彌代表はヘリコプターで上空から撮影した映像や事故現場直後の現場の様子を捉えた映像を見て、事故の原因を探りました。その結果、バスが何らかの原因で走行の安定性を失って本線と出口を分ける分離帯に衝突して横転し、その後、後続の乗用車がバスに衝突して炎上したとみられると分析しました。

バスが分離帯に衝突した原因について考えられることとして
▽運転手が漫然と運転し出口を見落としていて急にハンドルを切った、
▽運転手に急病が発生した、
▽道路にあった障害物を避けようとした、
▽急な車線変更をした別の車を避けようとしたと4つの可能性をあげました。

高速道路の出口付近は車線変更をする車が多く、事故が起きやすい場所だとした上で、右方向に出口がある構造については「いずれの車線も同じ進行方向となっている上、運転手もこの場所を通り慣れていたということなのでそれ自体に問題はなかったのではないか」と話しました。

また、バスが激しく炎上した理由については、「バスが分離帯に追突し、横転しただけでここまで燃え広がるのは考えづらい。後続の乗用車が横転したバスの後部のエンジンルーム付近に追突したことで燃料が前方に流れだし、燃え広がったのではないか」と分析しています。

その上で今後、事故原因を特定する際のポイントとしてバスや後続車両のドライブレコーダーに記録されている映像や乗客などの証言を詳しく分析するとともに、バスが分離帯に衝突する前に道路や側壁に痕跡がないかを調べることが重要だと指摘しました。

名古屋北労働基準監督署が聞き取り

今回の事故を受けて、名古屋北労働基準監督署は、22日午後2時過ぎ、愛知県小牧市の「あおい交通」の本社に、聞き取りに入りました。

「あおい交通」の松浦秀則社長によりますと、監督署の職員らは、運転手の勤務や健康状況などを聞き取り、30分ほどで終了したということです。

また、バスが出発した愛知県小牧市にある「あおい交通」の野口営業所に聞き取りに入りました。

監督署によりますと労働基準法などに基づき事故の状況に関する調査を行ったということです。

国土交通省 中部運輸局 特別監査

名古屋市で起きたバス事故を受け、国土交通省の中部運輸局は22日午後、バスを運行していた愛知県小牧市にある「あおい交通」の野口営業所に対し、安全管理に問題がなかったかなどを調べるため道路運送法に基づく特別監査を行いました。

また、バスを運行していた愛知県小牧市にある「あおい交通」の野口営業所に対し、安全管理に問題がなかったかなどを調べるため道路運送法に基づく特別監査に入りました。

「あおい交通」によりますとバスの運行や車両の記録、それに運転手の勤務状況や健康状態などについて聞き取りが行われ、会社側は、関係する書類も提出したということです。

運行主任「深くおわびします」

横転し炎上したバスが出発した愛知県小牧市にある「あおい交通」の野口営業所で、22日夕方、職員が取材に応じました。

はじめに「あおい交通」の松田吉彦運行主任は「被害に遭われた方はじめ、名古屋高速を利用していた方にもご迷惑をおかけし、深くおわびします」と頭を下げました。

松田運行主任によりますと、運転手は2019年1月にあおい交通に入社し、名古屋市内と県営名古屋空港を結ぶ路線の専属の運転手として働き、これまでに大きな事故やトラブルは起こしていないということです。

また、年2回ある健康診断に問題はなく、22日朝の対面での体調確認や各バス停での出発を無線で伝えてきたときの声もふだんどおりだったということです。

バスは、3か月に1回の定期検査や年に1回の車検も行っていて、問題は確認されなかったということです。

松田運行主任は「事故が起きた場所についてインターチェンジから出る際に追い越し車線をまたぐ必要があり、運転手にとって大変気をつかう場所だ」と話していました。

過去の主なバス事故

過去に起きた主なバス事故です。

平成19年2月には大阪・吹田市でスキーツアーのバスが道路脇の橋脚に衝突し、誘導員1人が死亡し、乗客26人が重軽傷を負いました。

また平成24年4月には群馬県藤岡市の関越自動車道で石川県から千葉県に向かっていた高速ツアーバスが道路脇の壁に衝突し、乗客7人が死亡、38人がけがをしました。

平成28年1月には長野県軽井沢町でスキーツアーのバスが道路脇から転落し、大学生など15人が死亡、26人がけがをしました。