高校野球 下関国際が初の決勝へ 近江を終盤突き放す【詳しく】

夏の全国高校野球は20日、準決勝が行われ、第2試合は山口の下関国際高校が、滋賀の近江高校に8対2で勝ち、初めて決勝に進みました。
【試合経過 イニングごとの詳細あり】

    |123|456|789|計H  
下関国際|101|002|130|88  
近  江|002|000|000|28

下関国際は1回、3番 仲井慎選手のタイムリーヒットで1点を先制し、3回に相手のワイルドピッチで2点目をあげました。このあと同点に追いつかれましたが、6回、1アウト満塁のチャンスで7番 森凛琥選手が2点タイムリーツーベースを打って再びリードを奪い、7回は犠牲フライ、8回には連続スクイズなどで効果的に追加点をあげて、近江を突き放しました。投げては、2回途中にショートの守備から2人目としてリリーフした仲井選手が4回以降、近江に得点を与えませんでした。
下関国際は、準々決勝でセンバツ優勝の大阪桐蔭高校を破ったのに続き、準決勝では、センバツ準優勝の近江に8対2で勝ち、初めて決勝に進みました。
山口県勢の決勝進出は、1985年の宇部商業以来、37年ぶりです。
一方、近江は、エースで4番を打つ山田陽翔投手のタイムリーツーベースなどで一時、同点に追いつきましたが、山田投手が粘り強い下関国際の打線に6回以降つかまって失点を重ね、リードを広げられました。

下関国際 “投打両面の戦略”が勝因に

打撃面では、近江のエース、山田陽翔投手をどう攻略するかがポイントでした。下関国際の坂原秀尚監督が出したのは少しばかり意外な指示。「ツーストライク後、見逃し三振でもいいから打たずに待て」というものでした。山田投手は、150キロに迫るストレートに加え、鋭く曲がる変化球が持ち味の大会屈指の好投手です。
“簡単に打てるものではない”と判断し、中盤までは、球数を投げさせること、球筋をしっかり見極めることを重視したのです。そして、坂原監督が「球数が80球を超えたあたりからコントロールに苦しんでいた」と振り返ったように下関国際は6回、山田投手から連続フォアボールなどで満塁のチャンスをつくり、7番の森凛琥選手が高めのストレートをとらえ決勝の2点タイムリーツーベースを打ちました。
森選手は前の2打席、いずれもダブルプレーと完璧に抑え込まれていましたが、「ストレートに振り負けないように意識した」と疲れが見え始めた山田投手のボールにしっかり対応しました。

また、思い切った投手起用も勝利につながりました。下関国際はここまでの3試合はすべて古賀康誠投手が先発し、6回以降にショートで先発する仲井選手をリリーフで登板させてきました。この試合は、坂原監督が古賀投手の状態について「試合前の練習から球が高かった。3回まで持つかどうか」と分析し、仲井選手に対して「1回からでも投げられるように肩を作っておけ」と話していました。そして、2回、先頭から連続フォアボールを出したところで、仲井選手にスイッチしました。
仲井選手は「心の準備はできていました。絶対に点はやらないという気持ちで投げました」と話したように、3回こそ2点を失いましたが、その後は、粘り強いピッチングで得点を与えませんでした。チームとしての戦略にしっかり応える選手について坂原監督は「甲子園で勝つごとに今まで見たことがないような力を発揮してくれています。成長する選手たちに驚いています」と話していました。

下関国際 決勝打の森選手「振り負けないように」

下関国際高校の森凛琥選手は6回に打った決勝の2点タイムリーツーベースについて「1、2打席目は同じ形で打ち取られてしまったので絶対にランナーを返そうと思って打席に入りました。山田陽翔投手はストレートが早いので振り負けないように意識しました。チームのためになってよかったです。決勝も全力で勝ちにいきます」と話していました。

下関国際 好リリーフの仲井選手「心の準備はできていた」

下関国際の仲井慎選手は2回途中にショートから2人目としてリリーフにまわったことについて「心の準備はできていました。ピンチの場面でも絶対に点はやらないという気持ちで投げました。バックもしっかり守ってくれたので感謝したいです」と話しました。また近江のエースで4番の山田陽翔主将については「まっすぐが速く変化球もよいのでバットを短く持ってコンパクトに振ることを心がけました。バッターとしては甘いところに投げると、どんどん振ってくるので怖い存在でした」と対戦を振り返りました。そのうえで決勝に向けては「負けてしまったら意味がないので気持ちを引き締めて戦いたいです」と意気込んでいました。

下関国際 坂原監督「仲井投手の投球が流れ引き寄せた」

下関国際の坂原秀尚監督は「仲井慎選手の気合いのこもった投球が試合の流れを引き寄せた一番のポイントだと思います」と振り返りました。また、先発したエースの古賀康誠投手を2回、ノーアウト一塁二塁の場面で代えたことについて「初戦から3試合、立ち上がりに非常に苦しんでいたので、きょうはリードされたくないという思いもあって、仲井選手に準備させていました」と早めに継投させた意図を説明しました。そして、決勝に向けて「甲子園というこの大舞台が、彼らを大きく成長させてくれていると思います。山口県の高校野球の誇りを胸に一番いい野球をやりたいと思います」と意気込みを語りました。

近江 エースで4番 山田主将「本当にすばらしい仲間」

近江の山田主将は「前半からリズムに乗れず、フォアボールを多く出してしまいました。下関国際は打者一人ひとりがよく考えていてすごく投げづらかったです。逆転できるチャンスもありましたが、チームとして踏ん張りきれませんでした」と試合を振り返りました。そして、チームメートについて「仲間のおかげで苦しいことなんて一切ない、楽しい2年半でした。本当にすばらしい仲間です」と話したうえで「ベスト4に進んだのは、アルプス席からの応援のおかげだと思います。打席に立っているときも、ひとりではなく、一緒に戦っている気持ちになり心強かったです」と応援への感謝の気持ちを示しました。

近江 多賀監督「2年連続ベスト4を評価したい」

近江高校の多賀章仁監督は「山田投手の状態が思わしくありませんでした。4回、5回を見て持ち直してくれるかと思いましたが、6回の2失点でやはり疲れを感じました。山田投手がしんどいときに打撃でカバーできず2点しか取れなかったのが、チームの足りなかったところだと思います」と試合を振り返りました。そのうえで「負けたことよりも2年連続でベスト4に進めたことを評価したいです」と話しました。また、試合後の山田投手の様子を聞かれると「多くの選手が涙を流すなか、彼はそういう表情を見せず、チームのみんなに『胸を張って』と言っていました。それが山田投手のすごさだと思います。これから大きく伸びていく子だと思います」と話していました。

【試合経過】

1回表 下関国際が先制

午後0時40分、準決勝第2試合が始まりました。
下関国際は1アウト二塁のチャンスで3番 仲井のタイムリーヒットで先制しました。

1.赤瀬 ショートのエラーで二塁へ
2.松本 空振り三振 1アウト二塁
3.仲井 レフトへのタイムリーヒット1点先制
(近江0ー1下関国際)
4.賀谷 レフトフライ 2アウト二塁
5.水安 一塁ランナーが盗塁失敗

1回ウラ 近江 同点のチャンス生かせず

近江は2アウト二塁と同点のチャンスを作りましたが得点はできませんでした。

1.津田 空振り三振
2.清谷 フォアボール
3.中瀬 送りバント 2アウト二塁
4.山田 空振り三振

2回表 下関国際 ランナー出すも追加点ならず

5.水安 フォアボール
6.奥山 打席中に一塁ランナーが盗塁失敗 ライト前ヒット
7.森 ショートゴロ ダブルプレー

2回ウラ 近江 チャンス作るもスクイズ失敗で得点奪えず

近江は1アウト二塁三塁のチャンスを作りましたが、スクイズを失敗し得点できませんでした。

5.石浦 フォアボール
6.岡崎 フォアボール

下関国際 投手交代 古賀→ショートを守っていた仲井
古賀はベンチに下がり 代わってサードに山下 サードの森がセカンド

7.川元 送りバント成功 1アウト二塁三塁
8.大橋 スクイズを仕掛けるもキャッチャーフライ
 三塁ランナー戻れずダブルプレー

3回表 下関国際が相手ミスから1点追加

下関国際は1アウト満塁から相手のワイルドピッチで1点を追加しました。

8.山下 ライト前ヒット
9.橋爪 フォアボール ノーアウト一塁二塁
1.赤瀬 送りバント 1アウト二塁三塁
2.松本 フォアボール 1アウト満塁
3.仲井 打席中に相手がワイルドピッチ
 (近江0ー2下関国際)
 セカンドフライ 2アウト二塁三塁
4.賀谷 空振り三振

3回ウラ 近江 2本のタイムリーで同点に

近江は2番 清谷と4番 山田のタイムリーヒットで同点に追いつきました。

9.小竹 見逃し三振
1.津田 ライト前ヒット
2.清谷 一塁ランナー盗塁 さらにキャッチャーの悪送球で三塁へ
 タイムリーヒット
(近江1-2下関国際)
3.中瀬 空振り三振
4.山田 タイムリーヒット
(近江2-2下関国際)
5.石浦 ショートゴロ

4回表 下関国際 ランナー出すも得点ならず

5.水安 センターフライ
6.奥山 フォアボール
7.森 ショートゴロでダブルプレー

4回ウラ 近江も得点ならず

近江は2アウトからヒットを打ってランナーを出しましたが、あとが続かず得点できませんでした。

6.岡崎 見逃し三振
7.川元 セカンドゴロ
8.大橋 ライト前ヒット
9.小竹 サードフライ

5回表 下関国際 2アウトからチャンス作るも得点ならず

8.山下 ファーストライナー
9.橋爪 見逃し三振
1.赤瀬 センターへのヒット
2.松本 一塁ランナーが盗塁成功 2アウト二塁
 空振り三振

5回ウラ 近江 満塁も好守に阻まれ得点できず

近江は1アウト満塁のチャンスを作りましたが、下関国際のセンターのファインプレーなどで阻まれ、得点できませんでした。

1.津田 ファーストゴロ
2.清谷 ライト前ヒット
3.中瀬 ライト前ヒット 1アウト一塁三塁
4.山田 打撃妨害 1アウト満塁
5.石浦 センターフライ 2アウト満塁
6.横田 サードゴロ

6回表 下関国際 2点を勝ち越し

下関国際は1アウト満塁のチャンスで7番 森がタイムリーヒット。勝ち越しに成功し、2点をリードしました。

3.仲井 フォアボール
4.賀谷 フォアボール
5.水安 フィルダースチョイス ノーアウト満塁
6.奥山 空振り三振 1アウト満塁
7.森 ライトへのタイムリーヒット 1アウト二塁三塁
(近江2ー4下関国際)
8.山下 空振り三振 2アウト二塁三塁
9.橋爪 空振り三振

6回ウラ 近江 ランナー出すも得点ならず

7.川元 ライト前ヒット
8.大橋 空振り三振
9.小竹 一塁ランナーがけん制球に誘い出されてタッチアウト
 フォアボール
1.津田 空振り三振

7回表 下関国際 犠牲フライで1点追加

下関国際はノーアウト一塁三塁のチャンスで3番 仲井の犠牲フライで1点を追加しました。

1.赤瀬 サードへの内野安打
2.松本 センターへヒット ノーアウト一塁三塁
3.仲井 犠牲フライで1点追加 1アウト一塁
(近江2ー5下関国際)
4.賀谷 レフトフライ 2アウト一塁
5.水安 フォアボール 2アウト一塁二塁

近江 投手交代 山田→星野
6.奥山 ライトフライ

7回ウラ 近江 三塁まで進めるも得点を奪えず

近江は4番 山田のこの試合、2本目のヒットなどでランナーを三塁まで進めましたが、あとが続かず、得点をあげることはできませんでした。

2.清谷 フォアボール
3.中瀬 空振り三振
4.山田 レフトへのヒット 1アウト一塁二塁
5.石浦 ピッチャーゴロ 2アウト一塁三塁
6.横田 見逃し三振

8回表 下関国際が連続スクイズなどで3点追加

下関国際は9番 橋爪のタイムリーヒットと続く連続スクイズで3点を追加し、近江を引き離しました。

7.森 フォアボール
8.山下 送りバント成功
9.橋爪 レフトへタイムリーヒット
(近江2ー6下関国際)
1.赤瀬 スクイズで追加点 サードの悪送球で三塁へ
(近江2ー7下関国際)
2.松本 連続スクイズで追加点
(近江2ー8下関国際)
3.仲井 空振り三振

8回ウラ 近江 チャンス広げられず

7.星野 フォアボール
8.大橋 ショートゴロ
9.小竹 ファーストへのファウルフライ
1.津田 キャッチャーファウルフライ

9回表 下関国際は無得点

4.賀谷 フォアボール
5.水安 送りバント失敗キャッチャーフライ 一塁ランナー戻れずダブルプレー
6.奥山 セカンドフライ

9回ウラ 近江 この試合 初の三者凡退

近江、21年ぶりの決勝進出はなりませんでした。

2.清谷 ショートフライ
3.中瀬 見逃し三振
4.山田 レフトフライ

【先発メンバー】

<先攻 下関国際>
1.(中)赤瀬 健心
2.(二)松本 竜之介
3.(遊)仲井 慎
4.(一)賀谷 勇斗
5.(右)水安 勇
6.(左)奥山 晃大
7.(三)森 凛琥
8.(投)古賀 康誠
9.(捕)橋爪 成

<後攻 近江>
1.(遊)津田 基
2.(右)清谷 大輔
3.(二)中瀬 樹
4.(投)山田 陽翔
5.(三)石浦 暖大
6.(一)岡崎 幸聖
7.(左)川元 ひなた
8.(捕)大橋 大翔
9.(中)小竹 雅斗

近江(滋賀)

キャプテンでエースで4番の大黒柱、山田陽翔投手が投打でチームをけん引してきました。ここまで4試合の球数は512球にのぼるほか、準々決勝では試合中に右足の太もも裏をつって8回途中に降板した影響が懸念されます。中1日で迎える準決勝は合わせて3試合、いずれも2人目で登板している星野世那投手などのピッチャー陣の活躍にも期待がかかります。

強打の印象が強い近江ですが、犠打の数がベスト4のチームで最多で、ここまではランナーを着実に進める堅実な攻撃を見せています。1試合の平均得点はベスト4のチームでトップです。

勝てば準優勝した2001年の83回大会以来、2回目の決勝進出です。
【今大会 準決勝までの成績(4試合)】
▽1回戦  8-2 鳴門(徳島)
▽2回戦 8-3 鶴岡東(山形)
▽3回戦 7-1 海星(長崎)
▽準々決勝 7-6 高松商(香川)

▼打率 .333
▼HR 1
▼盗塁 0
▼犠打 12
▼得点 30(1試合平均:7.5)

▼防御率 2.75
▼失策 3
▼失点 12(1試合平均:3)

下関国際(山口)

準々決勝で、強打の大阪桐蔭を4点に抑えた投手陣は安定した数字を残しています。準々決勝に2人目で登板した仲井慎選手が投打のキーマンです。ここまで3試合で3打点をマークしているほか、投げては大阪桐蔭を相手に最速147キロの速球を中心とした強気のピッチングで3回3分の1を無失点に抑えました。山口大会でも気持ちの強さを買われ、準々決勝から決勝まで3試合の先発を任されていて、背番号「1」の古賀康誠投手とともに強打の近江打線にどう立ち向かうのか注目です。

好投手との対戦が続く中、犠打の数は山口大会5試合をすでに上回っていて、堅実な攻撃を展開しています。

勝てば、学校としては初、山口県勢としては1985年の第67回大会で宇部商業以来、37年ぶりの決勝進出です。
【今大会 準決勝までの成績(3試合)】
▽2回戦 5-0 富島(宮崎)
▽3回戦 9-3 浜田(島根)
▽準々決勝 5-4 大阪桐蔭(大阪)

▼打率.355
▼HR 0
▼盗塁 5
▼犠打 9
▼得点 19(1試合平均:6.33)

▼防御率 2.00
▼失策 5
▼失点 7(1試合平均:2.33)