【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

黒海艦隊 新トップにビクトル・ソコロフ氏が就任

ロシアの有力紙コメルサントは19日、ロシア軍の黒海艦隊の新しいトップにビクトル・ソコロフ氏が就任したと伝えました。ソコロフ氏は北方艦隊の副司令官のあと海軍兵学校の校長を務めていたということで、今月10日に司令官代行に任命され、2019年から黒海艦隊を率いてきたオシポフ氏にかわって任務に就いたと伝えています。

また、国営タス通信は、ソコロフ司令官代行が若手将校との会合で、黒海艦隊では12隻の艦船が年内に就役することを明らかにしたと伝えています。

クリミア半島の軍港セバストポリを拠点とする黒海艦隊では、ことし4月、旗艦「モスクワ」がウクライナ軍の対艦ミサイルによる攻撃で沈没したと伝えられ、イギリス国防省などは、オシポフ司令官が責任を追及されたという見方を示していました。

イギリス国防省は今月16日、黒海艦隊について「効果的に制海権を行使することに苦慮している。黒海艦隊が戦況に与える効果は、限定的になっていてロシアの戦略全体が弱められている」と分析しています。

ザポリージャ原発でロシア軍車両とみられる映像 通信社が配信

ロイター通信は、ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所で撮影されたとする映像を20日配信しました。

映像では、ロシアの軍事侵攻のシンボルとなっている「Z」の文字が書かれた、ロシア側のものとみられる車両が止まっているのが確認できます。

ロイター通信は、映っているのが原発内の建物であることは確認できるとする一方、撮影された日付けなどは不明だとしています。

また、アメリカのCNNテレビは同じ映像について、映っているのはロシア軍の車両5台とみられ、撮影されたのは、原子炉からわずか130メートルにあるタービン建屋だと伝えています。

これまでウクライナや欧米側は、ロシア軍が原発内に武器などを運び入れたうえで、原発を盾に攻撃を続けていると非難し、一刻も早く撤退するよう求めています。

クリミア ロシア軍の黒海艦隊司令部に無人機が攻撃か

ロシアによる8年前のクリミア併合のあと、クリミアの軍港都市セバストポリの行政府のトップになったラズボジャエフ氏は20日、ロシア軍の黒海艦隊の司令部に対して無人機による攻撃があったことをSNSで明らかにしました。

そのうえで無人機は、司令部の真上で撃墜されたと主張しています。

また、クリミアの少数民族クリミア・タタール人の団体の代表、チュバロフ氏も20日朝、SNSに投稿し、黒海艦隊の司令部に対して攻撃があったとしています。

クリミアでは、今月に入って駐留するロシア軍の基地などで爆発が相次いでいて、ロシア軍の戦闘機などの航空戦力が打撃を受けるなか、ロシア側は、神経をとがらせているものとみられます。

ゼレンスキー大統領 「バイデン大統領の決断に感謝」

バイデン政権がウクライナに対し、追加の軍事支援を行うと発表したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、自身のツイッターに「バイデン大統領の決断に感謝します」と投稿し、謝意を示しました。
そのうえで「侵略者を倒すための重要な1歩を新たに踏み出した。ウクライナは自由になる」として、アメリカの軍事支援を受けて攻勢をさらに強める考えを示しました。

また19日に公開した動画ではウクライナとロシアが互いに相手の砲撃だと非難を繰り返しているザポリージャ原子力発電所について触れ「調査団の派遣に向けてウクライナの外交官や国連、それにIAEAなどが詳細を詰めているところだ。調査団によって原発の安全を取り戻せるかもしれない。関わっているすべての人に感謝する」と述べました。

米 ウクライナへの追加の軍事支援を発表

アメリカのバイデン政権は19日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対し最大で7億7500万ドル、日本円にして1000億円余りの追加の軍事支援を行うと発表しました。

今回の支援では、高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われるロケット弾やりゅう弾砲16門と砲弾3万6000発、敵のレーダー施設を破壊するための空対地ミサイルなどを供与するとしています。

国防総省の高官は記者団に対し「今後もウクライナ側と調整を続けながら、必要な兵器を供与していく」と述べ、ウクライナへの軍事支援を続けると強調しました。

ロシアの政府系会社がドイツ向け天然ガス一時供給停止を発表

ロシアの政府系ガス会社「ガスプロム」の発表によりますと、天然ガスを送り出すロシア側の設備の点検のため、ノルドストリームによるガスの供給を今月31日から来月2日までの3日間、停止するとしています。

ノルドストリームによるガスの供給は先月、定期的な点検を理由にいったん停止され、その後再開されたものの、現在の供給量は通常時のおよそ20%にとどまっています。

ガスプロムは点検が終われば供給を再開するとしていますが、供給の停止はロシアによるヨーロッパ側への揺さぶりとみられ、ドイツ政府は「状況を注意深く見ている」という声明を出しました。

これを受けて、19日のヨーロッパ市場では、天然ガスの価格が上昇していて、「オランダTTF」と呼ばれる指標価格は取引開始から一時8%以上値上がりし、1メガワットアワーあたり250ユーロを超えました。

国連事務総長 南部オデーサの港訪問 穀物輸出増へ決意

ウクライナを訪れている国連のグテーレス事務総長は19日、南部オデーサの港で、ウクライナ産の小麦が船に積み込まれる様子などを視察しました。

ロシアとウクライナは先月、トルコと国連の仲介でウクライナの農産物の輸出を再開することで合意し、国連などによりますとこれまでにオデーサの港などから60万トン以上の穀物を運び出したということです。

グテーレス事務総長は記者団に対し「世界で最も弱い立場にある人たちの希望だ」と述べ、世界的な食料危機が懸念されるなか、輸出をさらに増やしていくため、一層取り組む決意を示しました。

そのうえで「ウクライナとロシアからより多くの食料と肥料を運び出すことが、価格を下げるために極めて重要だ」と述べ、世界の食料価格を安定させるためには、ロシア産の食料や肥料の輸出再開も必要だという考えを強調しました。

プーチン大統領最側近の1人が日本を名指しし批判

ロシアのプーチン大統領の最側近の1人、パトルシェフ安全保障会議書記は19日、ウズベキスタンの首都タシケントで行われた上海協力機構の会合で、アメリカを非難する中で、日本を名指しし「世界的なロシア嫌いの運動の中で主導的な立場をとろうと躍起になっている」と批判しました。

パトルシェフ氏はアメリカやその同盟国について「外交的な冒険を正当化するため、ためらうことなく、歴史の書き換えを含む、恥知らずのウソに頼っている。その一例が日本だ」と主張しました。

パトルシェフ氏は、かつて治安機関のトップも務めた、強硬派の代表格として知られ、先月には北方領土などをめぐり「日本が報復的な志向を強めている」と一方的に主張し非難するなどしていて、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて日本が欧米と足並みをそろえて制裁を科していることに不満を強めていることがうかがえます。

仏大統領がプーチン大統領とロシア掌握の原発めぐり電話会談

フランス大統領府によりますと、電話会談でマクロン大統領はプーチン大統領に対し、原発やその周辺で砲撃が相次いでいる状況について、安全性が脅かされていると懸念を示したということです。

一方、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は、ウクライナ軍が原発への砲撃を行っていると主張したうえで、広い範囲での放射能汚染につながるおそれがあると強調したとしています。

両首脳は、IAEA=国際原子力機関による調査団の早期派遣の重要性で一致したということで、フランス大統領府は、調査団の派遣を前に両首脳が再び話し合うとしています。

ザポリージャ原発をめぐっては国連のグテーレス事務総長が軍事行動の停止と部隊の撤退を求めていますが、ロシア側は「原発の安全性がさらにぜい弱になる」などと主張し拒否しています。