新型コロナ 小池知事「全数把握の見直し 課題を整理し決定を」

国が新型コロナの感染者の全数把握の見直しの検討を始めることについて、東京都の小池知事は「全体の動きが見えなくなると、対応策が分からなくなり、かえって現場が混乱するなど課題があるので、整理したうえで決めてほしい」と述べました。

新型コロナの感染者の全数把握をめぐっては、医療現場の負担になっているという指摘が出ていることから、厚生労働省は、専門家や自治体などの意見も聞きながら、見直しの検討を始めることにしています。

これについて東京都の小池知事は、19日の記者会見で「数値をずっとモニタリングすることで、さまざまなことを読み取ることができる。これまで努力してやってきたことについては、現場の皆さんに感謝したい」と述べました。

そのうえで「全体の動きが見えくなると、行政としても対応策が分からなくなり、かえって現場が混乱するのではないか。いくつもの課題があるので、整理したうえで決めてほしい」と述べました。

一方、千葉県がインターネットで登録を受け付けた新規感染者が、都の感染者に計上されていたことに関連し、小池知事は「検査をする会社が都内にあると、都の感染者数にカウントされてしまい、傾向が見えなくなる。どこまで可能か分からないが、しっかりと見直すことが必要ではないか」と述べました。

“全数把握” 入力作業 医療現場では大きな負担に

厚生労働省が見直しを検討している新型コロナウイルスの感染者の「全数把握」について、発熱外来がある都内のクリニックからは、患者の情報を把握する国のシステムへの入力作業が、現場の大きな負担になっているという声があがっています。

東京 港区にあるクリニックでは、19日も午前中だけで、およそ30人の患者が発熱外来を受診し、このうち7人が新型コロナへの感染が確認されました。

このクリニックでは、昼休みや診療後の時間に、国や自治体が患者の情報を把握する「HERーSYS」という国のシステムに、電子カルテをもとに患者の情報を手入力で登録していますが、多いときで、一日で50人ほどの感染が確認され、医師と看護師2人で入力しても1時間以上かかる日もあり、現場の負担になっているということです。

19日も、医師が患者の氏名や住所、症状などの情報を入力する作業に追われ、郵便番号がわからない患者については、医師がインターネットで調べて登録していました。

こうした感染者の「全数把握」について、厚生労働省は見直しを検討していて、虎ノ門中村クリニックの中村康宏院長は「医療機関の負担が大きいため、今のまま全数把握を続けるのは難しく、見直しが必要だと思う」と話していました。

一方で、「感染状況を把握するためには重要なデータで、ほとんどの項目は患者が自分で入力できるので、やり方を見直す余地もあると思う」と話していました。