7月の消費者物価指数 前年同月比2.4%上昇 2%超えは4か月連続

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる先月・7月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、去年の同じ月を2.4%上回りました。
政府・日銀が目標としてきた2%を超えるのは4か月連続で、消費税率引き上げの影響を除けば13年11か月ぶりの水準です。

総務省が発表した先月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が2020年を100として、102.2となり、去年の同じ月を2.4%上回って、11か月連続で上昇しました。

上昇率が政府・日銀が目標としてきた2%を超えるのは4か月連続で、2014年12月以来、7年7か月ぶり、消費税率引き上げの影響を除けば2008年8月以来13年11か月ぶりの水準です。

物価上昇の主な要因は、
▽エネルギー価格の上昇で「エネルギー」全体では去年の同じ月と比べて16.2%増加しています。

個別にみると
▽電気代が19.6%、
▽ガス代が18.8%、
それぞれ上昇しました。

食料品の価格も上がっていて、「生鮮食品を除く食料」は3.7%の上昇となりました。

具体的には、
▽「食用油」が40.3%、
▽「調理カレー」が15%、
▽「食パン」が12.6%、
それぞれ上昇しています。

政府・日銀は2%の物価上昇を目標としてきましたが、日銀は今の物価上昇は賃金の上昇を伴っておらず、本来目指している形ではないとしています。
総務省は「原材料価格や輸送費が高騰していることに加えて、円安による輸入コストの増加などで商品価格が上昇する動きが広がっている。引き続き価格の動向を注視していきたい」としています。

価格上昇の動き 身近な電化製品にも

エネルギーや食料品のほかにも価格上昇の動きが広がっています。

具体的には、去年の同じ月と比べて
▽「洗濯乾燥機」が15.8%、
▽「携帯電話機」が14.7%、
▽「電子レンジ」が12.2%、
▽「ルームエアコン」が10.1%と、
それぞれ上昇していて、身近な電化製品でも価格があがっています。

食品や飲料6305品目 10月に値上げ

原材料価格の高騰や円安を受けて、ことし10月には多くの食品や飲料で値上げが予定されていて、家計への負担はさらに増えると見込まれます。

民間の信用調査会社「帝国データバンク」は国内の主な食品メーカーや飲料メーカー105社を対象に調査を行い、7月末時点での各社の値上げの動きをまとめました。

それによりますと、ことし10月に値上げする予定があるとした食品や飲料は6305品目となっています。

これは8月と比較するとおよそ2.5倍になっています。

背景には
▽小麦や油脂などの原材料価格の高騰や、
▽原油価格の上昇による物流費や包装資材などの値上がりに加えて、
▽円安による輸入コストの増加があるということです。

調査会社によると、値上げの幅も拡大していて、物価上昇による家計への負担はさらに増えると見込まれています。

価格転嫁できず 経営が圧迫されている企業も

「消費者物価指数」が2%を超える伸びを続ける中、さらに高い伸びとなっているのが企業どうしで取り引きされる原材料などのモノの価格です。

企業どうしで取り引きされる原材料などのモノの価格を示す「企業物価指数」と、私たちが買うモノやサービスの値動きを示す「消費者物価指数」の伸び率を比べると差がみられます。

7月の「企業物価指数」の速報値は、去年の同じ月と比べた上昇率は8.6%と、高い水準が続いています。

「消費者物価指数」の2%台の上昇率と比べて、大きな開きがあり、企業側が仕入れコストの上昇分を吸収し価格にすべてを転嫁していないことを示しています。

民間の信用調査会社「帝国データバンク」がことし6月、企業1600社余りに対して仕入れコストの上昇分を販売価格やサービス料金に転嫁できているか尋ねた調査では
「多少なりとも価格転嫁できている」と答えた割合が73.3%だった一方で、15.3%が「全くできていない」と答えました。

また「価格転嫁できている」と回答した企業でも、負担が増えたコストのうち、販売価格に転嫁できた割合は平均で44.3%となり、実際に値上げした金額は半分以下にとどまっていることがわかりました。

信用調査会社によりますと、取引先の理解が得られなかったり価格競争の激化による客離れを懸念したりして企業の中には価格転嫁をできずに経営が圧迫されているケースがあるということです。

今後、企業の間で価格に転嫁する動きが広がるとさらなる物価の上昇が予想されます。

実質賃金 3か月連続でマイナス

ことし7月の消費者物価指数は、4か月連続で2%を超えましたが、物価上昇に対して賃金の伸びは追いついていません。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によりますと、働く人1人当たりのことし6月の現金給与総額は速報値で平均45万2695円と、去年の同じ月と比べて2.2%増えました。

ただ、物価の変動を反映させたことし6月の実質賃金は去年の同じ月を0.4%下回り、3か月連続でマイナスとなりました。

夏のボーナスが去年と比べて増えたことなどから、マイナス幅はことし5月と比べて小さくなりました。

物価の上昇に対して賃金の伸びが追いついていない状況は個人消費の冷え込みにつながるおそれがあり、専門家などからは景気への悪影響を懸念する指摘が出ています。

世界では高いインフレ広がる

日本では物価上昇率は2%台が続いていますが、世界的には高いインフレが広がっています。

アメリカでは、7月の消費者物価指数が去年の同じ月と比べて、8.5%の上昇となり、6月より上昇率は小さくなりましたが高い水準のインフレが続いています。
また、7月の労働者の平均時給が前の年の同じ月と比べて5.2%増加しています。

アメリカでは、深刻な人手不足の影響で企業の間で賃上げの動きが広がっていて、物価を押し上げる要因の1つにもなっています。
7月の消費者物価指数は、
▽イギリスでは、10.1%の上昇となり、およそ40年ぶりの記録的な水準となったほか、
▽ドイツやフランスなどのユーロ圏19か国では、8.9%の上昇と、統計をさかのぼれる1997年以降で最大の伸び率となりました。

このほか、新興国でも高い伸び率となっていて、世界的に物価高騰に拍車がかかっています。

日本では物価上昇率は2%台が続いていますが、世界各国ほどの高いインフレは起きていません。

国内の企業の間では価格に転嫁できないケースが少なくないとみられ、コストの上昇分を価格に転嫁することで適正な利益を確保し従業員の賃上げにつなげていくなどの経済の好循環をつくることができるのかが課題となっています。