【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(19日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

英国防省 “ロシア軍がハルキウの街の多くを壊滅的に”

イギリス国防省は19日、「ハルキウはロシア軍の前線からおよそ15キロで、多くの部隊の射程圏内にあり、複数のロケット砲と精度の低い兵器が街の多くに壊滅的な被害をもたらした」と指摘しています。

そして、南部でウクライナ軍が反撃を続けていることを念頭に「ロシア軍はウクライナ側に、東部の戦線に戦力をとどまらせ、他の地域で反撃のための戦力として利用されるのを防ごうとしている」と分析しています。

ロシアで「スタバ」そっくりコーヒーチェーン開業

ロシアでは、ことし5月に撤退を発表したアメリカのコーヒーチェーン大手スターバックスの店舗を利用して、新たなコーヒーチェーンが開業し18日、首都モスクワでメディアに公開されました。

スターバックスは2007年にロシアに進出し、およそ130店舗を展開していましたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて5月に撤退を発表していました。

その後、ロシアのレストラン経営者などが店舗の権利などを買い取って「スターズコーヒー」というブランドで営業することになりました。
披露されたロゴマークは、スターバックスと似た円形のデザインで、内側には冠を着けた人魚ではなく、頭にロシアの伝統的な飾りを着けた女性が描かれています。

ロシア国営のタス通信によりますと、「スターズコーヒー」は今後2か月で国内各地に合わせて100店舗ほどの展開を目指しているということです。

欧米企業の撤退が相次ぐロシアでは、ことし6月にはマクドナルドの店舗を利用してロシア資本の新たなハンバーガーチェーンが営業を始めていますが、いずれももとのブランドイメージをまねているとの指摘が出ています。

東部 ハルキウに砲撃相次ぐ 子ども含む17人死亡

ウクライナ東部のハルキウでは、17日から18日かけて住宅などへの砲撃が相次ぎ、ハルキウ州の知事によりますと、子どもを含む合わせて17人が死亡し42人がけがをしたということです。

知事がSNSに投稿した写真には、建物が激しく燃える様子や救助活動の様子が写っていて「これらの犯罪のためにロシアは罰せられるだろう」として砲撃を強く非難しました。

また、現地の映像からは砲撃により屋根や壁が破壊された集合住宅の様子が確認できます。

米国務省報道官「軍事作戦停止し、原発管理をウクライナ側に」

ザポリージャ原子力発電所やその周辺で砲撃が相次いでいることを受け、アメリカ国務省のプライス報道官は18日、記者会見で「ロシアが核の安全を無謀にも軽視していることに対し最も強いことばで非難する」と述べ、ロシアを厳しく非難しました。

そのうえで「IAEAによる原発施設への立ち入りはウクライナの主権を尊重する形でできるだけ早く許可されなければならない。われわれはロシアに対し、ウクライナの原発施設やその周辺でのすべての軍事作戦を停止し、原発の管理をウクライナ側に戻すよう求める」と述べ、原発周辺での軍事作戦を直ちに停止するよう求めました。

ロシア外務省 原発めぐる非武装化「受け入れがたい」

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所をめぐって国連のグテーレス事務総長がこれまで非武装化を提案していることについてロシア外務省のネチャエフ副報道官は18日「受け入れがたい」と述べ、拒否する考えを示しました。

その理由としてネチャエフ副報道官は、ウクライナのゼレンスキー政権が挑発行為を繰り返しているなどとしたうえで「非武装化すれば原発の安全性がさらにぜい弱になる」と一方的に主張しました。

ウクライナ侵攻を続けるロシア軍はことし3月、ザポリージャ原発を掌握し、それ以来、原発の敷地内からウクライナ側にミサイル攻撃を行うなど、原発を盾にしているとして国際社会から懸念や非難の声が相次いでいます。

ウクライナ “3者会談”で原発からのロシア軍撤退求める

ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、現地を訪れている国連のグテーレス事務総長と会談し、砲撃が相次いでいるザポリージャ原子力発電所からのロシア軍の撤退を求めました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、18日、西部リビウを訪れている国連のグテーレス事務総長、それにトルコのエルドアン大統領と会談しました。
会談後の共同記者会見で、ゼレンスキー大統領はロシア軍が掌握するウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大規模のザポリージャ原発やその周辺で砲撃が相次いでいることをめぐりIAEA=国際原子力機関による視察や調査を目指して対応を協議したことを明らかにしました。

そのうえで「ロシアは原発から軍を無条件に撤退させるべきだ。ロシアは私たちを核の大惨事の瀬戸際に追い込んでいる」と述べました。

また、国連のグテーレス事務総長も原発の状況に強い懸念を示し「原発の周辺は非武装化されるべきだ」と述べ、軍事行動の停止と部隊の撤退を求めました。

会談では、トルコと国連の仲介でウクライナとロシアが合意した農産物の輸出をさらに進める方策についても協議したということです。

トルコのエルドアン大統領はこの合意を引き合いに出し「合意の前向きな機運を和平につなげなければならない」と述べ、和平の実現に向けて協議したと説明しましたが、ゼレンスキー大統領は和平交渉はロシア軍がウクライナの領土から撤退しなければ始められないという考えを示しました。

ザポリージャ原発めぐり双方が非難繰り返す

ロシア軍が掌握するウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所やその周辺では、今月に入り砲撃が相次いでいて、ウクライナとロシアが互いに相手の攻撃だと非難を繰り返しています。

こうした中、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は18日「ウクライナが国連のグテーレス事務総長の訪問中の19日に原発での挑発行為を準備している」と主張しました。

このなかでコナシェンコフ報道官はウクライナ軍が近くの町から原発がある地域への砲撃を計画しているとしたうえで「ロシアが人災を引き起こしたと責任を負わされるだろう」と主張していますが、根拠については示していません。

これに対してウクライナ国防省の情報当局はSNSに「ロシア側が19日に予期せぬ『休日』を発表した。原発には運転要員を残すのみで、常駐していたロシア国営の原子力企業のスタッフも現場を離れた」と投稿しました。

そして「入手可能な情報から、国連事務総長のウクライナ滞在に合わせてテロ攻撃を行う可能性がある」としていて、原発の安全性への懸念が一層深まっています。

原発従業員らがSNSに声明を投稿

ウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所のSNSアカウントには18日、「従業員の国際社会への呼びかけ」と題して、発電所の幹部など57人の署名が入った声明が投稿されました。

声明では「この2週間、原発は絶え間ない軍事攻撃の標的となっている。この先のことを考えると、恐ろしく常軌を逸したことだ」と指摘しています。

そして、「チョルノービリや福島の悲劇よりもはるかに恐ろしい結果になるかもしれない」として相次ぐ砲撃を非難するとともに危機的な状況に置かれていると苦境を訴えています。

そのうえで「私たちは平和な国で暮らし、働きたいだけだ。この権利を守るのに力を貸してほしい」と、事態の鎮静化に向けた国際社会の協力を求めました。

一方、声明では、一帯を掌握するロシア軍への非難や一連の砲撃がロシア、ウクライナのどちらによるものかについての言及はなく、ロシアを刺激しない意図もうかがえます。

ロシア国防省 極超音速ミサイル装備の戦闘機を西部の基地に配備

ロシア国防省は18日、核弾頭も搭載可能な最新の極超音速ミサイル「キンジャール」を装備したミグ31戦闘機3機をポーランドとリトアニアに囲まれた、ロシア西部の飛び地、カリーニングラードの基地に配備したと発表しました。

ロシアメディアによりますと「キンジャール」は最大マッハ10の速さで飛行し、射程は2000キロとされていて、国防省は「戦略的な抑止力の一環で」24時間体制で任務に就くとしています。

ロシア空軍の司令官は、キンジャールを搭載したミグ31戦闘機がことし3月にウクライナ西部の軍の弾薬庫を破壊したと、今月12日に明らかにしていて、カリーニングラードへの配備をアピールすることでアメリカやNATO=北大西洋条約機構をけん制するねらいがあるものとみられます。

これに対してカリーニングラードに近く、NATOへの加盟を目指しているフィンランドの国防省は18日、ロシアの戦闘機2機が領空を侵犯した疑いがあると発表していて警戒を強めています。

ロシア軍の捕虜となった兵士の家族ら 国際支援求めデモ

国連のグテーレス事務総長が訪問しているウクライナ西部リビウでは、18日、ロシア軍の捕虜となった兵士の家族らが解放を訴えるデモを行い、国際社会の支援を求めました。

デモには、激戦となった東部のマリウポリの製鉄所などで戦っていた「アゾフ大隊」の隊員の家族らおよそ50人が参加し、捕虜が拷問されたり、殺害されたりしているとして「国連には捕虜たちの解放のプロセスに積極的に関与してほしい」と訴えました。

そして「子どもたちを返せ」といったメッセージを手に「英雄たちを守れ」とか「ウクライナに栄光を」と声をあげていました。

兄が捕虜になっている21歳の女性は「家族が家に帰れるように世界の人々にも関心を持ってほしい」と話していました。

父親が捕虜となっている5歳の女の子は「お父さんが帰ってきたら一緒に海に行きたい」と話していました。

ウクライナの捕虜をめぐっては、先月、東部ドネツク州でロシア側が管理する捕虜の収容施設が攻撃を受け、50人以上が死亡したとされていて、国際社会からロシアの責任を追及する声が高まっていました。