価格高騰のたまねぎ ふるさと納税返礼品で大人気 北海道 北見

たまねぎの価格高騰が続く中、生産量日本一の北海道北見市ではたまねぎを返礼品にしたふるさと納税への申し込みが急増しています。

北見市によりますと、特産のたまねぎを返礼品にしたふるさと納税の寄付件数は、ことし2月から先月中旬までに1万4531件と、去年の同じ時期のおよそ19倍となっています。

返礼品は、たまねぎの価格が高騰する前の水準で設定されていて、大手ポータルサイトでは、5500円の寄付で10キロ分のLサイズのたまねぎが届く返礼品などが人気を集めているということです。

ふるさと納税を担当する北見市地域振興課の木村哲也係長は「たまねぎの生産量が日本一ということで、私たちも誇りを持って全国に出しています。それが注目を浴びて、たくさん申し込んでもらえるのはうれしいことです」と話していました。

返礼品を生産している多くの農家では、来月、たまねぎを収穫し全国各地に向けて発送を始めます。

生産者の信田直哉さんは、肥料や燃料代などが値上がりしていることから、「適正な価格になって、消費者も生産者もお互いに、いい形になることを願っています」と話しています。

たまねぎ 高騰の原因は

たまねぎの高騰が続いている背景には、去年、国内の主要産地における収穫量が減少したことや、新型コロナの影響で外国産たまねぎの価格が上昇していることなどがあります。

北海道の生産者団体、ホクレンによりますと、国内のたまねぎの5割以上を生産する北海道では、去年、干ばつの影響で収穫量がおととしのおよそ7割に落ち込みました。

さらに、北海道産の出荷が終わる4月ごろから出回る、兵庫県産や佐賀県産のたまねぎも、例年に比べて収穫量が少なくなりました。

加えて外国産のたまねぎも、新型コロナウイルスの影響で労働力の確保が難しくなり、生産が落ち込んだことなどから輸入価格が上昇しています。

こうした要因で、たまねぎが高騰していて、札幌市中央卸売市場の卸売価格は、ことし6月の平均で1キロ当たり234円と、去年のおよそ2.5倍に上昇し、先月もおよそ1.7倍の176円と高値が続いています。

今後のたまねぎの価格について、札幌市中央卸売市場の卸売会社では、ことしの北海道産のたまねぎは、平年並みの収穫量が見込めるため、北海道産が流通し始める来月からは、例年並みに落ち着く見通しだとしています。

スーパーでは 例年の1.3倍以上高く

札幌市内のスーパーでは17日、北海道産のたまねぎが1個当たり68円で売られていました。

例年ですと、この時期は、1個当たり50円程度だということで、ことしは値段が1.3倍以上高くなっています。

家庭でも頻繁に使われる食材だけに、消費者からは影響を心配する声が聞かれました。

買い物に来ていた札幌市西区の70代の女性は「シチューやカレーライス、すき焼きなど、何にでもたまねぎを使います。高いので、できるだけ、むだにしないで、最後まで使うようにしています。安くなってほしいです」と話していました。

また、ふだんから、たまねぎをよく食べるという札幌市西区の80代女性は「たまねぎは、なくてはならない存在です。カレーライスにも必ず入れますし、たくさん入れたらおいしいので、よく使います。高くても買って、大事に食べたいと思います」と話していました。

このスーパーでは、形が不ぞろいのものなど、規格外のたまねぎ1.2キロを袋詰めにして300円で提供するなど、少しでも安く、たまねぎを消費者に届けられるよう取り組んでいるということです。

スーパーで農産物を担当しているマネージャーは「例年よりも値段が高騰していて、お客さんからも高いという声が出ています。ばら売りや、規格外の商品を扱うなど、販売方法を工夫しています」と話していました。

ルーに毎日20Kgのたまねぎ カレー店では

たまねぎを弱火で長時間煮込んで仕上げたルーで人気を集めている札幌市内のカレー店では、毎日20キロものたまねぎを使っています。

そのため、たまねぎの高騰による影響を大きく受けていて、ことし6月には、カレーの50円の値上げに踏み切りました。

さらには、期間限定でカツカレーを出すとんかつ店に、カレーを提供するなどして収益をあげるための工夫をしているということです。

「カリーハウスコロンボ」の藤井亜生子代表は「驚いています。仕入れの価格は、例年の2倍から3倍高くなっていますが、たまねぎメインのルーなので、たまねぎの量は変えられません。したくはありませんでしたが、値上げするしかありませんでした。なんとか、この厳しい状況を乗り切れればと思います」と話していました。