社会

新型コロナ 病床ひっ迫の救急病院 “高齢者入院長期化が要因”

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、救急患者を受け入れている病院では、感染した高齢者の入院が長期化する傾向にあることが、病床がひっ迫している要因になっていると指摘しています。
今月に入って病床使用率が98%にまで達した神奈川県川崎市の病院では、先月中旬以降の1か月間、稼働できる32床のコロナ病床は満床状態が続いています。
新型コロナの病床に入院している患者の9割近くが高齢者ですが、第6波と比べると介護度が高い高齢患者が多い傾向にあるといい、この日も看護師が防護服を着て、食事の介助などにあたっていました。

厚生労働省は、入院から4日目以降の時点で酸素投与が必要ない患者は、自宅療養への切り替えや、リハビリや長期療養を目的とした病院への転院を進めるよう、全国の自治体に通知しています。

しかし、症状が落ち着いていても、受け入れてくれる病院が少なかったり、入院期間中に体力が落ちてしまってリハビリが必要となったりして、この病院では、入院が20日近く続く人もいて、病床が空きづらい状態が続いています。
新百合ヶ丘総合病院の伊藤敏孝救急センター長は「医療というより、もはや介護だ。リハビリを行う病院も、コロナに感染した患者はなかなか受け入れてくれない。病床には限りがあるので、転院できないと、新しい患者の受け入れを制限しないといけない」と危機感を訴えています。

コロナ病床使用率 1か月で急激に深刻化

厚生労働省は、各都道府県の新型コロナの患者のための病床の使用率などを1週間ごとにまとめ、公開しています。
それによりますと、病床使用率が、政府の分科会の分類で5段階中、2番目に深刻な「対策を強化すべきレベル」の目安となる50%を上回っている都道府県が、
▽7月6日時点では0でしたが、
▽7月13日の時点で2県
▽7月20日の時点で3県
▽7月27日の時点で16府県
▽8月3日の時点で27都府県
▽8月10日の時点で38都府県と、
およそ1か月で各地の病床のひっ迫が急激に深刻化しています。

「第6波」の感染がピークだった、ことし2月上旬に50%を上回ったのは、20の都府県でした。

「第7波」では、新型コロナに感染したあとに搬送先が見つからず、自宅で死亡した高齢者もいて、厚生労働省は、全国の自治体に医療提供の体制などを強化するよう求めています。

専門家「転院や療養受け入れへ議論を」

厚生労働省の専門家会合にも参加している沖縄県立中部病院の高山義浩医師は、各地で病床の使用率が深刻化している現状について「コロナの患者さんだったということで、転院や療養の受け入れに慎重な医療機関や施設が、いまだにあります。各医療機関が説得するだけでなくて、県や国、専門家が丁寧に説明して、発症から10日間たっていれば『感染性はないもの』として受け入れていただけるようにしていくことが大事だと思います」と話していました。

そのうえで、感染者が急増している中での今後の医療や療養の在り方について「急性期病院でお預かりし続けていると、やっぱり病床が回らなくなってくる。沖縄県では、入院できない患者のための入院待機ステーションを元気になった患者さんが感染性のある期間に療養する場所としても使い始めています。一定の感染性はあるが、転院して早期のリハビリが始められるような地域医療を目指し、今後議論を進めていかなければいけないと思います」と話していました。

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