【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

英国防省“ロシア側はクリミアの治安悪化に強い懸念抱くことに”

イギリス国防省は17日、クリミア半島にある弾薬庫が爆発したことをロシア当局とウクライナ当局が確認し、近くにある鉄道と変電所も被害を受けたとみられると明らかにしました。

また、ロシア側の情報で別の街にある飛行場近くで煙が確認されたとしています。

イギリス国防省によりますと、これらの場所にはロシア軍にとってクリミア半島における最も重要な飛行場があり、ウクライナ南部での作戦で重要な役割を果たす道路や鉄道の分岐点がある場所だと分析しています。

そして、爆発の原因と被害の規模はまだ明らかでないものの、ロシア側は掌握した地域への後方支援の基地として機能するクリミア半島の治安の悪化に強い懸念を抱くことになると指摘しています。

クリミアの爆発 専門家“ウクライナ側の攻撃”と分析

ウクライナ南部のクリミア半島にあるロシア軍の基地や弾薬庫で爆発が相次いでいることについて、防衛省防衛研究所の高橋杉雄防衛政策研究室長はNHKの取材に対し、ウクライナ側の攻撃だと分析したうえで「弾薬庫や変電所を攻撃することは前線への弾の供給が減り、鉄道輸送ができなくなるということで、ロシア軍の補給に大きな影響があり、ウクライナ側にとって軍事的なメリットが大きい」と述べました。

そのうえで「クリミアの奪還にはまずヘルソン州を奪還しなければ物理的に不可能だ。いまの破壊工作はあくまで前線の作戦を支援するためだ」と述べ、直ちにクリミア半島の奪還につなげるための攻撃ではなく、隣接する南部ヘルソン州での反撃のためだという見方を示しました。

また、高橋室長は「クリミア半島も聖域ではないということをウクライナとしては見せたかった。ただウクライナ側としてもどこがロシアのいわゆる”レッドライン”なのか、おそるおそる探りながら攻撃をしている」と指摘しました。

ウクライナの原子力発電公社“大規模なサイバー攻撃”

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は16日、公社のウェブサイトに対して大規模なサイバー攻撃があったことを、SNSなどを通じて発表しました。

エネルゴアトムは、発表の中でサイバー攻撃についてロシアのハッカー集団によって行われたという見解を示したうえで、「軍事侵攻が始まって以降で最も強力な攻撃だった」としています。

サイバー攻撃はおよそ3時間にわたって続き、ウェブサイトに大量のアクセスが集中したということですが、「ウェブサイトの運用に大きな影響はなかった」としています。

国連事務総長 ウクライナを訪問へ

国連の報道官は16日の記者会見で、グテーレス事務総長がウクライナを訪問し、18日に西部のリビウでゼレンスキー大統領とトルコのエルドアン大統領と会談すると発表しました。

会談では、ロシアとウクライナがトルコと国連の仲介で合意した農産物の輸出について意見を交わすということで、グテーレス事務総長は、19日には農産物を輸出する港があるウクライナ南部のオデーサを訪問するということです。

ロシアがウクライナに軍事侵攻して以降、グテーレス事務総長がウクライナを訪問するのはことし4月以来、2回目です。

一方、報道官は、グテーレス事務総長はゼレンスキー大統領と個別にも会談する予定だとして、「原子力発電所の問題や紛争の政治的な解決の必要性についても意見が交わされるはずだ」と述べ、攻撃が相次いでいるザポリージャ原子力発電所の現状や、IAEA=国際原子力機関による視察や調査についても協議するという見方を示しました。

ロシア国防相 「核兵器の使用は特別な状況」

ロシアのショイグ国防相は16日、モスクワ郊外で開かれた「国際安全保障会議」で演説し、「ロシアの核兵器は核攻撃の抑止がおもな目的だ」と強調したあと「その使用は、ロシアが定めている特別な状況に限られている」と述べ、改めて核戦力をちらつかせて威嚇した形です。

一方でショイグ国防相は、ウクライナ侵攻をめぐっては「ロシアが戦術核兵器や化学兵器を使う用意があるのではといった臆測が広がっているが、すべてウソだ」としたうえで「軍事的な観点からは、核兵器を使って目的を達成する必要はない」と述べ、軍事的な観点から核兵器を使う必要はないという考えを示しました。

ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻を開始したことし2月、ショイグ国防相らに対して、核戦力を念頭に、抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じるなど、核による威嚇を続けています。

仏マクロン大統領 “原子力発電所へ調査団派遣 早期実現支援”

フランスのマクロン大統領は16日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、ロシア軍が掌握するウクライナ南東部の原子力発電所への対応などについて意見を交わしました。

フランス大統領府によりますと、会談の中で、マクロン大統領は、ロシア軍が掌握するウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所について、ロシア軍の存在によって脅威にさらされていると懸念を表明し、ロシア軍の撤退を求める考えを強調したということです。
そのうえで、マクロン大統領は、ザポリージャ原子力発電所へのIAEA=国際原子力機関の調査団の派遣が可能なかぎり早期に実現するよう支援を続けていく考えを伝え、調査団の派遣時期などをめぐって意見を交わしたとしています。

また、両大統領は、ウクライナからの農産物の輸出に関連して、16日、国連がチャーターした船がアフリカ向けの穀物を積んでウクライナ南部の港を出港したことを歓迎し、穀物の円滑な輸出に向けて連携していくことを確認したということです。

ゼレンスキー大統領 クリミア奪還めざし新たな諮問機関設置

ウクライナのゼレンスキー大統領は、15日、ロシアが8年前、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアの奪還をめざして新たな諮問機関を設置したことを明らかにしました。

新たな諮問機関について、ゼレンスキー大統領は、「奪還に向けた方策とすべてのプロジェクトを調整し、『クリミア・プラットフォーム』の活動を保障するためだ」と述べ、合わせて40以上の国と国際機関の代表が出席し去年8月、初めて開催された国際会議で立ち上げた「クリミア・プラットフォーム」と呼ばれる多国間の枠組みと連動する考えを示しました。

クリミア奪還をめざして各国との協調を図る2回目の国際会議は、今月23日、オンラインで開催される予定で、ウクライナ政府は、南部で反撃を続けるとともに、多国間の枠組みを通じてロシアに圧力をかけるねらいがあるとみられます。

ウクライナ空軍 報道官「ロシア軍武器の多く 爆発でなくなる」

ロシアが8年前、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアで16日に起きた爆発についてウクライナ空軍のイグナト報道官はウクライナのメディアに対し「インターネットやテレビで流れている映像を判断するとロシア軍の武器や戦闘機の多くが爆発によってなくなっている。このような出来事はうれしいことだ」と話しています。

ウクライナ南部クリミアでまた爆発 「破壊工作により損害」

ロシアが8年前、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアで16日爆発があり、ロシア国防省は北部にある弾薬庫で爆発を伴う火災が起きたことを認めました。

ロシアによるクリミア併合のあと地元行政府のトップになったアクショノフ氏は、SNSで、爆発で2人がけがをしたほか、現場から半径5キロが安全のため封鎖され、住民およそ3000人が避難したと明らかにしました。
またロシア国防省は国営の通信社に対して「破壊工作により損害を受けたが大きな人的被害はなかった」としていて、何らかの攻撃を受けた可能性を示唆しました。

クリミアでは今月9日にも駐留するロシア軍の基地で大規模な爆発があり、ロシア軍の戦闘機などの航空戦力が打撃を受けていて、クリミアで相次ぐ爆発にロシア側は神経をとがらせているものとみられます。