ザポリージャ原発 周辺住民が避難 IAEA視察は実現するか不透明

ロシア軍が掌握するウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所付近で攻撃が相次ぐ中、周辺に住む人たちが隣国ポーランドに次々に避難しています。IAEA=国際原子力機関は原発の視察や調査を求めていますが、移動経路をめぐってロシア側と隔たりがあり、早期の視察が実現するか不透明な情勢です。

ヨーロッパ最大規模のザポリージャ原発付近ではロシア軍が掌握したあとも攻撃が相次いでいて、ウクライナとロシアが互いに相手の攻撃だと主張しています。

原発が立地するエネルホダル市では14日、原発職員1人が死亡したほか、15日も爆発音が聞こえたと伝えられています。

ゼレンスキー大統領は、15日に公開した動画で、ロシアは原発を盾に攻撃を続けていると非難したうえで「新たな強い制裁を科す必要がある」と、より強い態度で臨むよう各国に訴えました。

こうした状況を受けて、周辺に住むウクライナの人たちが隣国のポーランドに次々に避難しています。
ポーランド南東部の駅では15日午後、ザポリージャからの列車が到着すると、スーツケースをもった人たちが次々にホームに下りてきました。

幼い2人の子どもを連れた女性は「現地は非常に危険な状況で、子どもがいる人はみんな避難しようとしています。核の危険にさらされているのはウクライナだけではないので、人々は国際社会の対応も待っています」と話していました。

IAEAはザポリージャ原発への視察や調査を求めていて、国連のデュジャリック報道官は15日の記者会見で「ロシアとウクライナが合意すれば、国連はウクライナの首都キーウからザポリージャ原発までIAEAの担当者の安全を支援できる」と述べ、ウクライナでのIAEAの活動に協力すると強調しました。

これに対しロシア外務省不拡散・軍備管理局のビシネベツキー次長は15日「キーウ経由で原発に向かうには前線を越えることになり、大きなリスクだ」と述べて、キーウ側からではなくロシアが設定する経路での視察を求めるなど立場に隔たりがあり、早期の視察が実現するか不透明な情勢です。