イギリス軍 ウクライナ兵の訓練の様子を公開

ウクライナへの積極的な支援を続けているイギリス軍は、国内で行っているウクライナ兵の訓練の様子を公開し、兵士たちは、ロシア側に占拠された住宅地を奪い返すための戦い方などについて指導を受けました。

ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナへの支援の一環として、イギリス軍は戦闘経験の少ないウクライナ兵を国内の4つの訓練場に受け入れ、数週間にわたって基礎的な戦闘や救護の方法などを教えています。

15日、その様子がイギリス南東部ケント州の訓練場でNHKなど一部のメディアに公開されました。

このうち武器の扱い方を学ぶ訓練では、ウクライナの兵士たちがイギリス軍の指揮官の指示を受けながらAK47自動小銃に弾倉を装填(そうてん)し、標的に向かって素早く構える動作を繰り返しました。

また、ロシア側に占拠された住宅地を奪い返す訓練では、銃を持った兵士たちが住宅に手投げ弾を投げ込んだりしたあと中に突入し、安全を確保する手順を確認していました。

先月までIT企業に勤めていたという25歳の兵士は「祖国で起きている恐ろしいことを黙って見ていられず軍に志願しました。国を守るプロフェッショナルになれるよう、精いっぱい訓練する覚悟です」と話していました。

また、訓練を行っているイギリス陸軍第11旅団の指揮官は「兵士たちのモチベーションの高さと学ぶ意欲には感心する。ウクライナを守る中核となってほしい」と話していました。

イギリス軍は、120日ごとに最大1万人のウクライナ兵を訓練する計画で、6月以降、これまでにおよそ2400人が訓練を終えウクライナに戻ったということです。

支援の内容は

イギリスは、ロシアの違法な侵略に対しウクライナが国土を防衛するためとして、積極的な支援を続けています。

これまでに発表した支援の総額は、軍事面と経済面を合わせて38億ポンド、日本円でおよそ6100億円に上ります。

このうち軍事支援は23億ポンド、およそ3700億円で、アメリカに次いで2番目に多くなっています。

装備では、80キロの射程がある多連装ロケットシステム「M270」のほか、大口径の砲弾を敵の陣地に大量に撃ち込める自走式の155ミリりゅう弾砲、それに対戦車ミサイル5000発以上や防空システムを供与しています。

そして、ウクライナ兵がこうした装備を使いこなしたりできるようにするため、ヨーロッパの国々などと連携してイギリス国内で訓練を行っています。

また、イギリスはこれまでウクライナから逃れたおよそ12万人を受け入れています。

イギリス政府は、避難者を受け入れた自治体に生活環境を整えるための資金として1人当たり1万500ポンド、およそ170万円を支給しているほか、自宅に受け入れた家庭には毎月350ポンド、5万6000円を支給しています。