【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

クリミアで再び爆発 住民3000人が避難

ロシアが8年前、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアで16日爆発があり、ロシア国防省は北部にある弾薬庫で爆発を伴う火災が起きたことを認めました。

ロシアによるクリミア併合のあと地元行政府のトップになったアクショノフ氏は、SNSで、爆発で2人がけがをしたほか、現場から半径5キロが安全のため封鎖され、住民およそ3000人が避難したと明らかにしました。

またロシア国防省は国営の通信社に対して「破壊工作により損害を受けたが大きな人的被害はなかった」としていて、何らかの攻撃を受けた可能性を示唆しました。

クリミアでは今月9日にも駐留するロシア軍の基地で大規模な爆発があり、ロシア軍の戦闘機などの航空戦力が打撃を受けていて、クリミアで相次ぐ爆発にロシア側は神経をとがらせているものとみられます。

ウクライナから日本への避難民 1732人(8月14日時点)

出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難した人は14日時点で1732人となっています。

内訳は
▽ことし4月に政府専用機で避難してきた人が20人、
▽政府が座席を借り上げた民間の航空機で避難してきた人が合わせて171人、
▽そのほかの手段で避難してきた人が1541人です。

性別は男性が442人、女性が1290人となっています。

年代別では18歳未満が377人、18歳以上~60歳以下が1129人、61歳以上が226人です。

入国日を月別にみると、
▽3月が351人、
▽4月が471人、
▽5月が332人、
▽6月は282人、
▽7月は224人
▽8月は14日までに72人となっています。

政府は避難してきた人たちに90日間の短期滞在を認める在留資格を付与し、本人が希望すれば、就労が可能で1年間滞在できる「特定活動」の在留資格に変更することができます。

この在留資格に変更すると、住民登録をして国民健康保険に加入したり銀行口座を開設したりすることができ、14日までに1438人が「特定活動」に資格を変更したということです。

ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めて今月で半年になります。
日本での避難生活が長期化する中、ことばや就労、教育などについてニーズに応じた支援が求められています。

米シンクタンク「ロシア軍兵士の一部が戦闘継続を拒否」

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は15日、ルハンシク州で戦闘に参加していたロシア軍兵士の一部が、隣接するドネツク州での戦闘継続を拒否し、ロシア軍の兵力の補充に問題が生じている可能性があるという見方を示しています。

プーチン大統領「米が戦闘を長引かせようとしている」

ロシアのプーチン大統領は16日、モスクワ郊外で開かれた「国際安全保障会議」に向けてビデオ演説を行い、アメリカなどNATO=北大西洋条約機構の加盟国がウクライナに兵器の供与を続けていることについて「欧米は覇権を維持するために紛争を必要としている。アメリカはこの戦闘を長引かせようとしている」と主張しました。

軍事侵攻の開始からまもなく半年となる中、プーチン大統領としては、戦闘の長期化はアメリカによるものだと主張することで、国民にさらなる長期化への理解を求めるねらいもあるとみられます。

ウクライナ軍 戦闘で中心的な役割「ワグネル」拠点を攻撃

ウクライナ東部ルハンシク州のハイダイ知事は15日、SNSで、州内にあるロシアの民間軍事会社「ワグネル」の拠点をウクライナ軍が攻撃したことを明らかにしました。

ハイダイ知事は、ロシア側が占領するルハンシク州のポパスナに「ワグネル」の拠点が置かれていたとしたうえで「拠点の場所が特定でき、ウクライナ軍が攻撃することに成功した」と述べました。

死者数については確認中だと説明しています。

「ワグネル」の部隊をめぐっては、イギリス国防省の分析でロシア軍の兵員不足を補う形で最前線に投入され、特に東部ルハンシク州での戦闘で中心的な役割を果たしてきたとされています。

また、7月には東部ドネツク州でウクライナ側の捕虜が収容されていた施設を攻撃し、50人以上を死亡させた可能性が指摘されていて、ウクライナ政府や欧米が「ロシアの責任を追及する」などと相次いで非難していました。

ザポリージャ原発 NPT再検討会議でも焦点に

8月1日からニューヨークの国連本部で開かれているNPTの再検討会議では、各国が合意を目指す「最終文書」の作成に向けた交渉が本格化しています。

このうち核の不拡散について協議する第2委員会で最終文書の草案がまとめられ、ロシア軍が掌握しているザポリージャ原子力発電所について、周辺での軍事活動などに重大な懸念を示すとともに、ウクライナ当局の管理下に戻すよう求める内容が盛り込まれました。

15日開かれた委員会では、ウクライナの代表が草案の内容を歓迎したうえで「ロシアの不当な侵略や原発を攻撃し違法に掌握したことで生じた重大な脅威を反映させるべきだ」と述べ、軍事侵攻の詳細も盛り込むよう求めました。

これに対してロシアの代表は「一部の国による一方的な主張が書き込まれており、到底容認することはできない」と述べ、草案に反対する姿勢を示しました。

NPTの再検討会議では、ウクライナに軍事侵攻したロシアが核の威嚇を行っていることへの批判が上がっているほか、原子力発電所への攻撃が繰り返されていることへの懸念も相次いでいて、いずれもロシアが強く反発していることから、今後の交渉の行方に影響を及ぼすことも予想されます。

IAEAの原発視察 早期に実現するか不透明な情勢

IAEA=国際原子力機関が求めているザポリージャ原発への視察や調査をめぐり、国連のデュジャリック報道官は15日の記者会見で「ロシアとウクライナが合意すれば、国連は、ウクライナの首都キーウからザポリージャ原発まで、IAEAの担当者の安全を支援できる」と述べ、ウクライナでのIAEAの活動に協力すると強調しました。

これに対し、ロシア外務省不拡散・軍備管理局のビシネベツキー次長は15日「キーウ経由で原発に向かうには前線を越えることになり、大きなリスクだ」と述べ、キーウ側からではなく、ロシアが設定する経路での視察を求めるなど、立場に隔たりがあり早期の視察が実現するか不透明な情勢です。

国連事務総長とロシア国防相 原発稼働条件などで電話会談

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所で攻撃が相次ぐ中、国連のグテーレス事務総長とロシアのショイグ国防相が15日、電話で会談しました。

会談の詳しい内容は明らかにされていませんが、国連は「ザポリージャ原子力発電所を安全に稼働させるための条件について意見を交わした」と発表しました。

また、両者は、ウクライナ東部のドネツク州で7月、捕虜の収容施設が攻撃を受けたことや、国連とロシアが合意した、ロシアからの穀物や肥料の輸出についても意見を交わしたということです。

ゼレンスキー大統領「原発は地雷のようになっている」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、15日に公開した動画でロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所について「ロシアは、原発とその周辺において脅迫を続け、近くの都市などを砲撃している。弾薬や装備品を施設内に隠していて、原発は、地雷のようになっている」と述べ、ロシアは、原発を盾に攻撃を続けているとして非難しました。

そして、EU=ヨーロッパ連合の加盟国や日本やアメリカなどの42か国が、ロシア軍の即時撤退を求める共同声明を出したことに触れ「議論や呼びかけではなく、新たな強い制裁を科す必要がある。世界が一つの原発を守るための力と意志の強さに欠ければ、世界はテロリストに負けたということだ」と述べ、より強い態度で臨むよう各国に訴えました。

また、戦況については、この1日で顕著な変化はないとしたうえで「ドンバス地域やハルキウ州では、われわれの軍による英雄的な抵抗が続き、南部では、敵に圧力をかけ続けている」として、徹底抗戦する姿勢を強調しました。

イギリス軍 ウクライナ兵の訓練の様子を公開

ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナへの支援の一環として、イギリス軍は戦闘経験の少ないウクライナ兵を国内の4つの訓練場に受け入れ、数週間にわたって基礎的な戦闘や救護の方法などを教えています。

15日、その様子がイギリス南東部ケント州の訓練場でNHKなど一部のメディアに公開されました。

このうち武器の扱い方を学ぶ訓練では、ウクライナの兵士たちがイギリス軍の指揮官の指示を受けながらAK47自動小銃に弾倉を装填(そうてん)し、標的に向かって素早く構える動作を繰り返しました。

また、ロシア側に占拠された住宅地を奪い返す訓練では、銃を持った兵士たちが住宅に手投げ弾を投げ込んだりしたあと中に突入し、安全を確保する手順を確認していました。
先月までIT企業に勤めていたという25歳の兵士は「祖国で起きている恐ろしいことを黙って見ていられず軍に志願しました。国を守るプロフェッショナルになれるよう、精いっぱい訓練する覚悟です」と話していました。

また、訓練を行っているイギリス陸軍第11旅団の指揮官は「兵士たちのモチベーションの高さと学ぶ意欲には感心する。ウクライナを守る中核となってほしい」と話していました。

イギリス軍は、120日ごとに最大1万人のウクライナ兵を訓練する計画で、6月以降、これまでにおよそ2400人が訓練を終えウクライナに戻ったということです。

プーチン大統領 戦闘の継続を強調 長期化も辞さない構えを示す

ロシアのプーチン大統領は15日、モスクワ郊外で始まった国際軍事フォーラムで演説し「ロシア軍は、いつの時代も国の主権と安全を守り、他の民族に自由をもたらしてきた」と主張しました。

そのうえで、ウクライナ侵攻をめぐり「1歩ずつ、東部ドンバスの土地を解放していくという任務を着実に遂行する」と述べました。

プーチン大統領としては、軍事侵攻を始めてまもなく半年となる中、戦闘の継続を強調し、さらなる長期化も辞さない構えを示した形です。

一方、プーチン大統領は「多極化する世界の防衛に貢献したい」と述べたうえで、南米やアジア、アフリカ諸国に装甲車や無人機といった兵器を輸出したり、軍事技術分野で協力したりしていくことに意欲を示しました。

プーチン大統領は、今回のイベントでは37か国から6000人以上の将校や兵士が参加するなどと強調していて、ウクライナ侵攻を受けて欧米から厳しい制裁が科される中、国際社会から孤立していないと改めてアピールするねらいもあるものとみられます。

原発で攻撃が相次ぐザポリージャ 避難する人も

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所で攻撃が相次ぐ中、周辺に住むウクライナの人たちが隣国のポーランドに次々に避難しています。

ポーランド南東部、プシェミシルの鉄道の駅では15日午後、ザポリージャからの列車が到着すると、スーツケースをもった人たちが次々にホームに下りてきました。

妊娠中の妻や3人の子どもとともにドイツに向かうという男性は「ポーランドでは爆発など起きることはないと思いながらここまで来ました。ロシアは、毎晩、原子力発電所の周辺に砲撃を続け、被害を受けるのは、自宅なのか別の人の家なのかと思いながら過ごしてきました」と話していました。

また、幼い2人の子どもを連れ、状況が安定するまでポーランドにとどまるという女性は「現地は非常に危険な状況で、子どもがいる人は、みんな避難しようとしています。核の危険にさらされているのはウクライナだけではないので、人々は国際社会の対応も待っています」と話していました。

EU 日米など42か国 原発からのロシア軍の即時撤退求める声明

ロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所について、EU=ヨーロッパ連合の加盟国と日本、アメリカなどの42か国は、12日付けで、原発の安全性が脅かされているとしてロシア軍の即時撤退を求める共同声明を出しました。

声明の中で、原発へのロシア軍の部隊や武器の派遣は受け入れがたく、原発の安全性を無視していると非難しています。

そして、ロシア軍の存在によってウクライナ当局や原発の関係者は、原子力と放射線に関する安全を確保するという責務を全うできなくなっているとしています。

そのうえで、ロシアが軍や許可されていないすべての人員を原発とその周辺、さらにウクライナ全土から即時撤退させることを求めています。

この声明を受けてロシア外務省は15日、ザハロワ報道官のコメントを発表し「欧米諸国は、またしても真っ赤なウソをついている」として、原発への攻撃はウクライナ側が行っていると反論しました。

そのうえで「ウクライナ側の破壊的行為についてIAEAが正しい評価を下せるよう必要な手段を講じる」としてIAEA=国際原子力機関の専門家チームの現地派遣に協力する考えを示しました。

ウクライナ 戒厳令と総動員令を11月下旬まで延長へ

ウクライナの議会に当たる最高会議は15日、ロシアによる軍事侵攻を受けて国内に出されている戒厳令と総動員令について、ことし11月下旬まで延長する法案を可決しました。

これはゼレンスキー大統領が12日、最高会議に法案を提出したことを受けて審議が行われていたもので、地元メディアによりますと、過半数を大幅に上回る328人の議員が賛成したということです。

法案の可決によって、防衛態勢の強化のために行われている、18歳から60歳の男性の出国制限が今後も続くことになり、ウクライナとしては、ロシアとの戦闘が長期にわたることをにらんで徹底抗戦する構えを示したものです。

キーウ近郊 身元特定できないまま墓地で遺体を埋葬

ロシア軍による侵攻で、多くの市民が殺害されたウクライナの首都キーウ近郊の墓地で15日、身元が特定できないまま14人の遺体が埋葬されました。

首都キーウ近郊でロシア軍による侵攻のあとに見つかった遺体の中には、焼かれて損傷が激しいなどの理由で、身元の特定ができていないケースもあります。

首都キーウ近郊のブチャにある墓地の一角では15日、身元が不明のままとなっている14人の遺体を埋葬するため当局から依頼を受けた業者が黒い袋に包まれた遺体をひつぎにおさめていました。
ひつぎは、地中に埋められたあと最後に十字架がたてられましたが、十字架に掲げられたプレートには識別のための3桁の番号が書かれているだけで、名前はありません。

この墓地では、今後さらに45人の身元不明の遺体を埋葬する予定だということです。

埋葬に立ち会ったブチャのスコレクシカリブツカ副市長は「亡くなった多くの人がキリスト教徒だと思うので聖職者を招きました。こんな残酷な形で殺害された人に対し、せめてもの敬意を示すためです。DNA鑑定を通してこの人たちが誰なのか、特定できるよう努力しています」と話していました。

サウジアラビアの王族の会社 ロシアのエネルギー大手3社に投資

サウジアラビアの大富豪ワリード・ビン・タラール王子が会長を務める投資会社は14日、過去3年間に投資した企業のリストを公表しました。

それによりますと、投資会社はことし2月から3月にかけて、ロシアのエネルギー大手3社に日本円にして合わせておよそ700億円の投資を行っています。

内訳では、政府系ガス会社ガスプロムにおよそ487億円、国内第2位の石油会社ルクオイルにおよそ146億円、国内最大の石油会社ロスネフチにおよそ70億円となっています。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対しては、欧米諸国が主要な収入源の石油の輸出に打撃を与えようと、経済制裁を科していますが、サウジアラビアは「OPECプラス」と呼ばれる原油の生産調整のグループでロシアと協力関係にあります。

王族が政府の主要ポストを握るサウジアラビアでは、大手の民間企業は政府の影響下にあると言われていて、ロシアと石油生産を通して関係を維持するサウジアラビアの姿勢がかいま見えた形です。